日本の受験戦争は素晴らしい(2)
■舞台人の心構え
舞台人の心構えに、
「稽古は大根役者と思え。幕が上れば千両役者と思え」
というのがある。
まだ下手だ、まだ足りないとひたむきに稽古し、いざ本番となれば一転、揺るがぬ自信を胸に、舞台をつとめよ…と。
上がり症を克服しようと思ったら、本番に備え、何度も繰り返し練習するしかない。
先々週の土曜日、世界フィギュアで安藤が逆転の「金」。
SPでまさかの5位に終わった真央ちゃんが、「銀」という快挙をやってのけた。
本番前の順番待ちで襲ってくる、「うまくいかなかったらどうしよう…」という、抑えようのない不安感。それを振り払うため、
浅田真央は、舞台裏で1人瞑想した。
「精一杯やるだけやったんだから、例え本番で失敗しても悔いはない」と、開き直って臨んだことが好結果を生んだ。
翌日、日曜の午前、民法TV「波乱万丈」で…(震度4の地震が襲ってきた直後)「納得いくまで練習を積むと、
自らの演技を早く観客に見せたくて、ウズウズしてくる…」。
舞台俳優40年のプロ、"西岡徳馬"の言葉です。
【心と体の健康情報 - 287】
~子育て心理学~ 「日本の受験戦争は素晴らしい(2)」
仕事がない…。税理士から「会社をたたんだら…」と言われ、苦しくて眠れない日々が続く。死ぬ気になって原点に戻り、
成功をつかみとっていった。
「理念と経営3月号」に出でくる、埼玉県日高市に本社がある、(株)ミヤザキ山之内道廣社長の体験記である。
山之内氏は、5人兄弟の末っ子。家は貧しく、兄弟みな中学を出て働きに出た。
自分も中学を出たら左官になろうと、中学3年の夏休みに、1週間ほど見習いに行った。そのとき、
仕事が終わって職人たちが焼酎を飲んで酔う姿を見て、これが将来の自分の姿かと失望した。
高校へ行き、勉強したいと母に相談した。母は借金をして入学金を作ってくれた。高校卒業後、品川の樹脂の販売会社に就職。 人と接する仕事がしたいと、営業に出る。お客様の評判もよく、先輩に負けない売上を上げるようになった。
22歳のとき、アパートの一室に中古のボール盤を一台置いて、独立。
何度となく訪れる経営危機をその都度乗り越え、いまや、特注品の樹脂加工の分野では、他者の追随を許さない高い技術を誇る、
トップ企業に成長した。
山之内氏とは以前、一年近く一緒に机を並べ、勉強したことがある。
その人柄は一級品。貧しかった幼年期と、若い時に重ねた苦労が、氏を大きな器に磨き上げたのでしょう…。
春は選抜高校野球と共にやってきた。
先月23日から始まった甲子園での熱戦も、今日が決勝戦。
県予選での戦い、いくら練習を積んできても、敗戦とともに次がないことを、過去何度となく思い知らされている。
そこを勝ち残ってきた球児たちに、更なる試練が甲子園で待ち受けている。
トーナメントなので、どんなに強いチームでも、ちょっとしたミスで負ければ、次のチャンスはない。そこが良いのだ。
何しろ戦っているのは高校生である。 日頃から「うまくいかなくて当たり前、何も焦ることはない」などと、言われ続けている世代だ。
今が一番伸びるという時、負ける悔しさを体験することは大事である。
若いうちに、明日なき戦いを経験しておくことが、後に生きてくる。
受験も同じである。一発勝負と心得て、徹底的に勉強すべきだ。
「受験に失敗したって、どうってことはない」などと、ここで変な励まし方をしない方がいい。負けたら終わりだという気持ちで、
必死に取り組ませるのも、立派な教育である。
叩きのめされても、若い時だからこそ…。若い時だから、再び立ち上がることができる、明日なき戦いを経験させておく。受験こそ、
その絶好のチャンスなのだから…。
必死で戦って、結果負けてしまったとしても、「それはいずれ大人になって、財産になるであろう」などと、教える必要はない。
いずれ分かることなのだから…。