■日本人の「和」
の精神
日本人を漢字一字で表すと、「和」になるであろう。
日本人が好み、大切にすることばである。
この「和」の精神をさかのぼっていくと、聖徳太子の「十七条憲法」
第一条の書き出し
「和を以って貴しと為し…
」に始まり、以下の
ことばで結ぶところに行き着く。
「…上和らぎ下睦びて、
事を論(あげつら)ふに諧(かな)ひぬる
ときには、
即ち事理
(ことわり)自ずから通ず。
何事か成らざむ」
「上の者も下の者も協調し、親睦の気持をもって論議するなら、
おのずから物事の道理にかない、どんなことも成就するものだ」
意見が異なる相手に対し、自らの考えをわからせようとする前に、
まず自ら凝り固まっている”邪念や独善”のヨロイカブトを脱ぎ捨て、
素直に相手の意見・考えを聞き入れ、
自分との違いを受け入れる
「和」の精神が大切になってくる…
今週の倫理687
830 【吉村外喜雄のなんだかんだ 】
~日本人のアイデンティティ~
「農耕民族…日本人の特性・和の精神」
世界のほとんどの国は狩猟民族です。
牧草地を求めて家畜と共に移動する。
当然、良い牧草地は、強い部族が我が物にしようとする。
狩猟民族の歴史は、領土の覇権をめぐる戦い…民族移動の歴史です。
日本は島国です。四方を”海”に囲まれ、外敵に苦しめられることもなく、
山には獣が少なく、家畜を養う土地もない。
それ故日本人は、太古から農耕で暮らしを立ててきた。
農耕は人手がいる。村長(むらおさ)を中心に、
一族力を合わせて田畑を開墾し、
水路を開き、作物を育て、実りを蓄える…ために、
定住する必要があった。
農耕一筋の暮らしの中から、日本人の特性「和」
の精神が育まれたのです。
特性の幾つかを取り上げていくと…
(1)組織のリーダーには通常、温和で「和」を尊ぶ 「調整力」の
ある人物が選ばれる。
※狩猟民族のリーダーは、誰よりも力が強く、
戦う能力に優れた人物が選ばれる。農耕を営む日本人は、人望があって、人を束ねる能力の高い人を選ぶのです。
三人の猟師が狩りをしに山に入った。夕刻、1人の猟師は鹿を引きずって、
1人は兎を二羽ぶらさげて戻ってきた。残る1人は獲物もなく、すごすごと戻ってきた。
西欧なら、猟師は事前に契約した取り分を、当然の権利として持ち帰る。
獲物が無かった猟師は、
ひとかけらの肉も貰えない。
日本社会では、村長が獲物を一まとめにして、
村人みんなに平等に分け与える。
(2)まれに、ひときわ優れた能力を備えた人物が現れると、
組織は雪崩をなして追従 してしまうのが、日本人の短所。
※強いものには、不平があっても「長いものに巻かれろ」と、おとなしく従ってしまう。少数意見は、多数の中で口をつぐみ、黙してしまう。
集団を敵に回すことを避けようとし、多数派は少数派に、
組織の中で波風を立てないよう諌め、気配りする。
(3)1人で行動するのは苦手で、集団になると力を発揮し、
大いに成果を挙げる。
※HNKの「プロジェクトX」を見ていると、日本人の特性がよくわかる。
(4)危機が眼前に迫っているのに、呑気・鈍感である。
然し、一旦事が起きると懸命に対応し、
見事に処理して
しまう。
※災害大国日本は、頻繁に繰り返される災害で、鈍感になっている。
発生危険度80%の東海地震がそう。 震災に見舞われた、
阪神淡路大震災を思い出す。
(5)事故・事件・不祥事が起きると、先ず犯人探しに熱中する…
マスコミ報道に煽られ、猛烈に批判する。
ほとんどは一過性に終わり、
本質に迫ることはない。
(6)マニュアルや中期計画などの作成が好き…
立派に作るが、
それだけで終わってしまう。
※日本人で一番多い血液型はA型…几帳面でまじめ…
目先のことに囚われやすい国民性の表れでしょう。
(7)難しい問題に直面すると、結論を急がず、期限を曖昧に
して、問題を先送りしようとする。
※黒船到来時の幕府の対応がそう…国会答弁での「善処します」もそう…
問題を先送りしようとする…
いつまでに何をどう善処しようというのか?
普天間は、問題解決の期限を明確にしたために、
自らの首を絞めることになった、非常に珍しいケースです。