【吉村外喜雄のなんだかんだ - 155】
~ことば遊び~
「落語・松竹梅」
正月最初のメルマガは、「ガマの油売り」「おそろしく長い口上」「寿限無」など、落語ネタを題材にしてきました。
今年は「松竹梅」という、名前だけ?めでたい、落語のさわりを一席…。
♪長屋に、松太郎、竹吉、梅三郎なんてのがいたら、これはこれでめでてェんですが、彼らすべて器用でないのは、
しょうがねェところでして…
松さんが大家さんのところに、ある相談に行きやしてな…。
「大家さん…。あの、実はですね…。明日、うちの町内の自治会長さんとこの息子さんが結婚することになったんですがね…、
急に仲人夫婦の都合が悪くなりまして…それで突然、大役がうちらに回ってきましてね…。
大家さん、それで…、相談に乗っていただきたくて…」
『ほう、そうかい。松さん、それは大変だねェ』
「で、うちの長屋の竹吉、梅三郎も一緒に大役を仰せつかったんですけどね、この3人で何か出来ることはないかと、
話し合ったんですが…、今の今まで、あ~でもない、こ~でもないと、結論が出ないまんまでして…。
結婚式は明日なんで、いよいよ弱っちまって…。
で、大家さんは物を知ってるから、何かの足しになるだろうから、ご伝授いただいたらどうだろう…ってわけで、
あっしが代表で来たわけなんですが…」
『松さん、そうかい、それはありがたいねェ…。そういえば、あなた方は3人合わせるとちょうど"松竹梅"になって縁起がいい…。
じゃ、どうだろう、これは簡単だよ、そして縁起がいい…。
すぐに覚えられるよ。その面白いご祝儀を授けましょうか』
「すぐに覚えられる? そいつはありがたい…」
『これは、お開きの前にやっていただきたい…。いいご祝儀で、パッと盛り上がってお開きとなると、 あなた達の印象もグッと良くなるでしょう』
『まず松さん、あなたが、「え~、最後にご祝儀を行います」と言ってから、
「なったなった蛇(じゃ)になった…当家の婿殿、蛇になった」
って、 あなたが先導を切って言うんですよ! めでたい席の最後の最後に、
「蛇なつた」 だなんて、なんて嫌なことを…って、皆さんが思うでしょう?』
『で、次に竹さんが、 「何蛇(なにじゃ)にな~られた?」 って、すかさず聞くんです。 で、ここが一番大切なんですよ。
最後に梅さんが、
「長者にな~られた…」って 言えば、どうです?
皆さんは感心するでしょう。松さん達に大役を果たしてもらってよかった、今後もお願いしたい…って、信頼もつくってもんですよ』
「そうですか…? 早速、帰って練習します。大家さん、どうもありがとうございました」てんで…、明日の結婚式に備えて、
泊り込みで練習を始めた。
念には念を入れて… ってなわけで、とにかく3人は、何度も何度も繰り返し練習して…もう、寝言に 出るほど練習した…。
お後の噺は…12日金曜日につづく