米国はすごい国
1967年、黒人エリート医師と、白人女性との結婚話を題材にした映画「招かざる客」が、
米国社会の人種差別に強烈な問題提起を行った。
娘の父親は新聞社主…苦悩の末、娘の結婚を認める…そんな物語です。
当時は、黒人とキスするなどもっての外…殺されかねない時代でした。
全米16州で、黒人と白人の結婚が禁止されていた。
劇中、主人公の黒人医師が、恋人の父親から子供について聞かれ、答える場面がある…「彼女は、子供は大統領になって、
多人種の政権を作るって、考えています」
42年後、このセリフが現実になった。
ケニア人の黒人男性と、カンザス州の白人女性との間に生まれた政治家、バラク・オバマ氏が大統領になった。
わずか40年の時の流れの中で、かつては不可能だったことが可能になった。
米国は、そんなすごい国です。
1/22 読売新聞
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 635】
~歴史から学ぶ~ 「国家のために何をなすか」
第35代合衆国大統領ジョン・F・ケネディ…
1963年、人気半ばに暗殺されたことはよく知られる。
大統領就任演説で、「国民は国家に何をして貰うかでなく、国家のために何をなし得るかを考えよ」
と述べ、名演説として歴史に残った。
2009年1月20日正午過ぎ、第44代大統領に宣誓したバラク・オバマ…
リンカーンが1861年の宣誓で使ったのと同じ聖書を、左手に置いての宣誓です。
就任演説では「世界は変わった。だから我々も世界と共に変わらなければならない」と強調。ケネディの言葉を引用して 「我々は責任を果さなければならない…米国民一人ひとりが、自分と自国、世界への義務を喜んで果さなければならない…」と促した。
1/22の読売朝刊
平和な国日本…そこに住む私たち…世界有数の充実した医療制度、治安、教育等々、生活の隅々まで手厚く国の保護に守られ、
国に依存した暮らしをしている。
世界に誇りうる、豊かで安全な国に住みながら、どこまで国を思い、恩に報い、国のために奉仕する気があるだろうか?
日本の総理が、ケネディにあやかって、「国民一人ひとりが、国家に何をして貰うかでなく、国家のために何をなし得るか、
考える時が来た」と国民に訴えたとしら、私たち国民は、それを素直に受け入れられるだろうか?
日本の政治家が言えば…各方面・マスコミから、格好の攻撃材料にされるのがオチだろう。
今年の秋NHKで、"明治の日本"を題材にした、司馬遼太郎「坂の上の雲」が大河ドラマになる。明治の日本は貧しく、 国は多額の負債を抱え、国民は極度の貧困にあえいでいた。
以下、「論語の友・明治の日本人と平成の日本人」から…
明治の国家は、国民に充分に与えるものを持たず、国民は国から何の保護も受けられなかった。それでも国民は、素直に礼節を守り、
国家に身を捧げて、国恩に報いんとした。
今の日本人…国を慈しみ、国の恩に報いようとする意志は薄い。
国民の国防や納税に対する義務意識は極めて薄く、免れようとさえする。
そのくせ"権利"は声高に主張する…。
「愛国心」を鼓吹するつもりはない…が、わずか百年足らずの間に、
これが同じ日本人かと…精神の堕落ぶりを、嘆かざるをえない。