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啓発録・交友を択ぶ(2)

■"野中兼山(1615~1663)"のみやげ

土佐藩主山内候の家老で学者の"野中兼山"。藩の殖産興業に功績があったことで知られる。兼山、江戸から国もとに帰るとき、船1隻分、 アサリやハマグリをお土産に積んで、土佐の浦戸湾に戻ってきた。その当時土佐の海には、アサリやハマグリがいなかったのです。

先に書き送った手紙で知った親戚友人、「久しぶりに珍しいものが食べられる」と、
港に集まってきた。するとどうしたことか兼山は、人々の見ている前で、持ち帰った船1隻分のアサリとハマグリを、 全部海の中に投げ込ませてしまった。

人々は驚いて、「せっかく持ち帰った土産をもったいない。何も海に捨ててしまわなくても…」と詰め寄ると、兼山は笑って「いやいや、 諸君の土産にするだけでなく、諸君の子供、子々孫々に至るまで、いやほどアサリとハマグリを食べられるようにしたいと思うてな…」 と言いました。

あれから三百有余年。今では、こうした貝類…この土地の名産になっている。
長岡藩の「米百俵の精神」もそう…。今、日本政府は、百年に一度の大不況を乗り切ろうと、国のお金"2兆円"の使い道をめぐり、与野党・ 議論沸騰…。

子曰く 故(ふる)きを温 (たず)ねて新しきを知る 以って師と為るべし
( 孔子が言われた。古いことを尋ねて、そこから新しいことを知る者は、
 人の指導者になれる )


【心と体の健康情報 - 640】
~古典から学ぶ~ 「啓発録・交友を択ぶ(2)」

橋本佐内の「啓発録」から…前回の 「交友を択ぶ」の続きです。

友人には「損友」と「益友」がある。 その違いを見極めて選ばなければならない。
さて、すぐに心安くなれる「損友」とは違って、「益友」というのは実に気遣いなもので、交際する上では、 ときどき面白くないこともある。

そこの点をよくわきまえて付き合うのが「益」である。つまり、自分の悪いところを遠慮なく注意してくれるのが、 「益友」なのである。
「益友」を見定めるには、その人物が…
「厳格で意思が強いか」
「温和で人情厚く誠実であるか」
「勇気があり果断であるか」
「才智がさえわたっているか」
「小事に拘泥(こうでい)せず、度量が広いか」
という、五つの点を目当てにすればよい。

こうした人物は、いずれも交際する上では気遣いが多く、世間の人からは、はなはだしく嫌われているものである。
それとは反対に「損友」は、他人にへつらい媚び、人に気にいられるように阿(おもね)ることを専(もっぱら)として、 小利口で落ち着きがなく、軽々しく、いい加減な性格の持ち主である。

こうした人は、いずれもすぐに心安くなれるので、世間のつまらぬ人々が、その才智や人柄を誉めたりするが、 聖賢豪傑になろうと志すほどの人物は、友人を選ぶにあたって、彼らとは違った厳しい目を持たねばならない。

橋本左内の「啓発録」、江戸時代の末期に書かれ、150年を経た今日においてなお、その内容は驚くほど新鮮です。 我が故郷が誇る偉人として、子ども達に教え、後世に残し、伝えていかなければならない。

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