今回から、アリゾナ大学のアーノルド・ワイル医学博士の著書「癒す心、治る力」(角川書店)から、 自然治癒力のエネルギーのすごさについて、ご紹介します。
この本は、全米ノンフェクション部門ベストセラー1位になり、昨年一月に博士が来日し、注目されました。
博士は、長年に渡る「予防医学」「代替医学と自然治癒力」の功績が認められ、医学的研究と治療分野での最高賞、「ノーマン・E・
ジンパーグ賞」を受賞しています。
「病気を未然に予防することの大切さ」「人間の持つ自然治癒力と現代医学とのかかわり」を著した、398ページの博士の著書。
読んだ中からの抜粋です。
【心と体の健康情報 - 279】
~食と健康~「癒す心、治る力」
笑いのある“明るい"環境ほど、健康に良いものはない。そういった環境にいると、 病気が治ってしまう。笑いが、身体の自然治癒力を高める働きをするのです。東京の某クリニックでは、患者さんを落語演芸場や、 吉本へ連れて行く。繰り返すことで、著しい治療効果が認められると、学会に発表している。
ガンなどの治癒率がきわめて低いとされている病気でも、世の中にはいわゆる "奇跡的治癒"をとげた人が必ずいるものです。
ワイル博士は、アリゾナ大学で教鞭をとっている。博士は難病から生還した人をよく教室へ連れてきて、学生に体験談を直接聞かせ、 生まれながらに備わっている「自然治癒力」の力が、ときに医学の常識を破ってしまうという、 生きた見本に触れさせようとするのです。人の持つ治癒力のすさまじさを体感させ、「自然治癒力」の持つ力に、 目を向けさせようというのです。
現代医学の科学療法は、効力が鋭く、毒性の強いものが多い。その毒性のために、病気を治すための望ましい効果が、 “副作用"で相殺されてしまうことがあまりに多いのです。そして厄介なことに、抑圧的な治療を続けている限り、病気を治すどころか、 病気のプロセスを高めてしまうのです。
そして今、抗生物質などの “現代の特効薬"に対する抵抗菌の続出が、深刻な問題になろうとしている。 抗生物質の乱用が災いして、細菌は急速に新しい “抵抗メカニズム"を生み出しつつあるのです。
以前なら、抗生物質で治療できたはずの感染症。効果もなく死亡するケースが続出しているのです。 病院で"院内感染"で死亡するケースが度々発生している。一部の感染症専門医は、 抗生物質では対応しきれなくなったときの対策を考えはじめているという。なんとも怖い話です。
例えば、アレルギー体質患者の皮膚のかゆみや発疹といった症状の場合、その病気は皮膚の表面に出てきます。そして、 体表に現れた症状は、体内にいたときの症状よりも、より良い兆候だと教えてくれる。
一般に皮膚科の治療は抑圧的で、かゆみや発疹を抑える薬を投与することで、症状を消すことはできる。が、 将来もっとたちの悪いトラブルや、病気の原因を体内に閉じ込めてしまうことになる。
医師が使用する副腎皮質ホルモンは、非常に強力な抗炎ホルモンであり、医師は、 その害について真剣に考慮することなく、皮膚表面のトラブルが解消することを願う患者の要望に応えるために、 安易に投薬してしまうのです。
使用している間は発疹は抑えられる。が、ひとたび使用を止めると、たちまち症状が現れ、しかも以前より悪化するのです。 病を元から治すのではなく、症状を体内奥深くへ追いやっただけなのです。抑えつけられた病気と、 そのエネルギーはどうなったのでしょうか?どこへ行ってしまったのでしょうか?
~次号 2/13に続く~