江戸小噺・石川五右衛門
■言葉の語源。今日は「女」のいる漢字から…
女性を呼ぶ言葉は、日本語を知るうえで大変面白い。
組み合わせによって、様々に使い分けられ、感情が込められたものもあります。
女三人寄れば「姦(かま)しい」、古い女と書いて「姑(しゅうとめ)」など、"ことば遊び"から生まれたような面白さがあります。
「娘」は、「む(産)す女」が「むすめ」になったと言われている。
親にとって娘は可愛くてしかたがない。そこで「愛」に「娘」で、「愛娘(まなむすめ)」が生まれた。しかし、
"まなむすこ"という漢字はない。
好きの「好」は、女の子は可愛くて愛らしい。転じて「女」と「子」をくっつけて「好」になった。「女」に「弱」で「嫋(たお)やか」。
しなやかで優美な女性の姿になります。
「嬶(かかあ)」は、鼻息のあらい妻という意味の、日本で生まれた国字です。
「女」に「老」又は「波」で「ばばぁ」。「眉」を付ければ「こびる」。女に「母」は「うば」。
「家」をくっつければ「よめ」。女に「喜」で「うれしい」と、昔の人のユーモア感覚がうかがえ、楽しくなってくる。
このように、辞書で「女扁」や「魚扁」を繰って、その言葉の意味を楽しむのも、いいものです。
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 198】
~ことば遊び~
「江戸小噺・石川五右衛門」
今年も、早いもので11月。今席はひとつ泥棒の小噺を申し上げましょう。
11月と泥棒がどうしてくっつくのかって?実は、ほら、柴又の寅さんが言うじゃないですか…。「泥棒の始まりは石川県…じゃなくて、
石川五右衛門」って。
あの五右衛門が生まれたのが、永禄元年(1558)の11月15日なんでございます。今年は奇しくも、
五右衛門誕生450年って訳でしてな。
日本各地で泥棒どもが集まって、「大盗祭」という盛大な祝賀式典を開いているのだそうでございますよ。
またまたいい加減ななことを…ウソでしょうって? いやいや、これはウチの親戚に泥棒がいて、そこから聞いた話ですから、
間違いありませんよ!
という訳で、泥棒の小噺を一席。
♪石川五右衛門が捕らえられて、京都三条川原で釜茹での刑に処せられたのは、文禄3年(1594)8月24日のことでございます。 ただでさえ暑い真夏でございますから、さぞや暑かったことだろうと、お悔やをみ申し上げます。
この日はまた、泥棒稼業では「浜の真砂忌」と申しまして、旗日、つまり其の日一日、
泥棒はお休みすることになっておりますんですよ…(大ウソ)。
悪人とは申せ、五右衛門はさすが大物でございます。グラグラと油の煮えたぎる釜を前にしても、眉一つ動かさず、
立会いの役人に申しましたな。
「しばらくお待ちくだされ。この世の名残に、時世の一首を詠みとうござる」
『おお、奇特なことよ…早う詠め!』
「されば…かかる時 さこそ命の惜しからめ かねてなき身の 思ひ知らずば」
『な、なんと、それは太田道灌公のお歌ではないか!?』
「ふふン、これが本当の盗み納めじゃ…」
~提供「風亭弥次郎」~
ちなみに、石川五右衛門の辞世の句は、
「石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に罪人の 種は尽きまじ」
また、太田道灌は室町中期の武将で、歌人。江戸城を造ったことで知られる。