■最初の4分間
初めて会った人…その人がどんな人かを判断するのに、そんなに時間を要しない。
良い人か悪い人か、好きなタイプか、嫌いなタイプか…これから付き合っていきたいか、これっきりにしたいのか…自分より偉い人か、苦労人か…
。
いろんな観点から観察して、無意識のうちに"ねぶみ"をしているのです。
アメリカの"ズーニン"という心理学者は、
「人は出会ってからわずか4分の間に、その結論を出す」と言っている。
つまり、最初の4分間が決め手。初印象が悪いと、それが相手の脳裏に刻み込まれて、後々まで残り、それをくつがえすことが困難になってくる…
。
人は見た瞬間、「こいつはダメだ」とか、「この人はできる」などと判断する直感力を有している。どんな風に見られているか…
人間関係の良し悪しに影響し、人生に影響していく。
ならば、相手に良いイメージを持たれようと、初対面をつくろってみても、直ぐに、正体を見破られるだろう。
先々週No.608号で…「人が自分のことをどう見ているか?」と、思い悩む前に、身近な家族や、
職場の部下を理解出来ないでいる自分を、思い悩むべきでしょう。
【心と体の健康情報 - 612】
~子育て心理学~「いじめをどうなくす」
週に数度、二人の孫を幼稚舎へ送迎している。 夕方迎えに行くと、噛まれたり、顔をくじかれ、絆創膏を貼って部屋から出てくる。
幼稚舎の先生が詫びを言う。
子ども達の集団の中に、体の大きな子や、力の強い子がいて、自分より弱い子に、イジメに似た行為をする。
以下、大坂樟蔭女子大学学長/森田洋司「いじめ自殺どうなくす」から…
子ども達の社会から、いじめが無くなることはないだろう。
いじめの被害を軽く見てはいけない。自己を形成する途中の子どもが"いじめ"を受けると、心がずたずたに切り裂かれ、
耐えられない状態になってしまう。
いじめられている子は孤立し、いじめる子は、歯止めがかからない。
注意して観察していても、見えないのが"いじめ"。いじめはなぜ起きるのでしょうか?
人の集団には、力のアンバランスがあり、優位に立った人間が、その力を悪用すると"いじめ"になる。いじめがエスカレートすると、
集団の中でターゲットになるいじめられ役が、固定化されていく。
いじめは、いじめる子、いじめられる子、はやしたてる「観衆」子…そして、
見て見ぬふりをする"傍観者"の"4つのグループ"に大別される。
そこで、いじめを止める「仲介者」層が育っていないと、深刻な事態になる。
教師がいじめのきっかけだったりすると、いじめを止める層がいなくなってし まう。
"いじめ"は世界共通の問題です。
英国、オランダ、ノルウェー、日本の4か国で、小・中学校のいじめの調査をした。
発生率トップは英国で、日本は低い。しかし、日本はいじめの期間が長く、頻度も高い。
ヨーロッパでは、中学生になると"仲介者層"が育ち、傍観者が減る…いじめの進行が食い止められるのです。
日本だけ逆に、中学生になると"仲介層"が減り、"傍観者層"が増加してくる。
日本の社会全体…自分さえよけれはそれで良しとする、"保身意識"が強い。
他人には無関心を装う…そこに傍観者が生まれる背景がある。
先月終了したNHK朝の連続ドラマ、西田敏行主演の「瞳」に、私の子どもの頃あった風景がたびたび出てくる。 あのような暖かい家族のふれ合い、思いやり、ご近所との連帯は、どこへ行ってしまったのでしょうか…?
欧米社会は、市民意識が強く、社会の一員であることを重視する。
今の日本は、家族の間が無関心…隣人に無関心…そして社会に無関心… "砂漠化した都会"とでも言いましょうか…。
"いじめ"は、いじめる子がいなければ起きない。
いじめる子を育てた社会や、家庭の責任も問われなければならない。ところが、自分の子がいじめに加担していないかと、
気にする家庭はほとんどない。
こうした意識を改めないと、本当の解決にはならない。
「人の嫌がること、人を傷つけたり辱めること」、そのようなことを他人にするのは悪いことだと…まだ、物心がつかない頃から、
家庭で厳しく躾けなければならない。
私の二人の孫…幼稚舎から帰ってくるや、バイキンマンがアンパンマンに意地悪して、やっつけ合うTV漫画にかぶりつき…「悪いやつは…
やっつけてしまえ」無意識に、自己中心的"いじめ"の種が、幼児の心の奥底に刷り込まれていく…。