■「論語よみの論語知らず」
中国古典「論語」…二千年以上前もに書かれたものだけに、
言葉の意味が現代と違っていたり、書かれた時代背景を知らずに、
現代の言葉の意味をそのまま当てはめてしまったりして、
間違った解釈をし、分かったつもりになっている。
また、素読を繰り返し、解説を読んで、論語を学んだつもりでいても、
孔子が言う本当の意味を学ばなければ、「論語よみの論語知らず」に
なってしまう。
長い年月論語を学んだ人でなければ、この言葉を人に投げかける
ことはできないだろう。
少し読みかじった程度の私には、とてもとても…
論語を人に語るとき、知ったかぶりは慎まなければならない。
748 【心と体の健康情報】
~古典から学ぶ~
孔子の教え(30)
「何を五美と言い、四悪と言うのか?」
民主党…政権を奪還して半年…マニフェストのトーンダウンで、
最近は人気も下降ぎみです。
あちらを立てれば、こちらが立たず…代議士の先生方…理想と現実のギャップに、責任政党の難しさと厳しさを、かみ締めているのでしょう…
弟子の子張が先師に尋ねた。
「どのようにすれば、政治を立派にやっていくことができましょうか」
「子曰く、五美を尊び、四悪を退くれば、これを以って政に従うべし」
(尭曰第二十)
「先師が答えられた。”五美”を尊び、”四悪”をしりぞけることだ」
弟子の子張が「何を五美と言うのでしょうか?」
と先師に尋ねた。
「子曰く、君子は恵して費やさず、労して怨みず、欲して貪らず、
泰(ゆたか)にして驕(おご)らず、威にして猛からず」
「先師が答えられた。
政治を行う者は…必要な恩恵は与えるが、お金はかけない。
民を働かせても、怨みは買わない。
欲っしても、
欲張らない。
然としているが、
おごりはしない。
威厳はあるが、
猛々しくはない
…この五つだ」
弟子の子張が「何を四悪と言うのでしょうか?」と先師に尋ねた。
「子曰く、教えずして殺す、之を虐(ぎゃく)という。
戎(いまし)めずして成るを見る、之を暴という。
令を慢(ゆる)くして期を致す、之を賊という。
之をひとしく人に興(あた)うるに、出内(すいとう)
の
吝(やぶさ)かなる、之を有司(ゆうし)という 」
「先師が答えられた。
民を教えないで、罪を犯したからといって、
殺すのを”むごい”と言う。注意もしないでよい成果を求めるのを、”むちゃ”と言う。
命令を緩やかにして、実行の期限だけを厳しくするのを、”そこなう”と言う。
どうせ出すものは出さなければならないのに、
けちけちして出し渋るのを”小役人根性”と言う」
親は我が子を、上司は部下に、物事の良し悪しを教えないで、
悪いことをしたからと罰する…。
何も教えないで、成績や成果を求めようとする親や上司…
”四悪”の一つや二つ、
私たちにも心当たりがあるようです。
人の上に立つ者の、リーダーに必要な心構えがよく示されている。
理念と経営・伊與田覚「論語の対話1月号」