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道元禅師の教え「貧に道あり」

「貧に生きる」ことは難しい
仏教の「貧に生きる」の教え、キリスト教にも同じような教えがあります…
 
イエス・キリストのところに、ある裕福な武道者が尋ねてきた。
武道者「師よ、私は何をしたら永遠に罪を削ぐことができるでしょうか」
イエス 『モーゼ律にあるように、姦淫せず、殺さず、盗まず、汝の父母を敬いなさい』
 
武道者「そういうことならば、私は物心ついた頃からずっと、守ってまいりました」
イエス 『更に足らぬことが一つある…今汝の持てる物をことごとく手放し、貧しいものに分かち与えよ。その後に来たりて、我に従え… 』と言われた。
 
それを聞いた武道者、大変悲しみ、恐れ、イエスのもとを去っていった。
 
立ち去る武道者の後姿を見て、イエスキリストが言われた。
「富める者の神の国に居るは、ラクダが針の穴を通るよりも難い…」
 
一度豊かな暮らしを経験した者は、神の国入ることは不可能であろう…と。
今の豊かな暮らし…長い年月をかけて手に入れた土地や家や財産のすべてを、手放せと言われたら、今の私には出来ないでしよう…。
 
 
 
675 【心と体の健康情報】 
~古典から学ぶ~
「道元禅師の教え・貧に道あり」
 
なんだかんだ579号」、孔子の教えは…
『子曰く 貧しくして怨む無きは難く、富みておごる無きは易し』                                                  (憲問第十四)
「孔子が言われました。貧乏しても、不平を言わないことは難しい。 金持ちになっても、おごり高ぶらないことのほうが、まだしもやさしい」
 
孔子は、「貧乏で不平を言わない者よりも、貧しい中で、 心の楽しみを失わな者のほうが、 より優れている」と言っている。
お金さえあれば何でも手に入る、豊かな時代に生きる私たちには、「貧しくあれ」という道元禅師の教えを、孔子の言うように、 素直に受け入れることは至難のことです。
 
「貧に生きる」とは、「貧しくあれ」という意味ですが、「貧乏に生きなさい」 という意味ではない。「物欲から離れなさい」という意味に解釈します。
 
以下は、「正法眼蔵隋聞記 四ノ十一」、”財多ければ志を失う”の教えです…
 僧来たりて 学道の用心を問ふついでに、 示(じ) にいわく、学道の人は 先づすべからく貧なるべし。
 財多ければ 必ずその志を失う。
 在家学道の者、なほ財宝にまとはり、 居所を貧(むさぼ)り、 眷属(けんぞく) に交われば、たといその志ありと云へども、 障道の縁多し。
 ……………… (略)……………
 僧は一衣一鉢のほかは 財宝を持たず、居所を思はず、
 衣食を貧(むさぼ) らざる間、一向に学道す。
 これは分々皆徳益あるなり。 その故は、貧なるが道に親しきなり。
                           
 ある僧が道元禅師の所にやってきて、 修行のうえでの心得を質問 した。
禅師は言われた、修行者は第一に貧しくなければならない。 
財産が多ければ、 必ずや、 道を求める志を見失うことだろう…。
 
 自宅で仏教修行をしている一般の人も、財産に囲まれて、良い住まいを求め、 家族や親戚と交わっていれば、どれだけ高い志があっても、修行の妨げとなり、修行にならないだろう。
 
 これに対して僧侶というのは、昔から一枚の袈裟と、 一鉢のお椀し持たず、 自分の家を持とうと思わず、衣食にこだわらない…ために、 ひたすら修行に打ちむことができる。
 これはそれぞれ、利益を得る (俗世界のモノに心を奪われることがない)とこがあるからである。 その理由は、貧しいことが道に親しめることになるので
 
修行する者は”道を求める”のが第一…”財”は修行の妨げになる。
財産を持っていると、失うまいと思ったり、 奪われまいと心配したり、何かとずらわしい心配事が増えてくる。
僧侶は必要最小限の物以外、何も持たず、持つ必要がないため、精神的に安楽られ、 ひたすら修行一途に打ち込めるのです。

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