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2007年05月 アーカイブ

2007年05月01日

進学率の高い学校がいい学校?

■地元の高校が目指すものは…

高校の頃を振り返ると、進路を決めた二年二学期以降は、進学予備校さながら。
みんな大学を目指し、わき目も振らずに勉強した。先生もまた、前年実績を下回るようなことがあってはと頑張る。
受験一色は、生徒や教師の心身を疲弊させる。

「もう一つの甲子園」を目指し、母校の名誉をかけ、北陸地区予選を戦っているようなものです…。
東大合格県内第二位の泉丘も、昨年から東大合格者が際立って増えた。
昨年は金大付属をも上回ってしまった。地元の金沢大学にも、毎年80人前後の合格者を送り込んでいる。
金沢大学を卒業した後、地元に就職する者、親の事業を継承する者など、地域の将来を担う者が多い。

一方、東大や京大など、エリート進学校にこだわると、付いていけない生徒が出て、かえって進学率を低下させることになるだろう。
また、卒業後東京や大阪に人材が吸い上げられ、故郷の将来を担う人材にはならない…。


【心と体の健康情報 - 291】
~子育て心理学~「進学率の高い学校が"いい学校"?」

地元月刊誌「アクタス5月号」の特集に、「東大合格者数、石川が富山を逆転、金大学付属は"意識改革"に成功。 富山県の東大進学御三家は"油断"」とあった。

富山県は、何かにつけて石川県をライバル視する。
根っこに、加賀百万石に対する劣等感が潜むという。
ともあれ、富山県民が子どもに注ぎ込む"教育費"は日本一とか…。
教育熱心な県として知られる。

富山県の東大合格者数は、過去石川県を下回ることはなかった。
それが07年の入試で崩れた。
アクタス5月号「盛り返した金大付属、半減した富山の御三家。両県の明暗を分けたのは何だったのか?」のサブタイトルで、 読者の興味を引く。


‘04 ‘05 ‘06 ‘07
金大付属 17 11 19
泉  が  丘 20 14
そ  の  他
石  川  計 23 19 34 38


‘04 ‘05 ‘06 ‘07
富山中部 20 13 27 14
高    岡 19 15 21
富    山
そ  の  他
富  山  計 44 34 61 26

「全国の県民性」を著した書籍が書店に多数並ぶ。
富山県人が"誇りに思うこと"に、「東大合格数北陸一番」がある。理由は…
(1)東大合格者数は、その県の教育水準のバロメーターを示す
(2)東大合格者を多数出した県は、その後、政治・経済の人脈で優位に立つ

石川県は反論する…
(1)石川県は関西圏に近く、東大より京大を志望する学生が圧倒的に多い。
   結果、京大合格者数は富山県よりはるかに多く、一桁違う。
(2)金沢大学は、第四高等学校の歴史を受け継ぐエリート大学。
   地方大学では、どこよりもその存在が大きい。

毎年必ず、富山県の高校と対比されてきた石川県の有名校。
最近の「県民性ブーム」と「学校区全県一区」への改革が、ライバル意識に火を付け、東大合格者に執着するようになった。
そしてついに、今年逆転したのです。

以下4月26日、中日新聞「中日春秋」から…

全国の小学校六年生と、中学校三年生を対象に、学力テストが実施された。
230万人が国語と算数(数学)の試験を受けた。43年ぶりという。
試験結果を分析して、学力の向上に役立たせようというのだろうが、県や学校の序列が浮き彫りになり、教育委員会も、 先生も父兄も、学校の名誉にかけて、過度な競争に駆り立ててしまいそうです。

その根底にあるのは、「他所より成績のいい学校がいい学校」と決め付ける単一的モノの見方。
学力向上のため、ある程度の競争も必要でしょう。
しかし、学校に求められるのは単に成績だけでなく、生徒一人ひとりの個性を伸ばし、 立派な社会人に育てることがあります。

