■自分が変われば、相手も変わる
イスラム教の開祖マホメットの教えです。
ある日、マホメットが奇跡をやってのけるというので、大勢の人が集まってきた。
なんでも、遠くにある山を、ここに呼び寄せるというのです。
「オ~イ、山よ、こっちへ来~い」
人々が見守る前で、マホメットは呼びかけます。けれども山は動きません。
彼は再び、山に呼びかけました。それでも山は動きません。
三度目、マホメットは呼びかけます。「山よ、こっちへ来~い!」
やはり山は動きません。人々は「なあ~んだ」という顔をしています。
その人々に向かって、マホメットは言いました。
「諸君!ご覧のごとく私は三度、山に呼びかけた。だが、山は動かぬ。
ならば、今度は私が山に向かって歩いていく番である」と…。
そして彼は、山に向かって歩いていきました。
山が動かなければ、自分が動けばいいのです。
こちらが動くと、向こうが近寄ってきます。
私たちは、相手に変わって欲しいと願っています。
でも、それではなかなか奇跡が起きません。自分が変わればいいのです。
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 220】
~歴史から学ぶ~ 「老舗企業大国日本」
世界最古の会社はどこにあるのだろうか?
約二千年の長きに渡って世界に君臨した、ローマ帝国イタリア?それとも中国?
実は、我が日本にあるのです。
江戸時代?安土桃山?鎌倉?まさか平安時代? いや、もっとずっとずっと前…
西暦578年、なんと、飛鳥時代から続いている会社があるのです。
大坂の「金剛組」です。創業千四百年…寺社仏閣を建ててきた建設会社です。
世界一の長寿企業が日本にあるのです。
他にも、創業千三百年になろうかという、石川県粟津温泉の老舗「法師旅館」、
千二百年以上の京都の和菓子屋さん、同じく京都で千百年以上の仏具店、
千年を優に超える薬局、と"創業百年"を超える企業は、2002年の東京リサーチ調べで、15,207社もあるのです。
調査の対象から外れた零細企業を加えると、全国に十万社はあるという。
老舗が、これほど沢山ある国は日本だけ。
お隣の韓国には、百年以上続いている店舗や企業は一軒もないし、ヨーロッパで
最古の企業は、1369年設立のイタリアの金細工メーカー…日本には、これよりも歴史の古い会社が百社近くあるのです。
世界の中で、日本にだけ見られる特異な現象です…何故なんでしょう?
(1)日本は、植民地になるなど、他国に支配され、屈服させられた歴史がない。
(2)日本の老舗の半数は製造業…日本は他国に比べ、職人の社会的地位が高かった。
(3)インドや西欧では、職業がカースト制度や職階によって細分化され、
製造技術全てを、親から子、子から孫へと受継ぐことができたのは、
日本だけ。
※茶道や歌舞伎のように、技術を伝承していく家元制があり、
柔道のように、
○○道として、代々優秀な高弟に引き継いでいく文化がある。
(4)日本は、お上(国家)への信頼度が高く、国が安定していた年数も長い。
(5)同族経営ながら、長男は分家させ、優れた人材を養子に迎え入れる。
優秀な他人の血を入れることで、企業の永続を計った。
※政情が安定しないアジアの国々は、血族以外は信用しなかった。
(6)老舗でありながら、時代や環境の変化に、しなやかに対応してきた。
(7)時代に即応した製品を生み出していく努力は怠らなかったが、
創業以来続けてきた本業は、頑固に守り通した。
(8)相場や株に手を出すのはご法度。儲かるからと、本業からはずれた商いに
手を出したりせず、それぞれ"分"をわきまえた商いをしてきた。
(9)"創業の精神・家訓"を大切に守り、「町人の正義」を守り通した。
角川書店/野村進「千年、働いてきました」より