ちょっとグズれば、近くの誰かが「どうチたの…?」と覗き込む。
毎日、孫の顔が見られるのは嬉しい。が、困ったことに、誰かがそばにいて構ってやらないと、ご機嫌斜め…。
大人を見れば「抱っこ…」と両手を上げ、擦り寄ってくる。思うようにならないと、知恵を働らかせ、わざと悪さをして関心を引こうとする…。
【心と体の健康情報 - 254】
~子育て心理学~
「西欧の子育て」
アルファ通信に書かれていた、田中彩子さんの「西欧の子育て」を紹介します。
ドイツでは、妊娠と同時に、おめでたを喜ぶ家族みんなが協力して、生まれてくる赤ちゃんのために、可愛い部屋の準備を始めます。
ベビーベットより何より重要なのは、赤ちゃん専用の個室を用意することです。
生まれて直ぐ、たった一人個室に寝かせるのは、ドイツをはじめ、欧米ではごく当たり前のこと。"一人"に慣れさせるため、まだ物心つかないうちから個室に入れて、しつけていくのです。最初の頃ぐずっていても、いつかはくたびれて、眠るコツを体得する。
泣くたびに、親か傍にやってきて、あやしていると、赤ちゃんはそれを学習して、親の手をわずらわすようになる。なだめに来たり、添い寝をしてくれないことを知れば、あきらめて、泣きやめることを体得し、自然に眠る癖がつくのです。
ただ、この場合注意しなければならないのは、親は必ず、赤ちゃんの泣き声がおさまり、眠りに付くまで、部屋の外で聞き届けることです。そのうちに、赤ちゃんの泣き声が、ただぐずっているだけか、それとも、どこか身体の具合が悪いのか、聞き分けることが出来るようになるのです。
子育ての考え方の根底にあるのは、自己の自立を重視する「個人主義」の徹底。
自立心を養うため、日本のように親子が"川の字"になって、一つの部屋で寝るなどということは、以っての外である。幼少の頃から、何でも一人でやれる人間になるために、個室に寝かせるのは、子育ての絶対条件なのです。
それとよく聞く話ですが、子ども達とドライブをした時、両親がアイスクリームを食べたくて、コンビニに立ち寄る。その時、子ども達には、「車の中で待つように」言いつけ、夫婦がコンビ内で、自分たちだけアイスクリームをなめる…。
レストランの入り口で、「何名様ですか?」
『大人3人に、子ども2人。そして犬一匹です』
言いにくそうに、「残念ですが、犬は構いませんが、子どもは入れません…」
こんな会話が繰り広げられる。
レストランに犬は入れるが、子どもはダメなのです。日本でこんな断り方をし
たら、大変なことになる。断わる理由はただ一つ"騒ぐ"から…。大人社会では、
落ち着いた静かな雰囲気で食事を楽しみたい。だから「子どもはお断り」なの
です。
西欧諸国では、公共の場で大人たちに迷惑をかける子どもがいると、だれ彼なく叱る。日本では、親ですら気付かない振り…。ましてや他人は、見てみぬ振り…。人の子を叱る大人がいない。ここが、日本と西欧の子育ての大きく違うところです。
西欧社会では、たとえ子どもといえども、「他人の権利を侵害してはいけない」という考えが、社会の中に根付いているのです。