ある村の中学校に着任した校長先生。卒業生全員にもれなく優等賞 を渡した。
学業の優秀な生徒、生徒会や運動競技に抜きんでた生徒など。
中に一人だけ、特長の見当たらない生徒がいた。

校長先生は、二晩三晩と考えたそうです。
そして、木登りがうまかったことに気がつき、うやうやしく、木登り優等賞を授与した。
その生徒は後に、腕のいい職人になった。

校長先生は、様々な違った物差しを用意して、生徒が持つ良いところを評価し励ました。教育をする上で、 忘れてはならないことでしょう。
大事なのは「知識伝達・詰め込み型」授業ではなく、
"何故"を引き出す「創造型授業」が求められるのです。

2007年05月08日

「自分の、自分にしかない良いところ探し」

■講演とコンサートのご案内

 

目的とタイトル "家族愛・故郷への愛を取り戻そう"
「みんな大好き!愛を歌おうコンサート」
ゲスト 歌手「ミネハハ」 プレゼンター 「岩堀美雪
開催日時・場所 7月8日(日) PM 1:30~4:30
福井市ハーモニーホール
〒918-8152 福井市今市町40-1-1
TEL:0776-38-8280(代)
入場料 2,000円(高校生以下無料)
プログラム 2:00~ 講演 岩堀美雪先生「未来への贈り物」
2:45~ コンサート(ご家族・お子さん同伴で参加ください)
チケットのお申込み 090-6276-7246 事務局 笠原園代まで

 


【心と体の健康情報 - 292】
~子育て心理学~「自分の、自分にしかない良いところ探し」

「勉強は大事だ。でも、それだけが全てか?違う。通知表で表しきれないものだってある…」 20年近くこんな思いをずっと抱き続けた、小学校の先生がいた。
この世にたった一人しかいない"自分"。自分の中の、自分にしかない良いところを探し出し、それに関わる様々なモノを、 自分だけの手作りファイルに入れて残していく。
それを思いつき、実行し、工夫し、成功させ、大きな成果を手にした、小学校の先生にめぐり合った。福井県越前市の小学校教論・ 岩堀美雪先生です。
川人正臣さんの紹介で知りました。

岩堀先生は、生徒と一緒に考えたネーミングで、「未来への贈り物」という、 手作りの 「パーソナル・ポートフォーリオ」をつくり始めた…
(1)自分のいいところを、5個・10個と見つけ出し、書いていく
(2)友達のいいところを書いて渡す
(3)教師が生徒のいいところを書いて渡す
(4)保護者に、子どもたちのいいところを書いてもらう

それをファイルしていく。友達からの手紙、思い出の写真、新聞の切り抜き、みんなで話し合った記録など、 自分だけの宝物を作っていく。

○二学期になって…
(1)クラスみんなで対話する
(2)先生と生徒が対話する
(3)自分のいいところについて、もう一度考え、続きを書き加える

○三学期になって…
(1)自分が成長したところについて書く
(2)先生が、子ども達の成長したところを書いて渡す
(3)保護者に、子ども達の成長したところを書いて渡す

子ども達に、自信・やる気・思いやりの心が育ってきた!
(1)自分のことをよく知るようになった
(2)自分の良さについて考えているうちに、自分が好きになった
(3)友達の良さについて考え、良いところを認め合うようになった
(4)友達と今まで以上に仲良くできるようになった
(5)自分をもっと、伸ばそうという気持ちが高まった

[事例1]
自分のいいところが二つしか見つからず、感想に「見つからなくて残念」と書いた生徒。
友達みんなから、自分が気づかない良いところ を言われて自信が付き、やる気になった。
その後、びっくりするほど成長した。

[事例2]
うちの子に、「私のいいところ書いて」と便箋を手渡されたとき、正直言って何も思いつかなかったんです。すると 「私のいいとこないんか~」って、子どもが泣き出した。
これではいけないと家族が集まった。
今までうるさい子、我がままな子と思っていたのに、友達は、明るい、 いつも元気、優しい…。そうか、 この子にもいいところがいっぱいあるんだと、家族みんなが気づいて、それぞれ言葉を書いて渡した。

