■日本とは異なる、韓国の大河ドラマ
韓国のドラマは、恋愛モノだろうが、歴史大河ドラマだろうが、
最初の3~4回は、主人公の子ども時代の描写から始まる…
これがないとドラマは始まらないのです。
子ども時代、主人公と家族、周囲の人物が、いかに不幸を背負わさ
れたか…出生の秘密、死に別れ、生き別れ、陰謀、病気、事故など、
これでもか、これでもかのてんこ盛り…
主人公はドロドロの不幸を背負わされ…背負わされた”怨み”を解き
ながら、ドラマは展開していく…日本のドラマは、水戸黄門のように
毎回”恨み”をすっきり晴らし、めでたしめでたしのザ・エンド。
韓国ドラマは、運命的ともいえる”恨み”を、一つ一つ解きほぐして
いくことで、積年の恨みが解消されていくのです。
小倉紀蔵著「心で知る韓国」
787 【吉村外喜雄のなんだかんだ 】
「韓流ドラマに魅せられて」
「韓流ドラマに魅せられて」
私が韓流ドラマにはまったのは、日本中の女性を夢中にさせた、
あの「冬のソナタ」でした。
美しい曲にのって、”初恋”の運命に翻弄される、ぺ・
ヨンジュンとチェ・
ジウの純愛物語…。
「冬ソナ」「美しき日々」に続いて、私を韓流ドラマの虜にしたのは…2005年NHKで放映された「オールイン運命の愛」…キム・イナを演ずるイ・
ビョンホンはかっこよかった。
その後、現代ドラマでは「ホテリア」「スポットライト」、大河ドラマでは「大王四神紀」
「大王世宗」など、面白いドラマが続いた。
「韓流ブーム」は日本のみならず、中国・東南アジアで大きな人気を得ている。
ストーリーは巨大な禁忌を設定して、その禁忌を犯そうとして犯しえない、
ぎりぎりの葛藤をテーマにした作品が圧倒的。
本人の知らない、血のつながった者どうしの愛だとか、教師と教え子の愛だとか、
過去に敵だった家どうしの愛とか、道徳的に問題のある関係が、
これでもかと繰り返され、描かれていく。
日本映画の、淡く清らかな”純愛”ものなど、見る気にならない。
ドロドロした人間関係の中で、
男女がもだえ苦しみ、だまされ・傷つき、それでも一途な思いを最後まで貫く…といった類の”純愛”が圧倒的に多い。それが韓国ドラマの魅力になっている。
日本の任侠映画に似ているようだが、日本映画全体に流れる”義理と人情”
といった観念の構図は皆無である。
小倉紀蔵著「心で知る韓国」
ドラマを通して、韓国の歴史・文化を知るようになった。
中でも、韓国で視聴率50%
を超えた「大長今
(チャングムの誓い)」は、
宮廷料理を題材にして、ストーリーの面白さはもちろん、毎回の宮廷料理をつくるシーンは、韓国の食文化に触れることができ、
ドラマをより魅力的にしている。
現在放映中の「女人天下」は150話、「チャン・ヒビン」で100話と、長編物が多い。
韓国では、最初に用意された台本に従って、ドラマを撮影していくのではなく、
脚本家が視聴者の反応を見ながら、臨機応変に脚本を書き換え、書き加えて、
台本と撮影がほぼ同時進行で、
製作されることが多いのです。
このような手の込んだドラマ…安上がり予算で、手間をかけず、
短期間に作り上げようとする日本の民放には、とても期待できそうにありません。