■政治に期待が持てるか…
3月31日の読売朝刊…
二つのニュースが一面のトップを飾った。
一つは、亀井郵政改革相が悲願とする「郵政改革法案」が、鳩山
総理の決断で了承したこと。
もう一つは、小学校教育の根幹「ゆとり教育」との決別。教科書の
ページ数を一気に40%増量…低下した学力の向上が目的とか。
政治(歴史)の揺り戻しである。十年くらい前に、それまでのヒズミ
問題を改革しようと、国会で可決し実行したことが、ここに来て、
元に戻そうというのです…。
何が良くて、何がよくないのか?…私たちにはよく分からない。
政治が決定する施策に、”風にそよく葦”のごとく右往左往するだけ。
今後世の中、更に暮らしにくくなるだろう…21世紀半ばになって、
国に、国民の幸せを守るエネルギーが残っているだろうか?
国の財源不足が問題になる中、次々可決されるマニフェスト法案。
参議院選挙の票集めが本音だとしたら?…国民はやりきれない。
752 【心と体の健康情報】
~子育て~ 「教育は家庭から」
終戦直後、食べることがままならない時代に育ち、
ひたすら豊かさを求めて、懸命に働いてきた私たちの世代…日本の歴史をひもどき、今ほど幸福に満ちた時代はない。
しかし、現実に目を向けると、社会が抱える問題に”自殺といじめ”がある。
2009年まで12年連続、年間の自殺者が3万人を超えている。
今に生きることが決して幸せではないことを、数字が示しているのです。
何故なんでしょう? 家族は気付かなかったのでしょうか?
会社の上司や同僚、学校の先生や同級生…
手を差し延べられなかったでしょうか?
親は、一日に何度も子どもの顔を見ている…会話はなくても、
いじめに合っていれば顔に出ているはず…家族も、学校も、会社も…コミュニケーションが不足しているのでしょうか?
少し前の時代、私たちの子どもの頃は、家族や親戚との結びつきが強く、
隣近所との触れ合いは、 今よりずっと強かったように思う。
親に言えない悩みがあっても、 おじさんやおばさん、近所のだれかに相談できた。
「人と人、お互いを大切にして初めて人間になる」という意味の”人間”
という言葉…
この素晴らしい日本語が失われようとしている。
古来日本人は、自分のことしか考えない「利己的」な人間よりも、家族を大切にし、社会の交わりを第一に考える「和」の精神を、
何より大切にする民族でした。
学校教育の現場では、お役立ちになることの大切さや、
人間愛の重要性を教えているでしょうが…
ひたすら学力を高めて、良い高校、良い大学に入ることのみを目的に、勉強させていないだろうか。
近年、日本の学童の学力が後退しているとはいえ、日本の教育・
学力は世界のトップクラスです。
より良い人間を育て、社会に送り出すことを教育の主眼にすべきでしょう…
苦しんでいる人、自分より弱い人間、貧しい人を助ける人間を育て、友愛の精神を育んでいきたいものです。
子どもの頃、父は「お米一粒でも粗末にしてはならない」
と厳しく教えた。
母は、
「おはようございます」「おやすみなさい」の挨拶、
脱いだ着物を畳むことなど、身の回りへの気配りを教えた。
教育を学校任せにするのではなく、
家庭内での躾けが大切なことを忘れてはならない。フランシスコ・ザビエルやペルーが見た日本人…正直で、礼節を尊び、
質素倹約に努め、よく働き、勉学に励む…今こそ、
本来の日本人をとり戻すときが来たようです。
カソリック教会大司教/ヨゼフ・ピタウ「教育と信仰」