家族みんなが子どもの良さを認め、文章にした。
子どもは認められたことで、心が落ち着き、親に反抗しなくなった。

東洋館出版社/服間小学校教論・岩堀美雪著
心がぐん! と育つ・パーソナルポートフォリオ」より抜粋

2007年05月11日

江戸小噺 どけち

■沈没米駆逐艦 エモンズ号

連休中沖縄に出かけ、太平洋戦争で沈没したアメリカの戦艦を見てきた。
場所は、名護市から北30分の、周囲5キロの小さな島の沖合い、深さ50メートルの海底に横たわり、船名はエモンズ号。
船体は約100メートル、大き過ぎるうえ、太陽光線もわずかしか届かず、カメラには入りきらなかった。

船体の一部…砲塔
浮上時、減圧のため水面下で数分間停止



【吉村外喜雄のなんだかんだ - 173】
~ことば遊び~  「江戸小噺 どけち」

私たちの周りには、ケチなお方の一人や二人、必ずおられるようで…。
お陰で小噺の材料には苦労しません…てんで、三っつばかし、超どけちのお方を紹介します…。

■「かなづち」
旦那「おおい!定、定吉、いるかあ…、あ、ここの廊下に釘が出ていますよ、
   着物でも引っ掛けて、かぎ裂きでもすると、えらい損をしちまうから、
   あの、お隣へ行って、かなづちを借りてきなさい」

定吉『へーい、行って来ました』
旦那「どうした?」
定吉『貸さないんです』
旦那「どうして?」
定吉『お隣へまいりますと、鉄の釘打つのか? 竹の釘打つのか?
   ってぇますから、鉄の釘打ちますってぇと、鉄と鉄がぶつかると、
   かなづちが減るから、もったいなくて、貸せないってんです!』
旦那「なんてぇしみったれな事を言うんだ。釘一本打ったからって、
   かなづちがどれくらい減るんだよ、しみったれだな…。
   じゃ、しょうがない、うちのを出して使え…」


■「けちの秘訣」
男 「ええ、あなたは大変にけちで、お金を残しているということを
   伺いましたが…。
   私も、お金を残したいと思いまして、ぜひ、けちの秘訣を教えて
   いただきたいのですが?」
けち『けちの秘訣ですか…わかりました。では、庭へ出てください。
   庭にね、松ノ木がありますから、そこへはしごをかけて、登りなさい」

男 「枝にですか? はい、ぶら下がりました」
けち『では、はしごを片付けます』
男 「ああ、あぶない!」
けち『大丈夫、そうしたらね、ぶら下がったら、左手を離しなさい』
男 「左手をですか? はい、離しました」
けち『そうしたら、薬指も離しなさい』
男 「ええ! 薬指もですか? はい、離しました」
けち『中指も離しなさい』
男 「ええ! 中指も? はい、離しました」
けち『そうしたら、人差し指も離しなさい』
男 「ええ! 冗談じゃありませんよ、落っこっちゃいますよ、
   人差し指だけは死んでも離せませんよ!」
けち「そうだろう、これだけは(人差し指と親指で輪を作って)、
   離すんじゃあないよ!」


■「せんす」
八「熊公、なんだね、扇子一本あったら、何年使う?」
熊『自慢じゃありませんが、あたしは、扇子一本あったら、十年は使いますよ』
八「自慢しちゃあいけないよ、一本の扇子を十年なんて、そりゃ使い方が荒い、
  乱暴だよ」
熊『乱暴だって? 一本の扇子を十年使えば、こりゃ十分だと思うけれども…。
  じゃあ、八公は何年使うね!』
八「あたしは、自分の代では使いきれません。
  あたしと同じように使えば、孫の代まで持たせますよ。
  熊公は十年って、どうやって使うの?」
熊『ま、いろいろ考えたんだけどもね、これ、いっぺんに広げれば、
  いっぺんに痛んじゃうから、まず、こっち半分広げて、これで五年
  持たせるんだね。
  で、こっちが痛んできたら、もう半分の方を広げて、これで五年持たせて、
  しめて十年持たせようと思っているんですけど…。
  八公は孫の代まで使わせるって、どうやるんだい…』
八「あたしは、熊みたいに、半分広げるなんて、しみったれた事はしませんよ。
  あたしは、こう扇子をいっぱいに広げてね、アゴの下へ持ってくる…。
  で、よく考えてみれば、これ、扇子を動かすから痛むんだから、
  顔の方を動かす…」。 

