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縁起をかつぐ風習

■二月は縁起を担ぐ事の多い月

受験シーズーンを迎え、高校や大学受験を控えるご家庭では、神仏にすがりたい思いでしょう。
兼六園の金沢神社。学問の神様・菅原道真を祀り、受験生の参拝がひきもきらない。
参道脇にくくられた絵馬に目をやると、受験生の切なる願いが重なって見える。
この時期、「道路が凍っているから、滑って転ばないように…」とか、「落ちる…」とか、常日頃のなにげない言葉が"禁句"である… 周りも気を使う。
しっかり勉強していれば、そんな"言葉尻"に惑わされることもないだろうが…。

節分の豆まきも、縁起事の一つだが、節分の夜に、その年の恵方に向かって、目を閉じて願い事を唱えながら、太巻きを丸かじりする風習… 4~5年前から金沢でも見られるようになった。
このバカバカしい縁起担ぎ…大坂・船場の商売繁盛の祈願事として始まったと言われる。「食べている間は無言でいてね…」と、 私に一本差し出し、真顔で講釈をたれる妻…縁起が良いからと、本気でほお張っている。


【吉村外喜雄のなんだかんだ - 209】
「縁起をかつぐ風習」

会社に隣接する駐車場。1から順に番号を振ってあるが、4と9がない。四は"死"につながり、九は"苦"通じて「縁起が悪い」 というのがその理由。
ことばに実体があるかのように一人歩きし、"四"や"九"を嫌う日本の風習。

四がダメなら、"詩"や"師"、"士"も"氏"も"市"も、すべて"死"につながり、縁起が悪いということになるじゃないの…?
こだわること自体可笑しいし、ばかげている。なら、無視すればいいかというと、世間一般の慣わしである以上、そうもいかない…。

易の本家中国はどうかというと、"四"については全く気にならないし、"九"は "久"につながり、長寿を意味するとかで、 逆に喜ばれる。
59歳、69歳、79歳の年は「慶九」として、盛大にお祝いをするくらいです。
金沢市と蘇州市が姉妹都市になって、昨年25周年。中国では縁起の良い数字"九"にちなんで、99本の"桜"を蘇州市に寄贈している。

西洋では、13日の金曜日は不吉な日。日本でも、家を建てる時、13階段を嫌う。鬼門を気にし、風水にこだわって、 間取りにあれこれ注文を付ける人も少なくない。
鬼門には、北東の「表鬼門」と、南西の「裏鬼門」があり、鬼が出入りする方角、災いを呼ぶ方角として、古くから忌み嫌われてきた。
私が建築に従事していた頃、鬼門から玄関や水まわり、トイレを外すように…と言う要望が多かったことを思い出す。

表鬼門の北東は、家の中の他の場所より寒く、暗い場所になる。
そこに居間や茶の間を持ってくるのは、健康に悪い。一方、裏鬼門にあたる南西は、西日が当たって暑く、物が腐りやすい場所だ。 台所や厠を持ってくると、病人が出たり不幸になるという、古くからの言い伝えがある。

今は、冷暖房や照明が整い、上下水道が完備し、冷蔵庫のある時代。限られた敷地で、間取りの良い家を建てるためにも、 昔のように鬼門にこだわってはいられない…。
日本人は、仏滅に祝い事を避け、友引には葬式を避ける。
近頃は、ハワイで結婚式を挙げるカップルが多くなった。が、そこは、日本の神仏が及ばないアメリカ…私たちの先祖・ 仏様の前で誓いを立てるのではなく…信心したことのない、聖書も読んだことのない…キリスト教教会に出かけて愛を誓うのです… それでいて、大安吉日にこだわろうというのでしょうか?

私の娘もハワイに出かけ、キリスト教会で式を挙げた。予約をしたら、日本の仏滅の日しか空いていなかった…やはり…日本では、 その日は仏滅かもしれないが、ハワイは日付変更線をまたいで、一日さかのぼり、仏滅には当たらないし、ハワイには仏滅など存在しない…。 皆さんはどうしますか? 予約を入れますか? 別の日にしますか?

クリスマスを例に挙げると、日本では、子どもにオモチャを買ってやり、ケーキを食べる日であって、 キリストの生誕を祝う家庭は少ない。西洋の風習を都合よく、生活慣習に取り込み、年中行事にしていく日本人…なんと心の広いこと。

私は、世間一般に信じられる、名前の字画から吉凶を占うことや、印鑑に絡む縁起を一切受け入れないし、認めない。知れば、 一生気にするだろうから…。
"見ざる・知らざる・聞かざる"を、押し通している…。

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