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勉強の出来ない我が子

十代のとき病気になり、10年近く長期療養。隔離病棟に入っていた時期もある。
病気を早く治したいと思うなら、おとなしく寝ているしかない。
退屈な日々、暇にあかせて読んだ経営書の中に、「蟹変(ぜいへん)の哲学」
というのがあった…。後に、それが私の"生き方信条"になった。

「蟹変の哲学」とは、蟹は自らの成長に合わせて脱皮を繰り返す。同じように、
「人は成長するにつれ、身の丈に合った脱皮をしなければならない」という教えで
す。
人生、脱皮をしなければならない時が必ず来る。いつまでも同じ甲羅に安んじて
いては、それ以上の成長は望めない。今の平穏に満足することなく、さらに大き
な飛躍を求め、自ら脱皮し、一歩足を踏み出す…。

更には、「必要以上に不釣合いな甲羅を求めたりせず、大きすぎず、小さすぎず、
己の身の丈に合った甲羅を身にまとうべし」、という戒めの意味も込められている
…。


【心と体の健康情報  - 262】
~子育て心理学~
「勉強のできない我が子、両親はどう導く?」

森永ヒ素ミルク事件、豊田商事事件等に関わったことで有名な、元日弁連の会
長で、弁護士の憧れの的"中坊公平"氏。幼少の頃、さぞや頭のいい神童と思
いきや、成績は"丙"ばかりの、勉強のできない落第生だったのです。

公平少年、小学校三年生の頃、あまり成績が悪いので、担任の先生、父親を
教員室に呼んで、言った。
「ご両親共、過去に十数年も小学校の教員をしておられたのですから、ご家庭
でお子さんを教えたらどうですか? そうすれば、学校の成績も良くなると思う
のですが…」
『先生、どうか気にしないでうちの子に"丙"を付けてください。私たち夫婦は、
小学校の教師の経験があり、子どもを教育することは、何でもありません。
しかし、私が思うに、息子に補習を施せば、おっしゃる通り少しはマシになる
でしょう。しかし、それは何を意味するのでしょうか?

所詮は"鉄に金メッキ"を施しているに過ぎないと思うのです。 残念ながら先生
のおっしゃる通り、息子は金の才能を持ち合わせておりません。鉄の才能しか
持たない人間として、この世に生まれてきたのです。補習をすれば成績は上る
でしょう。
でも、鉄は鉄。鉄に金メッキを施したところで、社会人になって後、メッキと
いうものは必ずはがれてくる。その時こそ、この子にとって、問題なのです。

それよりも息子が、自分は"鉄"の才能しかない人間であることを自覚した上で、
鉄としての人生をどう生きていくのか、 それを息子に教えることの方が、
学校の成績を良くすることよりも、大事だと思うのです』

自分が鉄の人間であることを自覚した公平少年。その後、自分の頭の悪さを
補うためと、素晴らしい処世術を見つけ出した…。         
                                  この続きは次号10/3

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