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赤福の製造日偽装事件

■赤福の家訓    「三つ余計に売るよりも、一つ残すな」

「赤福」の商品寿命はたった一日。今日作った赤福は、明日売れない。
売れ残った「赤福」は、すべてコストに跳ね返ってくる。企業にかかるコストは、お客様が負担することになる。売れ残ってコストになったら、 品質を下げるか、価格を上げるしかない。

一日に売れ残る「赤福」は、1%以下だという。
その秘密は「赤福が、お客様の後を追いかける」 システムにある。
300店ある売店の在庫を、本部のコンピューターが、ちくいち把握…。売れ残り状況を見て、随時「店間移動」を行うシステムが、売れ残り1% という、驚異的数字を可能にしているのです。

早朝、ホテルや旅館の売店に並んだ赤福は、"午前九時"を過ぎると、観光客が集まる、観光地の売店に移される。 "午後三時"を過ぎると、にぎわっていた観光地の人影もまばらになる。
売店に残った赤福は、帰りの客でにぎわう駅の売店やドライブイン、高速道路のサービスステーションに移される。そして、 その日のうちに売り切るのです。



【吉村外喜雄のなんだかんだ - 196】
「赤福の製造日偽装事件」

伊勢名物「赤福餅」。赤福の屋号の由来は、「赤心慶福」から。
"赤心"は偽りのない心、"慶福"はめでたいの意味で、
「まごころをつくそう。そうすることで、素直に他人の幸せを喜ぶことができる」
という赤福の経営理念になっている。
その有名ブランド赤福が、「製造日偽装」で農水省に訴えられたのです。

毎日40万個売れる「赤福餅」。その17%が解凍した「赤福餅」だった。
冷凍保存した"あんころ"…。解凍した日を製造日として、長年表示していたことが指摘され、TV・新聞に大きく報道されたのです。 「作りたて」とうたっていた点を指摘されたのだが、解凍までの工程を製造と考えていたという。

更に、今朝の新聞の一面に、「店頭で売れ残った商品を回収し、冷凍保存して、製造日を改ざんする"まき直し"をして、 再販売していることが発覚した」との記事。農水省は、今日から無期限の営業禁止処分を通知するという。

300年の歴史・暖簾を受継いで、素晴らしい経営理念を掲げ、経営革新を怠らず、地域社会に多大な貢献をしてきた赤福。 とんでもない汚点を残すことになった。
「赤福」よ、おまえもか…倫理・モラルの欠如は、社会の奥深くにまで蝕ばみ、腐敗臭がただよってくるようだ…。 明治の頃に来日した西洋人が、人に親切で礼儀正しく、倫理感に溢れた、心の美しい日本人を賞賛した記録が残っているが、 そんな節度ある折り目正しい日本人は、どこへいってしまったのだろう…。

和菓子業界。作り立ての餅菓子を冷凍保存して、作り置き出来るようになって久しい。
「品質や食感が解凍した製品でも変わらない」ことから、需要に合わせた安定供給が可能になり、全国の餅菓子製造業では、 冷凍保存は当たり前。

餅菓子は、まだ日が昇り始める前から作り始め、お店を開ける時間までに、店のケースに並べる。日持ちしない食品だけに、 その日一日売れる分だけ作っていた。
冷凍保存技術の普及で、餅菓子屋さんの商売がどれほど楽になったことか…。
友人の和菓子屋さんの話では、「賞味期限」のみ記載して、「製造日」は記載していないとのこと。それで、保健所の認可を得ていたのです。
ならば「赤福餅」、「賞味期限」のみの記載ではダメなのだろうか?

同じように日持ちしない「芝寿し」。
10月15日、当社の代理店研修会の昼食弁当は、たまたま「芝寿し」だった。表示ラベルを見たところ、「笹寿し弁当」 の賞味期限は10月15日の当日のみ。メイン商品「笹寿し」は、製造日10月15日、賞味期限は10月16日と、 翌日の日付が記載されていた。
「お弁当」は賞味期限の記載だけ、「笹寿し」は、製造日と賞味期限の両方書かれている。その違いは何だろう?

疑問を餅菓子屋さんにぶつけてみた。
帰ってきた答えは…
「今朝作った餅菓子を、店でお客さまの好みに応じてバラ売りしたり、その場で食べていただくには、「賞味期限」の標示だけでいい。 しかし、お持ち帰り用に箱詰めしたり、贈答品として販売する時は、製造月日と賞味期限を併記している。店の味と信用を守るには、 賞味期限はなくてはならない。故に、賞味期限がきた商品は、すべて廃棄処分している。」
とのことでした。

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