■バレンタインに、カードを交換するようになったわけ…
バレンチノとは(英語ではバレンタイン)、キリスト教の司祭の名前です。
西暦3世紀、戦争に行きたがらない若者に手を焼いたローマの皇帝は、
心が浮わつくのが原因と、兵士の結婚を禁止してしまった。
かわいそうな兵士たち…見かねた司祭のバレンチノは、内緒で結婚させたのです。
これが皇帝の耳に入り、投獄されてしまった。
当時のローマは、キリスト教が迫害されていた。
バレンチノは獄中にあっても恐れず、看守たちへ"神の愛"を説いた。
ある看守に、目の不自由な娘がいた。
バレンチノが彼女のために祈ると、奇跡が起きて、目が見えるようになった。
このことで、バレンチノは処刑されてしまった。
死ぬ直前に、「あなたのバレンチノより」と表書きした手紙を、彼女に残していった。
その言い伝えから2月14日、男性が好きな女性に、愛をつづった手紙を出すようになった。そして、世界中に広がっていった。
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 211】
「バレンタインデー」
2月14日はバレンタインデー。
ローマでは毎年2月14日に、豊穣を祈る祭りが行われていた。
約二百年前、お祭りが開かれる頃に殉教したバレンタインを、このお祭りの守護聖人に据えることにした。
その後次第に、この日に恋人たちが、贈り物やカードの交換をするようになったのです。
女性から男性に、しかも、チョコレートに限定して贈る習わしは、日本だけ。
欧米では、恋人や友達、家族などが互いにカードを交換し合い、 花束、 お菓子などを贈ります。バレンタインカードは、
クリスマスカードに次いで、多く交換されているのです。
日本で、チョコレートを贈る風習の始まりは、1978年の伊勢丹キャンペーン。
クリスマスケーキにあやかろうと、商魂たくましく始めたが、一年目は、板チョコ数枚が
売れただけ…その後しだいに全国に広がり、現在では年間消費量の4分の1が、
バレンタインで売れるという、国民的行事になった。
当初は、女性から愛を告白できる日としていたが、今では、夫や同僚・上司などへの「義理チョコ」、女性から女性の友だちに贈る
「友チョコ」がほとんど。
今年は、女性が自分のために買う、「マイチョコ・ご褒美チョコ」がよく売れるという。
更に、日本や韓国・台湾では、1ケ月後の3月14日に「ホワイトデー」がある。
日本では、男性から女性へ返礼として、クッキーやハンカチなどをプレゼントする。
’07年、大手上場企業の意識調査によれば、女性の約70%、男性の約50%が、
「こんな無駄な習慣なくなればいい…」と回答して、財布に影響する義理チョコには
ネガティブなようです。
ところで、昔の女性も、愛の告白にはひたむきだったようで、百人一首の中の
"嵩徳院"の恋歌がその代表…。
「瀬をはやみ 岩にせかかる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」
「川の瀬が速いので、岩にせき止められた滝川の水が、分かれても末は一つになるように、今あなたと別れて逢うことができなくても、
ゆくゆくは必ず逢おうと思う」
女性の方から、心のうちをストレートに歌に託し、思いを打ち明けている。
落語「崇徳院」は、"古今亭志ん朝"の得意ネタで、この歌を恋文にしている。
NHK朝のテレビ小説「ちりとてちん」でも、弟子が「瀬をはやみ~」と、繰り返し
稽古している・・・部屋で飼っている九官鳥も「セヲハヤミー…セヲハヤミ…」