大阪出張の折、大阪国立国際美術館の”
ルノワール”展を観た。
「幸福の画家」として親しまれる、19世紀の印象派の巨匠です。
ボストン美術館、シカゴ美術館など、国外の美術館、そして、
ポーラ
美術館や国内の美術館が所蔵する”ルノアール”の作品が77点
集められ、毎日行列の出来る人気…来場者は30万人を突破した
という。
「女性と裸婦」を描く芸術家として親しまれてきたルノワール。
装飾芸術に関心を持ち、各地を旅して風景画を多数制作…。
そうしたルノワールの作品を、こころゆくまで堪能した。
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777 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~ことば遊び~ 「かなざわなまり(6)」
「頑張るまっし」「りくつな~」「気の毒な~」
「しなしなと」
金沢なまりは、文末の言葉、イントネーションに特徴がある。
「頑張るまっし」の
「まっし」は、
「しなさいよ」という意味の、金沢独特の言い回しです。
「早よ、しまっし」「片付けまっし」など、日常よく使われる金沢ことば。
「♪いらっし、見まっし、寄るまっし、ねェ、ほんまにいらァッし、寄るまっし…」
題名は忘れたが、金沢の方言・なまりを歌詞にした一節である。
金沢の方言で好きな言葉に、「りくつな~」「気の毒な~」がある。
「りくつな人や」とよく言う。
「りくつな~」は、「巧みな」
「面白い」「気のきいた」などの意味で、
物事ばかりでなく「あの子は親孝行で、
りくつな子や」と、人に対して使うこともあり、”プラス”
の評価を与える言葉である。
しかし、県外から来た人には、違和感がぬぐえない。
理屈といえば「理屈っぽい」
「理屈をこねる」のように、”マイナス”
のイメージに受け取めてしまうのです。
「気の毒な~」は、金沢だけの方言ではない。
しかし、金沢ではよく耳にする言葉です。
金沢では「ありがとう」より更に強く、感謝を込めた言葉として、広く親しまれているのです。
この言葉を県外から来た人が聞くと、「なんで自分が、
目の前の人に”気の毒な人”
と同情されるのか?分らなかった」という。
日本語における「気の毒」の本来の意味は、
他人の不幸や苦痛に同情して心を痛める、
「かわいそうに」という意味が一般的です。
そこで、江戸小話から…
『年ごろ四十五、六の米屋の男が遊びにやってきた。
その家の母と娘と三人でコタツにあたって、話しがはずんだ。男はついむらむらして、娘の手だと思って母の手を握ったところ、母はびっくり、大声を出して「あきれた、この人、
何しなさる!」…それを聞いて男もびっくり。
娘は二人の顔もよう見ずに、
” 気の毒がって”コタツから出て行った…』
語尾の「に」と「な」の違いで、まったく違った意味になってしまう。 金沢ことばの
「気の毒な~」 は、自分が相手にかけた面倒に、”感謝の意”
を表した言葉が一般的です。
しかし、同情するときにも使われる。
「あんたのお里、能登の輪島やと聞いとったが、こないだの地震どうやったがいね」『地震で、家が傾むいてしもぅたがや』
「アリャ~ほんながかいね、気の毒に」
金沢ことばに「しなしなと…
」がある。年配の女性が、お客を店から送り出すときに、 「しなしなと行っておいだすばせ」という。
慌てずに気をつけてお帰りください…
そんな気持ちが込められている。
「しなしなした女(ひと)」と言うと、なよなよした女と、
マイナスの意味にとるのが普通です。
しかし金沢では、「しなしなとした女らしい娘さんやねェ」となる。
もっぱらプラスの意味に使われてきた。
この言葉を若い人が言うときは、「しな~ッと」になる。
「頑張りまっし、金沢ことば」より