■銭は天下の回りもの
ある夜、青砥藤綱(あおとふじつな)という武士が、川に10文の銭を落とした。
使いを走らせ、50文の松明(たいまつ)を買って銭を拾った。
「太平記」巻35の一節である。
人に笑われると青砥は言った。
「拾わねば10文の銭は川底に眠りつづける。自分は10文を取り戻し、商人は50文稼いだ。60文の銭1つも失わずあに天下の利にあらずや、
世の得になったではないか。」
"回ってこそのお金" 流れることで世の中を潤し、おのが出費もやがては一滴の潤いとなって、わが身に戻ってくる。
お金が使われぬまま、川底ならぬ銀行口座やタンスの中で眠りに落ち、世の中にお金が流れていかない状態。これがデフレである。
【心と体の健康情報 - 288】
~故事から学ぶ~「自己を律する」
人間形成で最も難しく、又大切なことは、「自己を律する」ことが出来る人間になることでしょうか…。
ところで「自己を律する」とは、どういうことでしょうか?
そこで、[黒帯の寓話]という故事から、その意味を深めたいと思います。
何年にもわたる苦しい修行によって、ようやく黒帯を認められるようになった弟子が、師範の前にひざまづいた。
そして、「黒帯の本当の意味は何かな?」と尋ねた。 一年たって、弟子は再び師範の前にひざまづいた。 そして、この答えにも満足していない様子だった。 一年たって、弟子は再び師範の前にひざまづいた。 「そうだ! ようやく黒帯に値するようになったようだ。修行はこれから始まる…」 |
田舞徳太郎著「幸せの心理学」より
正月、フイリピンでスキューバーダイビングを楽しんだ。
その帰りの飛行機で、海難救助レスキュー隊の活躍を描いた、ケビン・コスナー主演のアメリカ映画を見た。
訓練学校での厳しい訓練。それに耐え抜くシーンが、筋書きの3分の2を占める。
そのすごい迫力に圧倒されながら、食い入るように見入った。
多数の同僚が脱落していく中、無事卒業の日を迎える。校長から卒業証が渡される。
指導官からは、新しい赴任先での活躍を祈り、激励の言葉が一人ひとりに投げかけられる。
その時の卒業生の心の内の、受け止め方が問われるのです。
厳しい訓練に打ち克ち、耐え抜いて来た、自らへの褒賞と受け止めるか?卓越した技をみがき、頂点に達したことを誇りに思い、
その証として卒業証を受け取るのか?
卒業は新たなる出発点。更に高い目標に向かって、終わることなく続けられる修行の旅の出発点と、受け止めるのか?
ドラマの後半は、海難現場で命を賭けた、息を呑む救助シーンが展開していく。