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知られていない本当の中国(2)

■長江・三峡ダム
中国二大河川の一つ、長江の中流域に世界最大の貯水ダムが完成した。
長江から上流の重慶にかけて建設され、そのスケールは、日本人の想像を遥か
に超える。
えん堤の長さは2309メートル、高さ185メートル。ダムのある湖北省から上流の
重慶まで、660キロが水没(直線距離で、金沢~福岡市が657キロ)。
水没面積は、日本の四国に匹敵する。流域の住民110万人が強制移転させられ
た。
貯水量は、日本にあるダムの貯水総量のおよそ二倍。名勝旧跡も数多く水没し、
流域の工場からの未処理汚水の大量流入で、長江の水質悪化と、生態系への悪
影響が懸念されている。

最初に構想したのは孫文とされるが、建設反対の声が強く、計画は進展しなかっ
た。天安門事件で反対派が抑制され、建設賛成派が勢いづく。全会一致が基本の
"全人代"で採択されたが、棄権と反対が計30%出たのは異例のこと。 様々な
問題を残したまま、着工が強行された。
1993年着工。今年の春、15年に及ぶプロシェクトが終了した。
発電能力は1.820万キロワット。中国の電力需要の10%がまかなえる。

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 131】
「知られていない 本当の中国(2)」

以下、PHP研究所 拓殖久慶著「中国の本当の危なさを知らない日本人」から
の抜粋です。

共産国中国は、国策的に食費が安い。ビールを二本飲み、二人で料理三皿と
スープ、それで100元、日本円で1300円もしない。
食料品の価格が抑えられると、農家がしわ寄せを食う。年収2000元そこそこ
の農家が多い。最貧の省、新疆ウイグル地区などは、年収1000元程度だろう。

そうした辺境の農民、都会へ出稼ぎに出かけて、何とか食いつないでいる。
社会体制の矛盾が広がるにつれ、農民の不満がうっ積する。

中国の現状を航空機に例えるなら、旧式のボーイング機に、最新高性能エンジ
ンを装着し、音速飛行をしているようなもの。先進国に追いつこうと、速度優先
で安全を無視して、無理矢理飛ばせているようなもの。国家そのものが空中分
解して、瓦解してしまう恐れがある。

経済を最優先した結果、上海・広州・大連といった都市には、年収十億元以上稼
ぐ者がいる。反面辺境には、その十万分の一の年収しかない住民が、生活苦に
あえいでいる。
そういった貧富の差が、海外旅行でビックリ仰天の数字となって表れてくる。
2004年の中国人の海外出国者数は、2、885万人を記録した。
日本人を一千万人以上、軽くオーバーしている。

しかもそれだけではない。海外でのショッピング金額が、一人当たり千ドルに達っ
しようとしており、日本人を抜いてしまった。つまり、海外旅行ショッピング第一
位の座に中国人が座り、最もお金持ちの旅行者であることを意味する。

私(吉村)が上海を訪れたとき、高速道路の彼方に、クレーンが林立し、工事中
の約20階建ての高層マンション群が見えた。上海郊外の一角に、とてつもない
大きな町が出現しようとしている。計画経済のお国柄…やることがでっかい。

都市開発は、農民たちの犠牲の上に成り立っている。工業団地が造成され、
道路が整備される。地方政府の意向で「農地は強制収用」されていく。
支払われる対価は雀の涙。警官隊を動因して、農民を追い払うようなことをする。

貧しい農民から土地を奪い、そこへ外国企業や地元有力者に密着した企業を
誘致する。農民たちが抗議しても、出動した警官に実力行使され、ときには逮捕
されたり、殴られるという始末。

中国の繁栄は、こうした農民たちの犠牲の上に成り立つ、砂上の楼閣のような
もの。その裏側から、利権に群がる官吏、汚職の臭いが漂ってくる。
地方政府は悪代官で、中央政府はご都合主義の共産主義者。彼らは、金儲け
となると、19世紀初頭のアメリカ映画に出てくる悪徳資本家のよう…。

北京オリンピツクが一段落して、経済が停滞すれば、矛盾山積の中国社会。
問題が一気に噴出して、政府は共産主義を捨てざるを得なくなるかも…。
でなければ、北朝鮮がテポドンを発射したように、国民の不満の目を外に向け
ようと、対外強攻策に走り、"台湾"への武力進行を企てたり、不満のはけ口を
日本に求めてくるかも…。
ダイナマイトの導火線は既に点火されている。大爆発への秒読みが始まってい
るのです。

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