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子どもの適正と人生

一歳半の孫、大人のやることを見ていて、上手に真似る。 「学ぶ」の語源は「まねぶ」。つまり"真似ぶ"ことから始まる…

・毎朝、みんなと一緒に長い柄のホウキを引きずって、掃除の真似事…。
・お客様が入ってくると駆け寄り、満面の笑顔でおじぎする。
・パソコンのキーを触り、受話器を耳に当て、意味不明のことをしゃべる。
・商品を手に取り、「どうじょ!」と持ってくる。
・やたらとペンを持ちたがり、目の前に紙があれば、書きなぐる。

誰が傍に来ても人見知りしない。誰にでも笑顔を振りまき、可愛がられる。
会社で大人たちがやっていることを上手に真似る。日々成長する姿を見て、
その吸収力・学習力には感嘆する。子どもの持つ能力は無限…。

子は親のコピー…、癖までそっくり似てくる。
真似されてもいいよう、良いお手本を示さなければならない…

【心と体の健康情報  - 263】 
~子育て心理学~
「子どもの適正と人生」

私は男四人・女二人の、六人兄弟の三番目。家に居座わられては困ると、
"外喜雄"と名づけられた。
長兄は、兄弟の中ではずば抜けて頭が良かった。(後に息子さん早稲田へ)
高校はインターハイで活躍。大学へ行きたかったが、当時、満州から引き揚げ
てきた叔父家族が同居。13人の大家族が一つ屋根の下で暮していた。

家は貧しく、毎日食べるだけで精一杯。長男を大学へ出す余裕などない。
兄は父から「商人に大学は無用」と、大学を諦めさせられた。店を継ぐまで、
しばらく他所の空気を吸ってくるようにと、高校卒業後、大手銀行に就職した。

次男の私は四つ年下。その頃になると少し家計に余裕が出て、大学受験OK。
ところが、肝心の私は病気療養中で、家族の厄介者…。
家族会議が持たれ、将来の見込みが立たない私を家に残し、長男が家を出る
ことになった。私は両親の元でじっくり療養し、いずれ、私が母屋と家業を継ぐ
ことで、兄は了承した。長男と次男の立場が入れ替わったのです。

その後兄夫婦は、全国を転勤して歩く人生。能力を評価されながら、学歴高卒
が災いして、支店長にはなれなかった。始めから家を出るとわかっていれば、
無理をしてでも大学へ行っただろうに…。兄には申し訳ないことをした。

しかし長兄は、商人には向かない事務屋タイプのおっとり性格(銀行マンが
お似合い)。しかも多趣味。何をやっても私より上手い。銀行で出世できなかっ
た代わりに、植木等ではないが、気楽なサラリーマン稼業を満喫できたと思う。
右肩上がりの良き時代に人生を過ごし、バブル崩壊後、窓際に追いやられる
こともなく、つつがなく65歳の定年を迎えた。

兄は、私と入れ替わって良かったのでは、と思う。
もし、兄が家業を継いでいたら…長兄としての責任と義務感(几帳面な性格)
から、家業を守り通そうとしただろう。
(私はそれが希薄だった。家業を親から受け継いだが、父親が亡くなった後、
一生続ける気がないと廃業し、自分の好きな道へ…)
その後、商いを続けるには難しい世の中になった。兄が店を継いで幸せになれ
たかは疑問です…。

一つ下の弟の三男は、勉強嫌いで、生まれながらの"鉄"。
そこで父は、中学を出ると直ぐ、東京のハンドバックメーカーに住み込ませた。
学問のない弟の将来を考え、手に職を持たせようとしたのです。
15歳で親元を離れ、腕を磨き、手に職を付けた弟。三十代に独立、所沢に
土地を求め、家を建てた。腕のいい職人…と、発注元の信頼も厚く、知らない
土地で幸せに暮している。

一番下の弟は、金沢美大に約5倍の難関を突破、まさかの合格。その喜びが、
人生を迷わせることになろうとは…。"鉄"の能力しかないのに、自らを"金"と
思い込んでしまった…?
社会人になってからの弟は、プライドが高く、芸術家気取り。努力したが報わ
れず、運やチャンスにも恵まれないまま、"天命を知る"歳になってしまった。
兄弟の中でただ一人大学を出ながら、幸せには縁遠い…。

戦後教育の大きな問題は、大学を選択せず、商業や工業系の高校に進む生徒を、
一段低く見てしまうことです。
ヤンキース松井選手の出身校、星陵高校。私の長男も世話になった。
当時は、大学進学を目指す学生の、滑り止め高校だった。志望高を落ちた生徒
が、已むなく入る学校だったのです。
入学式に参列した母親の中に、我が子の将来を悲観し、人目もはばからず嗚咽
を漏らす人がいて、何とも暗い入学式だったと、帰ってきた妻が言った。

我が子を、技術系の専門学校に入れるのを、世間体が悪いいとか、恥ずかしい
といった、親の偏った社会観・職業観。それを改めない限り、子どもを能力に
合った人生の選択など、してやれないでしょう。
更には、社会の偏見も改めていかないと、どうにもならないでしょう…。

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