■石川県にしかない食べ方
[その1 めった汁]
暖まる「めった汁」はお袋の味。
大鍋には、豚肉、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、こんにゃく…
県外から来た人、「めった汁」って何?これって、石川県にしかない家庭料理なの?
そもそも、めった汁の「めった」って…何だ?
そりゃあ、「やったらめったら具を入れるからやろ」
違う、「具をめっためったに切るからや」、いや、「めったに食べないからや」
答えは、やったらめったら具を入れるの"めった"が語源のようです。
「豚汁」の方が世間に知られているが、違いは"さつま芋"が入っているのが「めった汁」。
金沢のお袋の味…その秘密は、さつま芋だったのです。
[その2 冷ヤッコに練りカラシ]
暑くなってくると、やっこ豆腐が美味しい。食べる時に、練りカラシを付けて食べる。
練りカラシを付けるのは、石川県人だけだって…「エッ!そうなの?」
生姜を擂って添えるのが、全国共通の食べ方なんだと…。
でも、練りカラシの方が、絶対美味しいんだから…嘘だと思うなら試してみては…
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 578】
~ことば遊び~ 「かなざわなまり」
「はがいしい」「あ~はんげ~」「…がいてね」
「…げんて~」「あのォんねェ~」「…がいね」
前号で、上手な話し方をするには、「普段のままの話し方」で話すと良い…と言いましたが、金沢弁丸出しの人と接すると、
とりわけ親しみを覚えます。
金沢に生まれ育ち、日頃無意識に喋っている"かなざわことば(なまり)"。
よそから来た人には、意味不明の言葉がいろいろあるようです。
改めて、その言葉の一つひとつを取り上げててみると…結構面白いのです。
5月31日。バレーボール男子五輪予選。日本がイタリアに惜敗した。
第四セット…あと一点のマッチポイントを迎えながら、まさかの7連続失点。
テレビを見ていて、「あ~、はんげ~」
この言葉、私のような頭の薄い人のことを言っているのではない…。
金沢の代表的な方言、「はがいしい」
を、若い人が使うとこうなる。
この言葉の語源は、「歯がゆい」「もどかしい」
かなざわなまりの特長は、語尾が"柔らかい"こと。締りがなく、空気が抜けていくような話し方をする。
「あのォんねェ~、知っとるゥ~、○○さん結婚するげんてェ~」
こんな言い方をするのです。
この「あのォんねェ~」
から、かなざわなまりの、のんびりした言い回しが伝わってくる。
そのほか、「そやけどォ~、○○げんて~」といった、会話の途中や終りによく出てくるこのイントネーションには、
かなざわなまり独特の"うねり"が感じられる。
「げんて~」は、
「結婚しまさるがいてね~」という年寄りことばが、若い人達に変形して使われているのです。
「はよ帰るげんろ」「泊まったほうがいいげんよ」など、よく使われる言い回しです。それを聞いて、「ほんながかいね、よかったがいね」
と言う。
「…がいね」
もよく使われる言い回しです。
自分のことばをテープに録って、改めて聴くと、何とも気恥ずかしい…。
何気なく使っている方言が、思っている以上にダサく、田舎くさく感じるのです。
近所の人や、幼友達と話すときは、方言丸出しの私でも、ビジネスで県外の人と話す時は、標準語に近い喋り方をしている。
"ふだん着"と"よそいきの"使い分けをしているのです。