これじゃ、風もなにも来ゃあしません。

2007年05月15日

学校に行きたくない-3

■ノーベル物理学賞の朝永振一郎博士

朝永博士は小学二年のころ、習字の先生に「下手な字だな…」と言われたのが原因で、朝になるとお腹が痛くなり、登校を嫌がったという。
やがて登校するようになったが、後年になって、家の中から当時の習字が出てきて、ハッとしたという。
ある時を境に、丸が沢山ついていたのです。

親が先生に不登校の原因を伝え、それで、先生は点をあげてくれたのでしょう。
お陰で、登校が苦痛でなくなった…。
後に京大へ進学。同じくノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士とは同級だった。
朝永博士の習字苦手意識は生涯取れず、色紙は勘弁してもらっていたという。

○以下朝永博士のことば…
   「ふしぎだと思うこと これが科学の芽です
   よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の芽です
   そうして 最後になぞがとける これが科学の芽です」

「鏡に映る世界は、なぜ上下が逆にならないのか」と、研究室仲間と議論をぶつけ合ったこともあるという。


【心と体の健康情報 - 293】
~子育て心理学~「学校に行きたくない-3」

全国に不登校の子供が13万9千人もいます。十年前の2倍、中学生39人に1人が不登校児童なのです。

私たちは、不登校の子供たちへの理解が出来ていると、確信できるでしょうか?
不登校問題の解決は、子供の将来を考えると、「子供をできるだけ早く学校へ復帰させるようにすべきだ」というのが、 大方の考え方でしょうか…。

もう少し、子供の立場になって考えれば、要は、一人前の社会人として自立してくれればいいのです。 学校に復帰させることにこだわらなくてもいいのです。
フリースペースや、塾や予備校、それで駄目ならインターネットなど、人間形成の場はいくらてもあるのです。

不登校の子供を無理やり学校へ行かせようとするのは、骨折れした子供を走らせるようなものです。又、子供が手首を切るのは、 大人への「脅迫」と取る人が多いのですが、そうではなく、「ふがいない自分に対する怒り」ではないでしょうか…。
不登校児童に対する周りの大人たちの誤解が、子供たちを更に追い込んでしまう。
戦後、民主主義が叫ばれ、教育の場でも「個性のある子を育てよう」と言ってきた。
ところが実際は、人とは違った個性を持っている子が、いじめの対象になる。日本人社会は、人と違った言動をすると「おかしな人」 と見られてしまう。

NHK・BSで、朝の連続ドラマ「さくら」が再放されている。アメリカ三世の"さくら"が、高山の学校で繰り広げる、 日本人とアメリカ人のモノの見方、考え方の違い。それが毎朝のドラマで騒動を繰り広げる…見ていて大変面白い。

人はみな違って当たり前。相手をわかろうとし、自分のことをわかってもらう努力がいる。 お互いの違いを認め合える社会にしていきたいものです。
前号468号で紹介した、福井県越前市の小学校教論・岩堀美雪先生は、それを学校で試み、成功した。

この世にたった一人しかいない"自分"。自分の中の、自分にしかない良いところを探し出し、それに関わる様々なモノを、 自分だけの手作りファイルに入れて残していく。
未来への贈り物」という手作りの「パーソナル・ポートフォーリオ」。
生徒・先生・ご家族が一緒になって、作りあげていくのです。

