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孔子の教え(7) 「何事も自分の責任」

■「理不尽な親 学校苦慮」

表題は、18日の読売新聞一面の大見出しです。
理不尽な要求や抗議を学校に行う親に、全国の小中学校が苦慮している実態が、
読売新聞の調査で明らかになった。

・うちの子、自宅では掃除をさせていない…学校でもさせないでほしい
・大学進学に必要のない科目…受けなくて済むようにしてほしい
・子供同士のささいなトラブルに…「相手の子供を転校させてほしい」
・学力不足の中学生に小学生の問題を解かせた…子供のプライドが傷ついた
・ピアノの技能はうちの子が一番…なのに、別の子が選ばれたのはおかしい
・子供がお年寄りに接触事故…学校の自転車指導に問題がある…
・教師を中傷する電子メールを…学校関係者に送りつける      etc

いずれもしつこく繰り返し抗議してくることが多く、学校の教育活動に支障を来たしているという。
東京都港区では6月から、クレームに対応して相談できる、顧問弁護士制度をスタートさせた。それに対する世論は…賛否両論。
何かあれば「訴えてやる!」のご時世…自己中心的で、人間関係が希薄な今の世相が浮かび上がってくる。


【心と体の健康情報 - 299】
~古典から学ぶ~
「孔子の教え(7) 何事もすべて自分の責任」

人は何か不都合なことがあると、その問題が自分にあることを忘れて、反省することもなく、却って他人を責めたり、 世を怨んだりしがちです。

『子曰く 君子はこれを己に求む 小人はこれを人に求む』 (衛霊公第十五)

"孔子が言われました。君子は、何事もすべて自分の責任として、わが身を反省するが、小人は責任を人に転嫁し、 人を責めるものだ"

日曜夜の民放人気番組「行列のできる法律相談所」を時折見ているが、近ごろの世相は、 自分に対する不利益はすべて周りの責任であるがごとく言い、争い事が絶えない。
ごくささいなことでも、訴訟ざたに及ぶ世の中になってきた…。

そうすることが、あたかも正義であるがごとき風潮…。
誰もが、自らの責任を放棄し、「自己主張」と「他への責任追及」を繰り返すなら、世の中は争いの場となり、 回りまわって自分も不幸になるだろう…。

県内にその名が知られる、某中小企業の社長さん。技術開発力に長け、会社は急成長。
ところが社長さん、私腹を肥やすことに熱心で、社員への待遇が不十分だったようです。
業を煮やした専務が、数名の社員を伴って独立。よく似た商品を製造・販売して、お得意様を増やしていった。

強力なライバルの出現に怒った某社長さん。特許侵害と裁判に訴えて勝訴した。そして、約1千万円の損害賠償金を勝ち取った。
ところが世間は、負けた方の会社に同情。知る人は、正義をつらぬいたはずの某社長を良く言わず、人望を失った。


■逸話 「街路の石」

昔、ドイツのある王様が、領民の公徳心を試そうと、夜間人知れず、人通りの多い街路の真ん中に一個の石を置いて、 翌朝早くから家来に監視させた。

まだ暗いうちに通りかかったのは、田舎から荷車を引いてきた一人の百姓。
危うく石につまづきかかって、口をとがらし「こんな石を道の真ん中に置いておくとは、誰のいたずらか?悪いやつがいるものだ」 とは言ったが、そのまま石を避けて行ってしまった。

次に、乗馬の紳士がやってきました。
馬がつまずきかけ、驚いて跳ね上がったので、「こんな石が街路に転がっているとは、ドイツの恥である。近頃の道路役人は怠慢である」 とののしりながら、馬を飛ばして行ってしまいました。

次に来たのは一人の軍人。
急いでいたためか、石につまずいて倒れてしまった。軍人は真っ赤になって怒り、「こんな石を街路に出しておくとは何事だ。 近頃のドイツ人は、公徳心がなくなった」と憤慨したが、その石を除けることはせず、服の汚れを払って行き過ぎてしまった。

ところが次に通りかかったのは二人の子供です。
子どもたちは石を見ると直ぐに、「これは大変だ。人がつまずいて怪我をする。さあ向こうの方に持っていこう」。 二人は石を抱えようとしたが、無理だったので、危なくないところまでゴロゴロ転がしていった。
「これでみんな安心して通れる…」「今朝は良いことをした。気持ちがいい…」と、二人の子供は笑顔で立ち去っていった。

監視をしていた家来は、急いで帰ると、ありのままを王様に報告した。
王様は始め、苦い顔をして聞いていたが、子供が石を転がす段になると、「そうか、そうか、この後二十年もすると、 ドイツも公徳心のある良い国になるだろう…」と、大変喜ばれました。

人は何か問題があれば、周りのせいにして、改善を求めようとします。
相手が特定できない時は、「政府が悪い」「社会が悪い」「学校の指導が悪い」「私たちの生活と権利をどうしてくれる」と、 非難の声を上げる。
こんな人に限って、自分がなすべき事を率先してやろうとはせず、他人に責任を擦り付けて、嘆いているのです。

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