■金沢市長選挙に「ツイッター」登場
昨年秋の金沢市長選挙で、インターネットを活用した新人候補が当選した。
この選挙で、初めてツイッターが登場したのです…
「投票まだ行っていない人~彼に託してみましょうよ!」…11月28日の投票日、
ツイッターに流れた文章です…ツイッターが勝敗に影響したのです。
書き込んだのは、私の友人のIT社長。期間中…インターネットの簡易投稿
サイトに、「ツイート(つぶやき)」と呼ばれる短文を投稿…時系列に表示された。
市長選は、六選を目指す現職のY氏に、多選を批判する新人候補が挑んだ。
IT社長は、投票日の投票終了間際まで…
「市長選速報…今500票差です…逆転させてください!あなたの一票で!」
「あと40分あります…まだの方はすぐ投票場へ!」などと”つぶやき”続けた。
事前の下馬評では、現職のY氏絶対優勢…市会議員・財界・団体の多くが
現職市長を支持した。フタを開けてみたら、新人候補が1、364票の僅差で
当選した。
選挙運動での「ツイッター」は違法か? 警察はこの社長に対し、公職選挙法
に基づく改善警告を出さなかった。これが前例となって、春の統一地方選挙
では、ツイッターが”解禁”になるだろう(…つぶやく)。
1/31 中日新聞
842 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~歴史から学ぶ~
「自らを有利に導く情報戦略」
チュニジアやエジプトの政変では、民衆蜂起に”ネット”が重要な役割を果たした。
新聞報道によれば、リビアやイエメンでも、交流サイト「フェイスブック」が、
反体制派デモの呼びかけや、 政権腐敗の糾弾に利用されている。
十年くらい前になるが、国際テロ組織「アルカイダ」を率いるウサマ・ビンラディンが、
反米・聖戦の成果を、インターネットと、中東の衛星テレビ局 「アルジャジーラ」 を使って、 世界に知らせようとしていた。
アルカイダには”メディア部隊”があって、
ビデオカメラやパソコンを自在にあやつり、様々な映像をインターネットを通して世界に流した。
「バーミヤンの大石仏破壊」の映像や、「自爆テロが、
自決する車から自分で収録した最後のメッセージ」など、衝撃的映像がお茶の間に送られてきた。
そうした行為は、テロの正当性を宣伝するだけでなく、
刺激を受けたイスラム教徒が、
武器を取って立ち上がるなど、自軍を有利に導くための戦略手段になった。
パソコンの普及がまだ低かった当時…映像という圧倒的説得力を持ち、
世論を操作するのに最も友好な” テレビ”
を、 活用しない手はない…。
ベトナム戦争以来、
戦争遂行を有利に導くための”道具”
として、重視されてきたのです。
ある真実の一部を切り取り、拡大したものを繰り返し映像に流し、
意識的に世論を操作する。時には”
でっち上げ”や”嘘”の映像を流して、国民や世論を欺こうとする。
その代表事例が、バクダッドの広場に立っていたフセイン大統領の銅像…2003年4月…
自然発生的に集まったバクダッド市民が、銅像の首にロープをかけ、引き倒した。子供がサンダルで銅像の頭を叩き引き回すと、
歓声が上がった。
「自由の力だ」と、ブッシュ大統領は歓喜の声を上げた。
しかし、これは米軍が仕掛けた”やらせ”だった。
後日、米国民間調査機関によって、
明らかにされたのです。
その後、バクダッド郊外の刑務所での、
イラク人虐待事件が発覚している。
おぞましい虐待シーンが、お茶の間に流れてきたのです。
人権問題として国際非難を浴びた米国政府…虐待行為に手を染めた憲兵を、軍法会議で処罰した。
正しく報道するなら、収容者を裸にし、ずきんをかぶせる行為は、自供を得るための”
拷問テクニック”として、それまで、米政府が承認してきた行為だったのです。
あふれかえる情報…私たちは茶の間に流れる映像を見て、
いとも簡単に情報操作されてしまう。
一般庶民を意のままに操る情報戦略…今後益々巧妙になっていくだろう。
アメリカやロシア、中でも中国からもたらされる映像は、そのまま鵜呑みにできないのです。