お相撲さんは、マラソンランナーにはなれない。マラソンランナーはお相撲さんにはなれません。 ペーパーテストで高い点数を取った子が優れた子という、偏った価値観で優劣をつけ、人間を評価してしまう今の教育には疑問を感じます。
一人ひとりの持つ個性や持ち味を伸ばしていく…そんな教育が待たれます。

 

2007年05月18日

増加する北陸の外国人客

■石川県は、日本一有感地震の少ない県

石川県がこの4月に発表した、2007年度「石川100の指標」によれば、昨年、有感地震の回数が日本一少ないのが、石川県でした。
過去30年の平均で算出し、全国平均が409回なのに、5分の1の僅か84回。
二位の富山県は99回。

地震の少ない土地柄だと言われてきた。ところが能登に大地震が発生した。
一昨年、政府の地震調査研究推進本部が発表した、全国地震発生確率予測によれば、今後30~50年の間に、 金沢に震度6以上の地震が起きる確率は3~5%。
2004年10月の新潟県中越地震の場合は、その数ヶ月前に確率3%と発表されたばかり。統計上、金沢より発生確率が低かったのです。
神戸・福岡・中越・能登、何れも、地震発生確率が極めて低い所です。
日本中どこにいても、安全な所などないということでしょうか…。


【吉村外喜雄のなんだかんだ - 174】
「増加する北陸の外国人観光客」

4月17日、能登半島地震後初めて、能登空港に台湾からの観光客130人が降り立った。地震の影響で、 海外からの観光客が減少するのではと心配していただけに、嬉しいニュースでした。
一行は、北陸各地を観光して、21日富山空港から帰国した。

台湾の新聞社が、「一生の間に必ず行くべき、世界の観光地28ケ所」を公表した。その中に、日本の京都と立山・ 黒部アルペンルートが入っていた。
立山・黒部アルペンルートを訪れる"海外からの観光客"は、平成14年2万人、16年は4万6千人、昨年は9万3千人と、 猛烈な勢いで増加している。

昨年アルペンルートを訪れた観光客は、総数102万3千人。10人に1人は外国人という計算になる。
国別では、台湾からの観光客が8割を占め、韓国からも5年前の10倍の1万4千人が訪れている。訪れた人の評判が、 次の客を呼び込んでいるのです。
今後、台湾だけでなく、韓国、香港からの観光客の増加が期待される。

一方、兼六園や温泉卿を抱え、観光立県を自負する石川県。お隣の富山県に負けじと、あの手この手の誘客策を講じている。
昨年、兼六園を訪れた外国人観光客は、27%増の9万6千人。
能登和倉温泉の加賀屋は7%減って、1万7千人。ほとんどが台湾人客でした。

北日本新聞・北國新聞から

今年は、台湾の航空機会社3社が、55便のチャーター便を予定している。
韓国の航空会社2社と中国の2社も、チャーター便で観光客を送り込んで来る。
石川と富山が、狭い了見で客を奪い合うようなことをせず、北陸三県協力して北陸の魅力をアピールし、いつかは、 外国からの観光客数が京都をしのぐようになれば…なんて思うのです。

東海北陸道の全線開通は目前。東海方面から能登に接続する能越自動車も、この4月、高岡北~氷見間が開通。名古屋・ 東海方面からの観光客の増加が望まれます。が、中国や韓国からの観光客の方が、より期待できるのです。

一方金沢港には、世界最古の現役客船"ドゥロス号"6,800トンがやってくる。
世界50ケ国以上の国、約350名のボランティアスタッフが乗船していて、国際親善と文化交流を目的に、 5月24日から6月5日の間滞在。
様々な交流行事が予定されている。

2007年05月22日

引きこもり

■「閉じこもり」の家庭に共通して見えるもの…

・ 子供の教育は母親まかせ。父親不在の家庭。
・ 母親が教育熱心で、子供に過大な期待をかける家庭。
 母親は、子どもが部屋で勉強しているようであれば、満足している。
・ 子供の悩みに気づかない親。
・ 一人っ子の家庭。あるいは、兄弟の歳が離れている家庭。
・ 母親が子どもべったりで、過保護な家庭。
・ 両親が共働きで、家の中にぬくもりのない家庭。

