アルゼンチンは、牛肉は主食に近く、朝からステーキを食べるお国柄。ところが、
この五年で、牛肉の小売価格が二倍に高騰した。毎月5%とか10%、少しずつ
値上がりしていたが、気づいたら"倍"になっていた。
といっても、1キロ500円くらい。日本と比べたら価格は16分の1くらい。安い!
でも、家族四人、一日に1キロ半はペロリと平らげるお国柄。日本で、主食の
お米の価格が倍になったようなものです。
アルゼンチンは、鳥肉が一番高く、次が牛肉、豚肉が一番安い。しかし、吉野家
の"豚どん"のように、代替肉では我慢できない。牛肉でなければ満足できない国
なのです。
アルゼンチンの牛肉、BSEの心配もなく美味しい。長年、ヨーロッパに輸出して
きたが、政府は国民の不満を和らげるため、二ヶ月間輸出禁止にした。
ところで、日本で米国産牛の輸入が再開されたら、食べるという人、アンケート
回答者の三割しかいませんでした。何となく不安で、安心できないのです。
6/13 NHKラジオ
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 128】
~食と健康~
「食の不安」
お金に余裕があれば、将来の食糧難の時代に備えて、自給自足のための畑を
一枚買っておくのがいい。深刻な食料難の時代が、間じかに迫っているのです。
以下、6/2 読売新聞社説。
国連の調査によると、今年の世界の穀物生産量は、昨年を1900万トン下回り、
2年連続で"生産が需要を下回る"見通しだという。 この数年の間に、ロシアやイラクなど、世界の約四十ケ国が、深刻な 加えて、温暖化と乱獲で漁業不振が続く。特にマグロは危機的だ。 |
世界の食料生産、需要と供給のバランスが崩れるにつれ、今後、国家間の政治
の駆け引きの道具にされるだろう。その鍵を握るのは中国。国が豊かになるに
つれ、15億の民の胃袋を満たす食料を世界に求める。世界一の穀物輸入国に
なろうとしている…。
中国の消費増大が、石油価格高騰の原因になったように、穀物市場も、供給不
足が市場価格を引き上げ、私たち庶民の台所を苦しめることになるだろう。
食のグローバル化が進む。食品スーパーの売り場には、世界中から輸入された
肉や魚、野菜・果物など、所狭しと並ぶ。経済成長が急速に進む中国やロシア、
インドなど、地球は今や巨大な胃袋と貸しつつある。
そんな中で、食料の六割を輸入に頼る日本の将来は、極めて不安定な存在にあ
る。
子どもの頃、毎年春の訪れと共に、旬の鰯が食卓にのった。朝、浜に上った
ピチピチの、砂にまみれた地の"鰯"を、湯にして食べた。新鮮で、脂がのって
いて、腹に子がいっぱい詰まった、安くてうまい庶民のお魚だった。
その鰯も、今は高級魚。今年はまだ一度も食卓にのっていない。
高齢化が進む農家。耕作者不足で農地が荒れていく。これもこまった問題です。
その一方で、いつの間にか飽食に慣れ、食べ物を粗末に食い散らかす私たち。
子どもの頃に躾けられた「もったいない精神」は、どこへいってしまったのだろ
う…。
「お百姓さんが汗して育てたお米、一粒でも粗末にしたらバチが当たる」
「私たちの命を守ってくれるお魚。残さずに感謝していただかないと、お魚さ
んがかわいそう」など、つい最近まで、質素を美徳とし、贅沢を戒めてきた。
しかし、昔のような暮らしに戻ることなど、とても出来そうにない。