■良妻賢母、そして女優70年
NHK・BS朝の連続小説「さくら」(再放映)。9月末までの半年間、毎朝楽しく見ていた。 東京の叔父叔母を演じる小林亜星と中村メイコは、はまり役だった。
実生活における中村メイコは、子育ての間は朝5時半起床。朝食の支度、弁当作り…平均睡眠時間は3~4時間。超人的努力で「女優・ 良妻・賢母」の3役をこなし、仕事の合い間に、姑、夫、子ども達の世話を、手抜きなしに頑張ってきた。
「28年間欠かさなかったお弁当作り…母親の意地もありました。
"忙しいから今日はパンを買ってきて"と言われる方が、子ども達には気楽だったかもしれない…。
子育てというのは、寄せてくる波のように、毎朝起こして食べさせ、出かけさせて寝かせて、
「それを"いつか"じゃなく"毎日"しないと、
育てることにはならないのです」と、中村メイコは振り返る…。
読売新聞「時代の証言者」より
【心と体の健康情報 - 322】
~子育て心理学~
「子育てと父母の役割」
今日の話題にふさわしい夫婦といえば、神津善行、中村メイコ夫妻だろう。
中村メイコは、1934年5月13日東京生まれ。2歳8ケ月で芸能界デビュー。
73歳。
ご主人は作曲家の神津善行。長女は作家のカンナ。次女は女優のはづき。
長男は画家の神津善之。素晴らしい芸能一家である。こんな素敵なファミリーが育まれたのは…夫、善行氏と、妻、
メイコの理想的な子育てにあったのです。
「三つ子の魂百まで」というように、人間の基礎は三才頃までに、ほぼその原型が出来上がっていく。三歳の頃から、
何か一つの事に集中させ、その子の持つ隠れた能力を開花させていく。
4歳、5歳と、習い始めが遅くなるほど、その後の熟達度に、大きな差が生じてくる。野球、ゴルフ、卓球、オリンピック選手、
バイオリニスト、囲碁など、近年プロの世界で活躍する人の多くは、三歳の頃からの教育にあるのです。
我が子に才能があってもなくても、子育てには、母親・父親それぞれ役割があります。子供が三才の頃までは、 母親の母性をたっぷり子供に注ぎ込み、愛情一杯育てることです。母親から受ける愛情の大きさが、大人になってからの人間形成に、 大きく影響するのです。
母親の胸に抱かれ、母親の心音を聞き、母親のオッパイの匂いを一杯嗅いで、愛情たっぷり育った子は、成人した後、 心身のバランスが良く、自然と気配りのできる、心の優しい人間になっていく。
子供が幼稚園に入る頃からは、父親の出番です。人間として一人前に自立するよう、物事の善悪を厳しくしつけていきます。その頃のしつけ方が、 その後の人格形成に大きく影響するのです。
女性の社会進出が進み、夫婦共働きが当たり前の今の時代。まだもの心がつかない頃に、保育所に長時間預け、
子育てを人任せにしているお母さん。
この最も大切な時期に、両親から受ける愛や、しつけが薄いと、成人した後の人格形成に問題を引き起こすことになる。
親から受ける愛が薄い分だけ、人から受ける愛や優しさに気づきません。
人に、優しさや愛を与えることのできない人間になってしまうのです。
更に、父親不在となればなおさらです。そういった家庭が多くなるにつれ、小学校の教室が荒れ、子供たちに落ち着きがなくなり、 勝手気ままに動きまわり、先生の言うことを聞こうとしない。
むかつくからと、いじめっ子になり、いじめられる側の心の内など、気づきもしない。思春期になると、 親を親とも思わない言動に走り、こんな子に育てたつもりはないと、両親を嘆かせることになるのです。
我が子の幸福を願うなら、今一度、子育てのあり方を考えてみる必要があるようです。