読売新聞


【心と体の健康情報 - 294】
~子育て心理学~「引きこもり」

私の身近にも、社会に出て間もなく引きこもってしまい、十年たった今もほとんど一日中部屋の中で過ごし、社会復帰できないでいる、 三十過ぎの青年がいる。
社会人になってしばらく会社勤めをしたが、人間関係がうまくいかなかったのか、突然会社を辞めてしまい、それ以来 「引きこもり」が続いているのです。
私がその家庭を訪ねた時も、部屋から出てくることはなかった。
一日中パソコンと向き合っているようなのです。

中流家庭で、何不自由なく育った二人兄弟の弟さんです。とりわけお母さんが教育熱心というわけではない。 幼いころからの育て方に何か問題があったとしたら、お兄ちゃんがずばぬけて頭がよく、勉強が出来て秀才だったことです。

当然、両親の期待も長男に集中…。何かにつけて、兄弟が比較される。
「お兄ちゃんを見習いなさい」「お兄ちゃんのように勉強すれば、成績が上る」いつの頃からか弟さんは、「僕は駄目な子なんだ」 「生まれてこなければ良かった…」と、一人殻の中に閉じこもるようになったのでしょう。

ご両親は、何とか一人前に育てようと、岐阜県の全寮制の男子高校に入れた。
スパルタ教育で有名な学校である。性格は内気で温和な弟さん、学校でいじめに合っていたようです。
ご両親には、これといった原因が見当たらない。本人に理由を尋ねても、具体的には何も話してくれない。
小学生のころはとても素直でいい子だったのに…。

引きこもりの原因と思われる問題点を幾つかを並べてみると…。
■環境的要因では
(1)ひとりっ子で、甘やかされて育った
(2)兄か弟が優秀で、何かにつけて比較され、差別されてきた
(3)親が教育熱心で、親の期待を一身に背負って育った
(4)小学・中学・高校、ずっといじめられていた

■引きこもりの子供に共通する特徴は
(1)親思いで、親を決して批判しない
(2)喜怒哀楽のような自然な感情を…中でも悲しみを閉じ込めてしまう
(3)相手に合わせようとする。
   自分のことを自分で決められず、親や周りの意見に左右されやすい
(4)一所懸命生きているにもかかわらず、「もっと頑張れ」と、もう一人の自分がささやく。
(5)自分自身を誉めることができず、認めることができない。

人と争うことが嫌いな、心の優しい子が多いのです。
原因と思われるものは幾つか見える。しかし、決定的原因と決め付けるものがない。
また、子育ては夫婦共通の責任であるにもかかわらず、子どものしつけ・教育は妻に任せっぱなし…私がそうでした。それにも関わらず、 「お前の育て方が悪い」と、夫が妻を責めるのが日本の家庭。子を思う母は、ノイローゼになるくらい悩みを抱え込んでしまう…。

登校拒否の場合と同様、世間の常識に当てはめて、親の体面・立場から本人を厳しく叱ったり、優しくさとしたりして、 あれこれ試みてみるものの、何とかしようとすればするほど、状況は悪化するばかり。アリ地獄のよう…

子どもの将来を思う気持ちは皆同じ。 あせらずゆっくり、当面は子どものしたいようにさせて、 お子さんから話を切り出せる環境づくりに努め、話を聴いてあげるだけにするといった、我慢がいるようです。

腫れ物に触るような接し方をしていては、いつまでも問題が解決しないと思うのですが、当事者になってみないと、 この苦しみはわからないだろうし、両親が思い悩むだけでは、この問題は解決しそうにはありません。
いずれにせよ、現実は甘くないのです。

2007年05月25日

韓国の食文化

唐辛子は若返りの妙薬?

