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落語・火炎太鼓

■ことば遊び。

今日は、私が言うとバカにされる「おじん駄じゃれ」あれこれ。

「かけっこするから運動場貸して…」 『うん、どうじょ!』
「坊さんが通っていくよ…」 『アッ僧!』
「この帽子はどいつんだ…」 『オランダ!』
「何つくってんの? 生垣かい…」 『へい!』

・私が幼かった頃、祖母が私を膝の上に抱きながら、「長いなが~い」
 お話をしてくれました。
 「昔むかし、天から長いなが~い縄が降りてきた。
 長いなが~い、とても長~い長縄だったそうな。
 それを登っていったんだそうな。
 登っても登っても、登っても登っても、終りがなかったそうな…。
 おしまい」

くだらないって……だから私はバカにされるのです。

・今度は、孫を相手に「ほんとのお話」。
 「昔々或るところに、男の人がいました。
 その人の口の中には歯が一本もありませんでした…。
 これがほんとの"歯無し(話)"です」



【吉村外喜雄のなんだかんだ - 194】
~ことば遊び~  「落語・火炎太鼓」

たとえ、おじん駄じゃれと笑われようと、咄嗟(とっさ)にだじゃれが出るようなら、それは最高。
会話が弾み、笑いに包まれた時、自然と湧いてくるのが駄じゃれ。
落語は、最後の絶妙の"落ち"が、すべてを決める。
日ごろの何気ない会話で、ひょいと出る「おじん駄じゃれ」。
これも、会話を盛り上げ、会話を楽しむ心がなければ出来ない芸当です。

♪おまえさんほど商いの下手な人はいない。とべつ女房に愚痴を言われる道具屋の甚兵衛。
市で太鼓を買ってきたと言って、またしてもあきれさせた。

「太鼓はお祭り前とか、初午(はつうま)にしか売れない際物だから、また損をしちまうよ」
と言って、女房は馬鹿にしたが、汚い太鼓が一分(一両の四分の一)だと知って、まる損だと吐き捨てた。甚兵衛は気にもとめない。

小僧の定吉に、ほこりまみれの太鼓をはたかせると、「ドンドンド~ン」いい音がする。
「今、太鼓を叩いたのはその方の店か?」と、侍が訪ねてきた。
駕籠(かご)で通り合わせたとき、太鼓の音を耳にした殿様が、「どんな太鼓か見たい、屋敷に持参せよ」と言うのだ。
甚兵衛は喜んだが、駕籠の中で聞いた音だけではわからないと、女房は半信半疑である。
金蒔絵(きんまきえ)でも施した立派な太鼓だと思っているところに、ススの塊りのようなものを持っていけば、 どんなお叱りを受けるかしれない。
「欲を出さないで、仕入れた値で売ったら、逃げておいで」と言って、送り出した。

さて、太鼓を担いで甚兵衛はお屋敷へ。
『汚い太鼓です』と念を押し、恐る恐る差し出した。
ところが殿様は大変な気に入りようで、お買上になるという。
値を聞かれて『一分』と答えようとしたが、舌がもつれ『え…いち…』と言いかけると、「かまわん、手いっぱい申してみよ」と言われ、 『十万両…』。
「それは高すぎる」
『手一杯ですから、いくらでもおまけしますよ。値切ってください。いくらでもまけますから…』
結局、三百両で話がついた。
三百両、小判五十両包み6つだよ。
「よいか、まず五十両」 『へい、五十両』
「百両…、百五十両…、二百両だ」 『すいません、水ぅ一杯ください』
なぜあんなに汚い太鼓が三百両もするのか?
実は、あれは"火炎太鼓"という大変な銘器だったのです。

『いま、帰ったぞ』
甚兵衛は三百両を懐に、喜び勇んで店に戻ると、女房に報告した。
が、女房は信じない。
「追っかけられてきたんだろう?早く、天井裏に隠れておしまい」

甚兵衛は、懐から小判を出した。
信じられない面もちの女房を前に、金包みを広げる甚兵衛。
五十両…百両…百五十両までいったところで、女房が「水一杯おくれ」
『おれは二百両のところで飲んだ…どうだ、全部で三百両だぞ』
「お前さんは商売上手だねえ」と、女房も大喜び。

「お前さん、これからは音のするものに限るねえ…」
『そうだとも、今度は半鐘(はんしょう)を仕入れて、叩くよ』
「半鐘…半鐘はいけないよ、おジャンになるから…

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