■総入れ歯に見た職人魂
意外と知られていないが、祝い事に欠かせない「水引細工」は、金沢の伝統工芸の一つである。
07年春"北国風雪賞"を受賞した水引職人の匠、津田剛八郎氏。
40歳の時に総入れ歯にした。
水引を歯で引っ張って結ぶ際、歯茎に水引が食い込んで歯茎を傷める。それで、一ヶ月かけてすべての歯を抜いてしまった。
我が身を削って仕事に打ち込む職人魂が見えてくる。
大正時代から続く、家業を守るための心構えを聞くと、「気を張って積み木をしているようなものだ」と語る。
木を寸分違わず重ね合わせていけば、高く積み上げられる。が、いい加減に積めば、すぐに傾き、崩れてしまう。
「一日一生」という言葉があるように、一日一日手を抜かず、懸命に仕事に励むことによって、お店に信用が付き、 お客様が店を守ってくれるのです。
北国新聞「デスク日誌」より
【心と体の健康情報 - 320】
~子育て心理学~
「教育は、訓練し鍛えることである」
どのように子育てをすれば、親が期待する子どもに育ってくれるのでしょうか?
以下、小学校校長 鶴野篤子「お母さんの出番ですよ」からの抜粋です。
子どもたちの持っている「なりたい願望」
を上手に伸ばしてやり、生かしていくには、"訓練"し、"鍛える"必要があります。
電気通信大学の西尾寛治名誉教授の言葉、「初めに訓練ありき、
これこそ教育の真髄だ」。 訓練が伴わない教育など、あり得ないのです。
平仮名を覚えるとき、九九を覚えるとき、何回も何回も繰り返し覚えます。
書けるようになるまで、言えるようになるまで繰り返します。お箸を持つことも、教えるだけでは駄目で、
繰り返し訓練するから身につくのです。
訓練することを「鍛える」と言います。戦後の教育は教えるだけです。
英語を中学・高校と六年間学んでも、話すことができるようになる生徒は、数えるほどしかいません。前へ前へと進む一方で、
繰り返し訓練しないから、身につかないのです。知識の詰め込み教育だけでは、身につかないのです。
子どもは何れも、「もっと知りたい」「もっと上手くなりたい」といった願望が強いのです。その願望を刺激して、繰り返し訓練して、 身につけさせるようにすると、更に強い願望が湧いてきます。そういった子どもの意欲を引き出してやればいいのです。「出来た、出来た」 と喜んで、自ら進んでやるようになります。
子どもが何かしようとするとき、親からみれば危なっかしいか、任せきれず、つい親がやってしまうことが多いのです。「いいから、 お母さんがやっておくから…」と言ってしまう。子どものためと思っても、子どものためにならないのです。甘やかしていては、 子供は育ちません。
子どもを教育するとは、子どもを訓練するということです。
親にとっては厳しいことです。辛いことなのです。将来社会人として自立し、人に愛され、受け入れられる人間になるために、
今厳しく鍛えなければならないのです。
それから、子どもの教育を人まかせにして、それで良しとしていないでしょうか? 将来のためとピアノを習わせ、勉強は塾、
しつけは学校に期待する。
何でも人まかせ…親である自分はパートでの稼ぎに忙しく、家を留守にする。
娘にピアノを習わせるよりも、女性らしいたしなみ、礼儀作法、挨拶の仕方、家庭料理など、母親が娘に教え・ 伝えることがいっぱいあります。面倒がって、子どもと関わる時間を手抜きしていたのでは、子どもは育ちません。