■孔子の教え「仁」
○物のやりとりには”4通り”ある
・取ったうえにも取る
(take & take)
・先に取ってから与える (take &
give)
・先に与えてから取る
(give & take)
・与えた上に更に与えて報いを求めない (give & give)
人との交わりにおいて、与えるのは難しく、取る方は楽です。
孔子は、難しい与える方を先にして、楽な取る方を後にした…
すなわち、
「先難後獲」
が人間らしい在り方で、その心を「仁」と
言っているのです。
生きていくための最も大切な”息”は、吐く方が先である。
金銭出納帖も、”出”が先になっている。
伊与田 覚「論語のはなし」
723 【心と体の健康情報】
~古典から学ぶ~
孔子の教え(25)「千里の道も一歩から」
「君子の道は、たとえば遠きに行くに、必ず近きよりするが如く、
たとえば高きに登るに、必ず低きよりするが如し」
(中庸・第十五章)
「君子の道は、たとえば遠い所に行くのに、必ず近い所から始めるように、
即ち千里の道も、一歩から歩き始める。また高い山に登るのに、
必ず低い所から登り始めるようなものだ」
「中庸」の中にあるこの言葉…「千里の道も一歩から」と、
日頃私たちが口にしている言葉と同じです。
論語は、孔子が残した言葉を、弟子たちが”語録”としてまとめたもので、
「中庸」は、孔子の孫である”子思” が、
おじいさんの思想を、理論的・体系的に著したものです。
その孔子、論語の中で、同じようなことを言っている。
「子曰く、
速やかならんと欲することなかれ。
小利を見ることなかれ。
速やかならなと欲すれば、則ち達せず。
小利を見れば、
則ち大事成らず」
(子路第十三)
「先師が言われました。速やかに成果を上げようと思ってはいけない。
目先の利に囚われないようにしなさい。
無理に速くしようと思えば、目標には到達できない。
目先の利に囚われると、大きなことは完成しないよ」
「遠きを計る者は富み、
近くを計る者は貧す」
これは、二宮尊徳翁の言葉です。
松下幸之助は、「『近くを計る者』とは、『私心で経営する者』のことだ」と言っている。
私心、つまり”私利私欲”に囚われた経営者のことで、
そんな経営者は必ず失敗する…「私的欲望に打ち勝つ経営者であってこそ、
事業は隆々たる繁栄・
発展をもたらす」と…。
「理念と経営・伊与田 覚・論語の対話」より