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私の戦争体験

B29の東京空襲は100回を超えた。
最も被害が大きかったのは、昭和20年3月9日の夜半から未明にかけて…
この空襲で投下された通常爆弾はたったの6個だったのに、焼夷弾は、45キロ級が8,545個、2.8キロ級が180,350個、エレクトロン焼夷弾は1.7キロ級が740個もの数に及んだ。
計189,635個の焼夷弾が、真夜中の東京に降り注がれ、打ち上げ花火のように炸裂した。


日本の市街地は木造家屋が密集し、道路も狭い。
飛来したB29の編隊は、市街地を外から内へ、包み込むようにして焼夷弾を投下していった。
罪のない市民、非戦闘員の老人や女性、子ども達は、逃げ場を失い、折り重なって焼け死んだ。


市民の多くは家族や家を失い、東京は焦土となった。
空襲で焼失した家屋は、全国で230万戸に及んだ。
もし日本がこの戦争で勝利していたら、2個の原爆投下と合わせて、米国が戦争犯罪の責めを負わなければならなかっただろう。


先月米国議会において、「日本政府は、従軍慰安婦問題で謝罪すべし」と委員会採決され、議会に上程されることになったが、米軍の無差別爆撃は、比べようもない大きな戦争犯罪です。





【吉村外喜雄のなんだかんだ - 184】
~歴史から学ぶ~  「私の戦争体験」


ざ・ぼんぢわーく工房/第29集を書かれた、村尾靖子さんの「出会いふれ合い巡り合い」の中から、戦争体験のところです。


私は昭和19年5月、山口県の宇部で生まれた。
宇部は当時工業都市だったため、翌20年、終戦近くになって、何回も空襲に見舞われることになりました。
7月1日未明の空襲は最も激しく、空襲警報の後、母は1才2ヶ月の私を背負い、3歳になる姉の手を引いて、郊外へ逃げました。


油性の焼夷弾がどんどん落ちてきて炸裂する中を、必死に逃げ回った。
田んぼの畦と畦の間に母は身を隠し、持ってきた夏蒲団をかぶって、空襲が終わるまで身を潜めていたのです。
母は気が動転していたのでしょう。姉は母のお腹の下におりましたが、背中におぶっている私を、お腹の方に回しておかなければ…というところまで、気が回らなかったのです。
隣にいた人が、燃えている布団をパッと剥いで、「ああ~背中のお子さんが燃えている…」。母は慌てて背中の子どもを降ろして見たら、着ているものは焼け、母の両手にベットリ、子どもの焼けた皮膚がくっつく…大火傷を負っていたのです。
お医者さんに見せると、「お母さんお気の毒ですが、こんな小さな子が、これだけの火傷を負っては、もう助かりません。直ぐに息を引き取ると思うので、お母さん、しっかり胸に抱いて、この子をあの世に送ってあげてください…」


農家の軒下を借りて過ごすわけですが、赤ん坊に水を飲ませようとしても飲まないし、お乳を含む元気もない…」。
母はどれだけ後悔したかわからないと言います。
気を取り直し、どんな体になっても、この子を助けようと思ったそうです。
その後の母は、生涯後悔して生きておりました。


私は、大火傷で助からないと言われたのに、助かり、火傷を負わなかった2歳年上の姉は、疎開先で風邪をこじらせ、当時良い薬もなく、死んでしまいました。
火傷で、右の足の膝の後ろが、下の皮と上の皮がベッタリくっついて、ケロイドができて、指が突っ込めるくらい穴が開いていた。
小学校の頃、男の子たちから毎日のようにいじめられた。
私は記憶にないのですが、いじめた男の子たちは、私の母に呼び出されたそうです。


何人かの子どもは、「うちの子をいじめて!」と叱られると思って、覚悟して家に行ったそうです。
すると、自分たちが食べたことが無いようなバラ寿司だとか、お肉の焼いたのとか、戦後の田舎では滅多に口に入らないご馳走が並んでいて、クッキーか何かデザートまで、手作りで用意してあったそうです。


「お友達なんでしょう。いつもお世話になってありがとう。これからも靖子と仲良くしてね。さあ食べなさい…」と、ニコニコして優しく言われて、喉を通らなかったそうです。
母は、いじめていた友達に"仲良くして欲しい"と、言葉ではなく、こんな方法でお願いしたのだと思います。

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