■昭和33年日本シリーズ巨人VS西鉄
3連敗の後の4連勝/奇跡の大逆転劇…「神様・仏様・稲尾様」
[第1戦] | 巨人「9-2」 藤田・○大友 ●稲尾他5投手 本塁打…広岡(3回稲尾)・豊田(5回藤田)・長嶋2ラン(7回河村) |
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[第2戦] |
巨人「7-3」 ○堀内 ●島原他4投手 本塁打…豊田2号(8回堀内) |
[第3戦] |
巨人「1-0」 ○藤田 ●稲尾 稲尾は4回以後1安打に抑えるが、 1球に泣いた。 |
[第4戦] |
西鉄「6-4」 ○稲尾 大友・●藤田・義原 本塁打…豊田3号4号(5回藤田・7回義原)、広岡2号(7回稲尾) |
[第5戦] |
西鉄「4-3」 西村・島原・○稲尾 堀内・藤田・●大友 本塁打…中西2ラン(7回堀内)、稲尾サヨナラ(10回大友) 1点差の9回、表彰式の準備が始められるのを見た西鉄ナイン。 奮起して土壇場で同点、延長戦へ…10回、稲尾がサヨナラホームラン。 |
[第6戦] |
西鉄「2-0」 ○稲尾 ●藤田 本塁打…中西2号2ラン(1回藤田) |
[第7戦] |
西鉄「6-1」 ○稲尾 ●堀内・藤田・義原・大友 本塁打…中西3号3ラン(1回堀内)、長嶋ランニング2号(9回稲尾) |
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 609】
~私の昭和~ 「3連敗の後の4連勝の奇跡(2)」
今年のプロ野球…9月21日巨人VS阪神3連戦で、虎を3タテ…32年ぶりの12連勝。
ついに阪神に追いつき並んだ。そして、10日8日の天王山。
阪神と最後の直接対決…3-1で巨人が首位を奪還…10月10日ついに優勝!
7月上旬…13ゲームも離され、誰ひとり巨人が優勝出来ると思っていなかっただけに、今年は久しぶりに、
奇跡の逆転劇を目にすることができた。
思い起こせば96年、長嶋監督の下、11.5ゲーム差を跳ね返して優勝。
「メークドラマ」が流行語になったが、その時を上回る、歴史に残る大逆転劇になった。
明日から、セ・リーグ/クライマックシリーズ。
日本シリーズに勝ち進むのは…今年こそ巨人?
いや、阪神頑張れ! 中日にもわずかにチャンスが残されている。
各球団の監督の戦略は?
ところで、日本シリーズの歴史を振り返ると、3連敗の後4連勝という、ドラマティックに優勝した球団が、3つある。
■一つは、昭和33年(1958)の西鉄VS巨人戦。
当時私は高校3年の17歳。3連敗して後のない西鉄、稲尾が4連投して4連勝という快挙をやってのけ、優勝! 西鉄の優勝は、
稲尾の存在なしには語れない。
このシリーズは「巌流島の決戦」と言われ、三原監督率いる西鉄ライオンズと、水原監督率いる読売ジャイアンツの、3年連続の対決。
過去二度敗れている巨人は、ルーキー長嶋茂雄を4番に据え(王選手は、翌年1959年入団)、厚みを増した打線で臨んだ。
一方の西鉄…オールスター以降、奇跡の17勝1敗…稲尾投手の大活躍で、ペナントレース最大11ゲーム差を逆転。ところが、
日本シリーズ直前、原因不明の高熱に襲われ、フラフラの状態で第1戦に先発…巨人打線に捕まり、第3戦も先発したが、
3連敗を喫して崖っぷちに追い込まれた。
ところが、10月14日夜半からの雨が、シリーズの流れを変えた。
打線では、中軸を担う中西太、豊田泰光に当たりが戻り、何より稲尾の復活が大きかった。
稲尾は第4戦以降、文字通り"獅子奮迅"の活躍を見せ、前例のない3連敗の後の4連勝で、奇跡の大逆転。日本一を達成。
「神様仏様稲尾様」と、ファンから崇め奉られた。
■次は、昭和61年(1986)の西部VS広島戦。
第1戦引き分けの後、西部が3連敗の後、4連勝した。
■その3年後、平成元年(1989)の巨人VS近鉄戦…私は47歳。
この時近鉄が3勝0敗…ヒーローインタビューで、勝ち投手になった"加藤哲郎"。
「今の巨人はロッテより弱い…」と発言。これに、巨人ナインが発奮した。
この後、近鉄を4タテして大逆転勝利。
2度目の日本一の栄冠を、藤田監督にプレゼントした。
※鉄腕・右腕投手/稲尾和久(2007年11月13日、70歳で他界)
56年西鉄に入団。ルーキーで21勝、防御率1.06…新人王に輝き、
その年から3年連続日本一に貢献。入団2年目の57年から、3年連続30勝以上、57年には、20連勝の最多連勝記録を打ち立てる。
61年にはシーズン最多タイの42勝。
69年引退後は、西鉄、太平洋の監督を務める。93年野球殿堂入り。
通算成績…276勝137敗/防御率1.98/2574奪三振