韓国を代表する食べ物にキムチがある。キムチといえば唐辛子。唐辛子が欠かせない。
その唐辛子に、老化を防止する成分が多く含まれていることを、名古屋の大学研究グループが発見した。
辛いものを食べていると頭がはげる?と言われてきたが、辛いものが好きな私には、朗報である。唐辛子の成分の働きが、細胞の数が減少したり、 臓器の機能が低下するのを抑制するのです。
人間の細胞はどんどん生まれ変わっていく。若々しく元気な細胞が、ガン細胞などの不要な細胞を除去したり、 臓器を正常な状態に保ったりしてくれる。
加齢などで「細胞死」が多くなってくると、それが老化や生活習慣病の原因になる。

唐辛子の若返り成分を肌に塗ると、シワやたるみも取れることが、研究の結果わかってきた。唐辛子が若返りの妙薬になる時が来るかも?

3/20中日朝刊

【吉村外喜雄のなんだかんだ - 175】
~食と健康~「韓国の食文化」

韓国のホームドラマを見ていると、日本のドラマのような食事風景がよく出てくる。
食事どきになると、一抱えもある大きなお膳の上に、おかずを盛った器を所狭しと並べ、奥さんが居間に運び込んでくる。
お客さまをもてなす時、器の数の多さでもって、歓迎の意を表すのは日本と変わりないが、毎日の家族の食卓でも、 食器の多さには驚かされる。

以下、「クラブUSEN 1月号」の掲載から…
ソウルで料理を注文して驚くのは、サービスとして次々に出される、キムチなどの付け合せの小皿の数の多いこと。
時には十数種類出てくる。見ただけで満腹してしまいそう。
思わず別料金では?と心配になるが、韓国では当たり前。少量ずつ、数多くの食材を楽しむ。それが健康につながる。
根底にあるのは"韓方"の思想。 その食文化は"薬食同源"なのです。

韓国はすぐお隣の国。顔も姿もそっくりなのに、食事のマナーはずいぶん違う。
日本人は茶碗を持って食事をするが、韓国では、茶碗をテーブルに置いたまま箸を使う。それが作法なのです。

また、韓国では、食後、水やお茶で口をぶくぶくゆすいで、そのまま飲み込むことが多い。日本では、許されないマナー…?
子どもの頃、父親や祖母が、茶碗に一口お湯を入れ、くっついたご飯粒を掃除しなから飲み込んで、箸をねぶって、箸箱にしまい込む。 それが日課だったことを思い出す。
毎週金曜日、NHK・BS「チャングムの誓い」を見ていると、韓国の食文化に触れることができる。
ドラマでは毎回必ず、王様に出す食事を調理するシーンがある。時代背景は中世の王宮。このドラマを企画製作したお陰で、 途絶えていた当時の王室料理を、よみがえらせることができたという。

日本では、食材に手を加えず、素材そのものの風味を大切にして、シンプルな料理を楽しむ。
一方の韓国の料理は、実に多くの食材や調味料を使う。それを調理し、混ぜ合わせて食べる料理が多いのです。

両国とも歴史的に中国の影響が色濃く、食材も共通している。
決定的な違いは、中国から伝えられた「漢方」。日本ではあくまで薬としてしか広がらなかったのに対して、 韓国では庶民の食生活の中に深く根付いている。

例えば、日本人に好まれる"お粥"。梅干や卵だけのシンプルなものが好まれる。
それに対し韓国粥は、実にたくさんの食材を使う。粥の種類も多い。
黒ゴマを使った真っ黒な粥などは、日本人には薬にしか見えない。また、日本で人気のビビンバや、キムチ。使っている食材の種類、 本場韓国のものは、日本のものに比べると、断然多いのです。

韓流ブームに乗って、韓国のスターが日本を訪れるようになった。男女を問わず、韓流スターの素肌は健康的で美しい。 芸能人に限らず、韓国人女性の素肌が美しいことはよく知られている。

