1月30日、お昼を食べながらTVを見ていたら、欠陥木造住宅に住む夫婦の話
が…。あまりにもひどい施工。問題の箇所が次々と大写しになる…。
以前、住宅会社に勤めていた時に、体験したことです。
屋根も葺き、内部造作も進み、内装工事に入った矢先、施主からクレームが出た。
「即刻、やり直せ!」と言う。現場は「問題にするほど、工事に欠陥がある訳ではな
い」と、甘く見た。
45坪の邸宅。二階までしっかり組み上がっていて、「はいそれでは…」というわけ
にはいかない。現場サイドで事を穏便に治めようとして、こじらせてしまった。
責任者の私の耳に入った時は、大事になっていて、「全部壊して最初から建て直
せ!」と、施主は大の剣幕。どうにもならなくなり、本社の専務に相談した…。
帰ってきた返事は「施主の言う通り全部壊してやり直しなさい。損得より信用だ!」
施工費は値切られ、遅延損害金も払わされた。その一件で、その年の営業所の
利益は飛んでしまった。今も忘れられない、富山での出来事です。
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 111】
~幸せな人生を歩むために~
「企業理念と信用」
1月末、松下電器から葉書が届いた。表に「松下電器より心からのお願いです」
とある。20~14年も前の、不良FF暖房機の回収に懸命になっている。
昨年から、TVコマーシャルやホームページに告知しているが、それだけでは
不十分と、全国すべての所帯に宛て、DMを発送した。
回収に要した費用は、昨年だけで230億円だという。人命を守り、失いかけた
信用を取り戻すためとはいえ、これほど膨大なリスクを決意した、松下電器の
経営姿勢には、頭が下がる。
それと相反することをしたのが、大手ビジネスホテルチェーンの"東横イン"。
私の京都の常宿である。価格が安く、サービスも悪くない。朝食無料が魅力で
、よく利用する。
許せないのは、検査終了後、改装する段取りに、あらかじめなっていたこと…。
計画的に、検査機関の目を"ごまかす"行為が、会社ぐるみで行われていた。
姉歯やヒューザーと同罪じゃないですか!
このニュースは当初、ライブドア事件の陰に隠れて、あまり目立たなかった。
釈明のための社長の記者会見がまずかった。俄然、マスコミが騒ぎだした。
この企業、身障者にはまったく無理解。「お客様のために…」と言いながら、
収益性を最優先する社風。
「使われないスペースは無くせ…」と、社長の指示。経営者の資質・社会的道義
が問われる。モラルの低さにはあきれる。どんな経営理念の会社なんだろう?
この事件が起きる前の東横インのイメージは良かった。支配人など、管理職の
ほとんどは女性。女性を積極登用して、急成長したホテルとして知られている。
女性支配人の募集は経験不問。最初から素人を採用した。
素人には、「ホテルとはこう…」といった固定観念がない。自由な発想が、朝食
無料サービスや、アダルトビデオ放映廃止となって表れた。優しく、人当たりが
よく、きれい好きな女性の特性が生かされ、男性では気付かない細部にも目が
ゆき届く。日本旅館の"女将"が、登用のヒントになっている。
2000年6月、雪印食中毒事件に端を発し、その後何度となく繰り返される
企業モラル喪失事件。消費者の信用を失墜し、会社存亡の危機に陥り、
経営陣が平身低頭するのを、何度見てきたこだろう…。
ところが、自分の会社のこととなると、モノごとの本質が全く見えていない。
私たちの世代は、政冶・経済・教育、全ての分野でリーダー的位置付けを担って
いる。戦後教育を受けた最初の世代です。その世代が日本を動かしているのです。
豊かさを求め、ひたすら会社の為と働いてきた。物欲・金銭欲が強く、利己的
で自分本位。社会性・道徳性に欠け、公徳心が薄い…そんなことが気になる。
問題が自分に及びそうになると、自己保身に走り、責任を取ろうとしない…。
いさぎよさがない…。男の器、総体的に戦前教育を受けた親の世代に比べ、
小さくなったような気がする…。