■出来ると思えば出来る
8月、ベルリンで世界陸上が開催され、女子マラソンで、
国際大会初出場の尾崎好美選手が、みごと銀メダルを獲得したことは、記憶に新しい。
日本でマラソンの代表選考が行われたのは5月…補欠2名を加え、
男女5人を選出…北京五輪の雪辱を誓う。
選出された女子ランナーは、26~32歳のベテラン揃い。
マラソンは、他の陸上競技と異なり、30歳前後が最も実力が出るスポーツのようです…中でも、赤羽有紀子選手は、
国際マラソン日本選手初のママさんランナー。
北京五輪では、5千と1万メートルに出場…29歳でのマラソンデビューでした。
結果は31位と、力を出し切れずに終わった。
昨年秋、石川県で第一回100キロ歩が行われ、友人が何人も完走した。
100キロと言えば、金沢~七尾間…小松まで30キロ歩くのも大変なのに…
驚きです。当人たちは事もなげだが、「100キロ歩き通す」という強い意志と決意がなければ、為し得ないことです。
「出来ないと思えば出来ない!やれると思うから出来るのです」
698 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~かなざわなまり(5)~
「どぶす」「おんどべ」「どっぷ~とつかって…」
「だちゃかん」「だんない」「おんぼらぁと」
「いんぎらぁと」
「なごなる」「ねまる」
三十代の頃よくマージャンをした…負けが込むと「どぼすになった」と、よく言ったものです。
道路の脇にある側溝のことを、かなざわことばで「どぼす」或は「どぶす」と言う。
この言葉からくるイメージは何とも汚い。
下水設備がまだ不完全だった頃、「どぶす」の底は、真っ黒な泥に糸ミミズがゆらいでいた。
汚い言葉といえば「おんどべ」
がある…お尻のことである。
関西弁の「おいど」に比べると、何とも汚ならしい言葉です。
かなざわことばには、このほか「どっぷ~とつかっている」(浸りきっている)、「だっちゃかんがや」(らちがあかん)、
「だんない」(大丈夫)など、濁音を含むことばが多く、
リアリティで肌にふれる言葉が多い。
更に、どことな~く間延びした言い回しが多いのも、かなざわことばの特徴です。
「おんぼらぁ~と」「いんぎらぁ~と」「しな~っと」
などがそうです。
「おんぼらぁ~と、食んまっし」と言うように、ゆっくり、
ゆったりした様子を表現する言葉が「おんぼらぁ~と」
である。
「おんぼらぁ~と」とよく似たことばに、「いんぎらぁ~と」がある。
生粋の金沢人は、この二つを使い分ける。
「おんぼらぁ~と」は量的なゆとり、「いんぎらぁ~と」は空間的ゆとりを表している。「おんぼらぁ~と」は、食事を勧める時に、
たっぷりと存分に、という気持ちを込めて言う。
「いんぎらぁ~としていくまっし」(のんびりしていったら…)という言い方は、
同じゆっくり、ゆったりでも、お寺の空間のような広々とした意味がある。
いろりの周りに集まって、あぐらをかいてくつろぐときに、ねぎらう意味で使われていたが、今は過去の言葉で、耳にすることはない。
もう一つ、ゆったりことばで忘れてはならないのが「なごなる」。よその家を訪れたとき、奥さんが出迎えて、「よう来られました…まあ、なごなるまっし」。
「なごなる」とは「長くなる」。つまり、体を伸ばして横になる、
寝そべるという意味になる。
合わせてよく使われたのが「いんぎらぁ~と…」
である。
いずれも、
お客さんのようによそよそしくならないで、自分の家にいるように楽にしてほしいとの意味で、
優しい心遣いが伝わってくる。
茶の間に通されて、「そこにねまるまっし」と、座る場所を指さされる…この「ねまる」
も金沢弁である。
「頑張りまっし、金沢ことば」より