歴史的・文化的に、中国"漢方"の影響を大きく受けた韓国。その漢方を、韓国の風土に合った独自の"韓方"へと進化させていった。
そして、日常生活・食習慣の中に浸透していったのです。食は文化。国によって、地域によって、家庭によって、いろんな食べ方がある。
韓国を知るには、まず韓国の食文化を理解することから始めていきたい…。

2007年05月29日

親の干渉が、子どもをダメにする

■「見捨てられ症候群」

息子の二人目の男の子は5ヶ月。2つになるお姉ちゃんは、弟ができて「赤ちゃん返り」をした。大人の関心が自分から離れていくのを、 敏感に感じ取ったのでしょう。
子ども達の間にも、これに似た問題行動が見られる。親や先生から期待されず、無視され続けると、「自分は誰からも愛されず、必要とされない… 」と、「見捨てられ症候群」に陥る…。

目立ちたいがために自己主張をする。教室で我がままな振る舞いをしているうちはいいが、人を傷つけ、 自分を傷つける暴力行為となって表れてくる。卒業式や成人式での常軌を逸した振舞い。徒党を組んで夜の街を暴走する若者などは、 その表れでしょう。


【心と体の健康情報 - 295】
~子育て心理学~
「親の干渉が、子どもをダメにする…」

私の兄は大手銀行に就職し、定年まで転勤続きの人生でした。大手企業の社員であれば、転勤は避けられず、宿命のようなもの…。

私の仕入先も、社内恋愛共働き社員が多い。金沢支店にもカップルがいる。
女性は、子供ができればやむなく会社を辞め、家庭に入る。夫の転勤にくっ付いて知らない土地に引越し、3年くらいで又転勤。 その土地になじむには3年は短かすぎる。何でも話せる友人が出来ない。ようやく友人が出来たと思ったら、転勤…。
保育所の親子サークルに参加しても、よそ者扱い。子どもも土地の子に意地悪されたり、無視されたりする。子どもが可愛そう…。
会話のアクセントの違いからか、地元の人たちとなじめない。考え方も微妙に食い違う。

夫に相談しようにも、帰りが遅く頼りにならない。「自分で解決しろ」と、関わろうとしない。
一人悩みを抱え、孤独にさいなまれる。何でも話せる友人がいない。いつしかウツ状態になり、育児ノイローゼに…。

転勤族の奥様で、このような辛い思いをした人を何人か見ている。
子供の頃、「近所の子供たちと毎日暗くなるまで遊んだ」経験がない。
人間関係作りが下手で、社会性が身に付いていないことが原因でしょうか…。

今は、どの家庭も子どもは一人か二人。お天気の良い日には近くの公園で、子連れのお母さんが集う。母親はおしゃべり、 子どもは砂場で遊ぶ…。
おもちゃの取り合いが始まった。年長の子が、年下の子のおもちゃを取ろうとして、相手をポンと押した。年下の子は、 大きな声で泣き出した。

すると、押した子の母親は、あわてて我が子を叱り、相手の子どもや母親に謝る。謝られた子どもの母親は、 「押したのは子どもだから、子どもに謝らせるべきでしょう」と、親に文句をいう。

集団の中で、コミュニケーションがうまく取れない親子が多くなってきている。
親も子も自分本位で我がまま。誤った交わりは陰口に始まり、仲間に従わないなら仲間に入れない。そんな排他的構造を作り出していく…。

子供たちの間では、ケンカや小競り合いは付きもの。そうした体験を積むことによって、どうすればうまく折り合っていけるかを、 学んでいくようになる。
だから親は、子どものもめごとに首を突っ込まない方がいいのです。

暴力をふるえば、いずれ自分が仲間はずれになることを知るし、言葉でのやりとりは社会性を育み、譲り合うことで、 思いやりや優しさが身に付く。
ところが、一人っ子のお母さんは、子どもの争い事につい干渉し、我が子をかばってしまう。子ども自らが、 社会性を養う機会を奪ってしまうのです。

子どもの争いやケンカには、親は口を出すべきではない。子どもたちのことは子どもたちに任せて、見て見ぬ振りをすることも、 場合によっては教育なのです。

 

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