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落語・饅頭こわい

■ことば遊び 「お釈迦になった」の由来

パソコンで時間をかけて作った文章、ちょっとした操作ミスですべて消滅…。
こんな経験を何度かしている。
そのとき、あァ~「お釈迦になった」と悔やむ。
何で、こんな言いかたをするのか?不思議です。そこで、この言葉の由来を調べてみた。
細工職人が火を強くしすぎて溶接に失敗し、「火が強かった…」と、思わず発した言葉
から来ているという。
下町では「ヒ」を「シ」と発音したので、「シガツヨウカッダ…4月8日だ」と聞こえる。
4月8日はお釈迦様の誕生日。
そこから「お釈迦になった」と言うようになった。
何となく落語の落ちに似ていて、「クスッ」と笑いを誘う。

422号で題材にした 「猫も杓子も」もそう…。「女子も若子も」が語源です。
「女も子供も…めこもじゃくしも」と呼ぶ。
江戸っ子のだじゃれ・遊び心から、「猫も杓子も」と言うようになった。

【吉村外喜雄のなんだかんだ - 178】
~ことば遊び~ 「落語・饅頭こわい」

落語には、町内の若い衆が集まってよからぬ相談をしたり、皆で遊びに行って失敗すると
いった、下町情緒に溢れた噺がたくさんある。

今日は、ご存知「饅頭こわい」から、そのさわりを一席…

♪江戸時代の職人は朝が早かったが、仕事さえちゃんとすれば、働く時間は短かった。
仕事が終わり、湯に入ってさっぱりすると、仲間の家や髪結床、湯屋の二階などに集まり、
銭があれば酒を飲むが、無ければ、無駄話で時間をつぶした。
「そろったかい? 留のやろうが来ない?
しょうがねぇなあ、いつだってぐずなんだから」
『ああ、驚いた。うしろから追っかけてきやしないか…』
留が大声を上げながら駆け込んできた。
来る途中で青大将ににらまれたと、震えている。
これがきっかけで、みんなで怖いものを言い合うことになった。
長いものはウナギ、みみず、どじょうから、ソバやうどんも駄目で、だから褌も締めない、
というやつから、なめくじ、蛙、蜘蛛、おけら、蟻、馬と…いくらでも出てくる。

順々に自分の怖いものをあげる中、離れたところで白けている男が1人。
お前の怖いものは…と尋ねられると、
『なに言ってやんでぇ。黙って聞いてりゃいい若えもんが、あれが怖ぇのこれが怖ぇの…
人間は万物の霊長と言ってな、人間ほど強ぇものはねえんだ』と、強気に突っぱねる。

「そうは言っても、お前にだって何かはあるだろう」と、しつこく追求され、ついに男は口を割った。
『せっかく俺が思い出すまいと思っている時に…。
恥を忍んで正直に言うと…』弱々しい声になって、『饅頭…』

今までの威勢とは打って変わって、みるみる顔は青ざめてゆく。
しまいには、『気分が悪くなってきた。ちょいと隣の部屋で休ませてくれ』と言うので、
しばらく寝かすことに…。

本人がいなくなると、皆、この時とばかりに陰口を叩き始める。
「あの野郎ほど、普段からしゃくにさわるやつはねえ。
1人で強がりやがって、兄貴風を吹かせて…」
こうなったら饅頭を山ほど枕元に並べて、懲らしめてやろう…てんで、皆は饅頭を買いに
駆け出して行った。

やがて銘々が饅頭を手に戻ってくると、早速それを枕元に並べ、障子の向こうに隠れた。
いざ作戦決行! 
寝ている男に向かって、「おい、起きてこっち見ろや!」
ざわつく様子に目を覚ました男。
『なんだい、気分が悪いんだから静かに!』と言いかけ、枕元にある饅頭の山に目をとめ…絶句。
が、次の瞬間『あ~っ、饅頭怖い』と、顔をしかめながらも、旨そうにパクつき始めた。
『いいアンコだねぇ。栗まんじゅうも怖い。ソバ饅頭も怖い。おお~怖い怖い』

冗談じゃない、なにが饅頭怖いだ。
一杯食わされ…いや、食われた。
悔しくて仕方ない若い衆、「てめえが本当に怖いのは一体何なんだい!」
『ここいらで、渋いお茶が一杯怖い…』

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