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私ほど不幸な人間はいない

■子どもの頃、父親から学んだ「質素倹約」の心得

「上見て暮すな、下見て暮せ…」
自分より良い暮らしをしている人を見ると、つい、うらやましく不足の思いに駆られる。
自分より貧しい人が沢山いることを、忘れないことです…。
今日こうやって、家族揃ってご飯が食べられることに、感謝しなければならない。
いつ、いかなる時も、感謝の心を忘れてはならないのです。

「贅沢は敵」
輪島塗の箸を買ってきて御膳に添えたら、お茶碗がみすぼらしく見えた。
そこで、お茶碗を買い替えた。
そうしたら、麦ご飯ではなく、お茶碗にふさわしい、白いご飯が食べたくなった。
ご飯の次は…おかず…と、贅沢をしだしたらキリがない。
贅沢を覚えたら、後戻り出来なくなる…贅沢は敵だ!


【心と体の健康情報 - 620】
~幸せな人生を歩むために~
「私ほど不幸な人間はいない」

■心のあり様で、幸せにもなり、不幸にもなる
私たちの身の回りに生起する苦難…病気、災難、貧苦などの原因は、その人の心のあり様にあるとされています。
どんなに素晴らしい指導を受けても、受け入れる側が、しっかり受け入れる心を持っていないと、心の転換が図れず、問題は解決しません。

心を、コップに例えると、自分の考え・思いがコップいっぱい満たされているときは、周りの忠告を受けいれようとしません。
人の意見を100%受け入れるには、自分の心のコップを空っぽにしておかなければなりません。

倫理研究所 「今週の倫理580号」より

■幸・不幸のモノサシ(1)
三つの洗面器があります。左から順に20度、30度、40度のお湯が入っています。左手を20度のお湯に、 右手を40度のお湯に浸します。それから、左右の手を同時に、真ん中の30度の洗面器に移します。

20度のお湯に浸けていた手は、「暖かい」と感じるでしょう。
40度のお湯に浸けていた手は、「ぬるい」と感じるでしょう。
同じ30度のお湯なのに、左手と右手は違った感覚を持ちます。

■幸・不幸のモノサシ(2)
園で野宿をしている乞食。道に落ちている500円硬貨を見つけて、
「おお~神様、これで今日の飢えをしのぐことができます」と、手を組み、
天に向かって感謝した。

自動車で通りかかった金持ち…道路に光るものがあったので、スピードを緩め、
よく見たら500円硬貨だった。しかし、クルマを止めずにそのまま走り去った。
乞食には、500円硬貨は大金ですが、金持ちには、ほんのはした金。
落ちていたお金…はした金に見えるか、大金に見えるかは、受け取り手しだいなのです。

■お釈迦様の教え
お釈迦様の時代。インドのコーサラ国に、ガウタミーという女性がいました。
彼女には一人の男の子がいました。結婚して、なかなか子どもが授からなかったのですが、ようやくにして生まれた子どもです。
彼女の可愛がりようは、いささか常軌を逸していました。
ところがその男の子、突然死んでしまいました。よちよち歩きを始めたばかりの、かわいい盛りの死です。
ガウタミーは、子どもの死体をかかえて、街中を走り回ります。
「どなたか、この子を生き返えらせてください」
彼女は狂ったように叫んでいます。何日も子どもを抱えて離さなかったため、腐り始めて、臭いがしています。それでも彼女は、 死体を離そうとしません。

『女よ、わたしがその子を生き返らせる薬を作ってあげよう…』
そう声をかけた人がいました。お釈迦さまです。
そしてお釈迦さまは、ガウタミーに、薬の原料となる"カラシ種"を貰ってくるようにと、お命じになりました。

ただし、条件が一つありました。そのカラシ種は、これまで一度も死者を出したことのない家から貰ってきたものでないと、 効き目がない…と。

ガウタミーは、街中の家々を訪ねて回ります。
「お宅では死者を出しましたか…?」
どの家も、どの家も全部、死者を出したことがある家ばかり…ある家では去年、子どもが死んだと聞かされました。夫が死んだと、 涙ながらに語る妻もいました。
ガウタミーの狂気は、少しずつおさまっていきます。
悲しみに打ちひしがれているのは、自分だけではないことがわかってきます。
どの人も、じっと悲しみに耐えているのです。
彼女はお釈迦さまの所に行きます。『女よ、カラシ種を貰ってきたか?』
「いいえ、お釈迦さま、もう薬はいりません。この子をダビに付してやります」
ガウタミーは力強く、そう答えました…。

新潮社 ひろさちやの「般若心経・第8講」

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