■「補完代替医療」に取り組む金沢大学
今、医学会は、従来の「対症療法」一辺倒の考え方から、より副作用の
少ない「生薬」や「漢方」を併用した「予防医学」に注目している。
金沢大学では、全国の大学に先がけて、古くから伝えられてきた生薬
やアガリクスなどの、天然素材の研究に取り組んでいる。
◇金沢大学大学院”鈴木信孝”教授(日本補完代替医療学会理事長)
アメリカでは、天然素材の疾病予防への応用・研究に、多額の国家
予算が充てられている。長い時間をかけて、信頼性と安全性を厳し
くチェックし、予防剤の開発に取り組んでいます。
◇金沢大学大学院”大野 智”教授
私はもともと消火器外科医で、ガン患者と接する機会が多く、患者の
9割近くが医師に相談なく、サプリメントやはり治療を行っているのを
見てきました。
2002年、金沢大学に日本で初めて”補完代替医療”の研究講座が
開設されたのを機会に、効果についての実態調査を行っています。
758 【心と体の健康情報】
~食と健康~
「日本人の食生活と病気」
今から五十年くらい前の日本には、「成人病」という言葉はなかった。
今は、小学校の学童検診に糖尿病の検査があるご時世。
肥満児の増加で、脳血管障害、
肝臓病など、本来大人の病気のはずのものが、
子供たちにも見られるようになったのです。
50年前、こうした病は「老人病」だった。それが
「成人病」と言われるようになり、今では「生活習慣病」
と名前を変えざるを得なくなったのです。
日本人の食生活が、この50年の間に「和」から「洋」に大きく変化したことが、
その原因です。
「ご飯は残してもいい、
オカズをしっかり食べなさい」と、飽食の時代に育った子供たち…毎日牛乳を飲むことを奨励されて育った世代だ。
国連の調査では、牛乳の消費量の多い国は、結腸ガンや直腸ガン、
乳ガンや肺ガンの死亡率が高いと警告している。
以前は、アメリカも牛乳を奨励していた。現在では、週2~3回が適当と指導している。
牛乳の例にあるように、日本での間違った考え方が、
医学が飛躍的に進歩していく中にあって、アトピーやアレルギー患者を増大させ、
動脈硬化に絡む心臓病、脳障害、癌などの生活習慣病の増加を招いているのです。
食生活を改善するには、ご飯を中心とした「5:2:1」
の食生活に改めるのが理想と言われている。
全体を”8”としたら65%の”5”は「穀物」を食べる…
出来れば未精製の穀物がいい。
”2”の25%は「野菜や海草」、
そして”1”は「魚貝類」
を摂る。これは今から25年も前、
アメリカの「マクバガン報告」に書かれている文章です。
1960年代のアメリカ…国民1人当たりの医療費は、世界一だった。
平均寿命は世界26位…このままではアメリカは破滅する…と、上院の栄養問題特別委員会は、
世界から学者を集めて、
食事と健康の調査をした。そして1977年、5千ページに及ぶ膨大な調査結果、
「マクバガン報告」を発表したのです。
「癌や心臓病の増加は、誤まった食生活による」と発表。
「肉・卵・乳製品・砂糖」などの摂取を控え、「穀物を中心とした食事」に改めるよう提案している。
そして報告書は、
味噌汁や豆腐などの日本食を高く評価しているのです。
現在のアメリカ…マクバガン報告が功を奏して、食生活の改善が進み、
生活習慣病が減少傾向にあるという。
一方の日本…共働きによる専業主婦の減少などで、手のかかる和食が嫌われ、
食卓はハンバーガー、 クリームシチュー、オムレツ、鳥のから揚げなど、
一昔前のアメリカのような、 高タンパク、 高脂肪の食事が中心になり、
生活習慣病の根源である、 肥満・メタボが国民的話題になっている。
その結果、ガン・糖尿病・肝臓障害・高血圧に悩む人が右肩上がりに増えているのです。
日本が世界一の長寿国を維持しているのは、70歳代以上の世代の、
和食を中心とした、 いたって質素な食生活によるもので、
平均寿命を飛躍的に押し上げていることを忘れてはならない。