■5月連休・串本に潜って
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 763】
「病んでいる海」
南紀の最南端・串本のダイビングスポット””…そこに広がる景色は、
まるで南国の海…
海底一面テーブルサンゴ…
沖縄の海にも見劣りしないサンゴ礁が…見事な風景である。
まさかこんな近海に、南海のパラダイスが潜んでいるとは…4年前、
初めて四国の海に潜った時も同様だった。
昨年と一昨年の正月、そしてこの5月の連休、和歌山県串本・大島の海に潜った。
今年の正月は、静岡県の沼津・西浦の海に潜っている。
本州の海では見られなかった、珊瑚礁と熱帯魚の群れ…
温かい季節に黒潮に乗って、表日本や裏日本の沿岸に熱帯魚がやって来て、住み着く。
しかし、冬になると水温が下がり、すべて死滅してしまった。
ところが十年くらい前から、温暖化の影響でしょう…
越冬して住みつくようになった。と同時に、
今まで普通に見られた季節の魚が姿を消し、亜熱帯系の魚が遊泳するようになった。
冬の北陸を象徴するブリや鱈、春の鰯…
何れも漁獲量が激減…食卓から姿を消してしまった。
讃岐うどんの香川県では、うどんのダシに欠かせないイリコの原料”カタクチイワシ”が品薄になり、
うどんを値上げせざるを得なくなっている。
カタクチイワシは「ちりめんじゃこ」、あるいは「シラス干し」
として庶民に親しまれた食品。カタクチイワシが減れば、それをエサにする大型魚も減っていく。
以前に比べ、海水の透明度が上がったように思うが、
ペットボトルやポリ容器などの石油系廃棄物の漂着が増え、海岸と海底はゴミだらけ。
美しい海底散歩のつもりが、ビニール、
空き缶、ペットボトルが海底に散乱…見苦しく興ざめである。
底引き網漁船は、大量のゴミに悩まされているという。きれいに見える海も、
海底はゴミだらけなのです。こうした生活ゴミが、
海底を窒息状態ヘドロ化し、生物が住めない海にしていく。
更に、河川の護岸がコンクリートで固められたことで、海に流れ出る栄養分が減少。海辺に生息する動・植物が減っていく…海の生態系が乱れていく。人間による自然破壊が、私たちの生活環境を破壊していく。
豊かな自然、豊かな海を取り戻さなければならない。
そのために、自然を守る意識をもっと高めなければならない。