■ミイラと古代エジプト展
先月東京へ出張した折、国立新美術館を見学したが、更にもう一ケ所、感動した所があった。
一昨年まで大英博物館で人気を博していた「ミイラと古代エジプトコレクション」が、初めて国外に持ち出され、日本で公開されたのです。
美しく彩色された木棺とミイラ、装飾品、ミイラマスクなど、130点あまり展示。
大英博物館秘蔵の、3千年前のエジプト王朝のコレクションの数々を、日本に居ながらにして見ることができるという、 又とない機会を得たのです。
古代エジプト人は、死後、肉体をミイラにすることで、魂が永遠に生きると信じていた。ミイラを作る過程と、 保存ために秘術を尽くした謎を解き明かしてくれると共に、3千数百年前栄誉栄華を極めた、王朝文化を垣間見た。
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 165】
~ことば遊び~ 「落語・胴斬り」
「笑点」の司会でおなじみの、円楽師匠が引退表明した。
05年に脳梗塞で倒れ、その後復帰を目指してリハビリに努めたが、ろれつが回らず、「こんな状態で落語を語るのは情けない」と、
引退を決意したのです。
落語フアンにとっては寂しいかぎりです。
さて今日は、おかしみたっぷりの「胴斬り」を一席…
♪身分の違いもあるが、うっかり粗相でもすれば、無礼打ちにされても文句が言えない町人。剣の達人に斬られると、痛みを感じず、
気づかないことさえあるという。そこで、なんともユーモラスなのが「胴斬り」を紹介します。
♪脳天から唐竹割、左右対称に真二つにされたのに、腕前がいいので、斬られたほうは気づかない。
平気で鼻歌を歌いながら路地を曲がろうとして、左右がずれて離れてしまう…。
実にすごい斬りようがあったもんです。
ヘソの辺りで、横なぎに胴斬りにされた上半身と下半身が、別々に奉公に行った。ヘソから上は湯屋の番台に住み込み、ヘソから下は、
コンニャク屋に雇われ、桶の中で足踏みをして、コンニャク作りに励んでいる。
よそ見をしないので、仕事がはかどって好評だというから、なにが幸いするかわからない…。一方のヘソから上も、
珍しいもの見たさに客が押しかけて、なかなか繁盛している。
『おめえ、斬られちゃったんだってなあ、足のほうはどうだい?』
「あいつもね、遊んでいられねえって、コンニャク屋に奉公してるんだが、ここんとこしばらく会わねェんだよ。あっちへ行ったら、
様子見てもらいてェんだがなァ」
『いいとも、なんか言づてあるかい?』
「湯屋の番台で元気にやってるって、安心させておくんねェ。
ついちゃァ、ここんとこの陽気のせいか、のぼせてしょうがねえんだよ。膝ッ小僧の下の壷に、のぼせ除けのお灸をすえるよう、
頼んでみてくんねえか?」
『お灸は相方へすえなきゃ、効かないのかい。いいとも、行ってくるよ』
『お宅に、胴斬りになったヘソ下さんが、奉公に来てましょう?』
「はいはい、そこの三つ目の桶ですが、背ェが低いんで、覗かねえとわかりませんよ。いい職人でね、食うものも食わずに働いてます」
奉公人は、食べさせなければならないが、食べさせなくて済むとなると、店にとっては好都合。
友達だから、会わせてもらいたいと頼むと、どうぞごゆっくりと、愛想がいい。
『おう、いるかい』
「やあ、いらっしゃい」。覗き込むと確かにいる。
『威勢がいいねえ、鉢巻をして、…え? 鉢巻じゃねえ? ふんどしかよ…。
あのねえ、湯屋の番台のヘソ上さんに、伝言されてね。元気にやってるから、安心してくれって。それから、のぼせてしょうがないから、
ヘソ下さんの膝ッ小僧に灸をすえてもらいてえって、そう言ってたぜ…』
「わかりましたが、お帰りンなりましたら、膝ッ小僧に灸はすえるけど、あまり茶をがぶ飲みしねえようにと、 ヘソ上の野郎に言ってもらえませんか。ここんとこ、はばかりが近くて困ってるんですよ…」