■人生を丁寧に生きる
した方が良いこと、しなければならないこと、
しない方が良いこと、してはならないこと、
この違いを学びに、この世に生まれて来た。
人生の後半に来たら、人生の前半で積んだ様々な欲や、
他人への罪や、悲しみのもとの荷を、降ろす作業に入るほうがいい…。
借り物の服はちゃんと洗い、シミはできる限り落とし、破れは小さくして、神に返したい。
してはならないことをすると、人の魂は傷つき、人の人生を狂わせる。
人の人生を狂わせると、必ず自分の人生も狂ってくる。
自分勝手な生き方は、信を失う。
人生は一度だけ。丁寧に生きなければならない。
致知2月号 北川八郎「三農七陶」より
【心と体の健康情報 - 230】
~子育て心理学~
「ユー キャン ドゥ イット」
昨年暮れ、みごと復活優勝を果たした高橋尚子さん。「君ならできる」という、
小出監督の言葉をポケットに入れて走ったという。
「君ならできる」
というこの言葉。誰にも可能性があり、その可能性を伸ばす
ために、師弟は厳しいトレーニングを積み重ねてきたという。
「君ならできる…」。実にいい言葉です。我が子に接するとき、部下を育成する
とき、そういう思いを強く持って、事に当りたいものです。
竹中平蔵総務大臣。内閣の経済政策の中核を担い、景気回復政策の中心的役割
を果たした。昨年NHKで、氏の生い立ちを語る番組があり、感銘を受けた。
「自分は和歌山市の小さな下駄屋の息子に生まれた。 |
私(吉村)の母もそうでした。家族9人の三度の食事を、朝早く起きて作り、
父の商いを手伝い、夜遅くまで身を粉にして働いた。
食事中に、店にお客が入ってくると、箸を置いて店に出るのは、いつも母…。
祖母の世話をし、家のため、夫のため、子供のため、働きずめの人生…。
そうやって、戦後の食料難の時代、兄や姉、私や弟、そして妹の6人兄弟を育
てたのです。毎日三度の食事をキチッと作って食べさせた。母は、ただの一度
も手を抜くことはしなかった。
家庭での、こんな当たり前に思うことが、今は崩れてしまっている。都会の
小学校では、朝食を抜いてくる子供が3/1はいる。ひどい所では、半分くら
いいるという。大抵の場合は、お母さんが働きに出るため、パンと牛乳が
テーブルに置かれる。子供はそんな物を食べず、途中で友達と買い食いするの
だという。
家族揃っての食事と会話が、家族文化を育てていく。お母さんの心のこもった
手作り料理が、親子の会話と、愛のある家庭を育む。
調理済みの、出来あいの料理を食卓に並べる家庭の子どもは、大人になって、
同じことをするようになる…。
そんな家庭に、親子のふれ合いが育まれるとは思わない。手間ひまかけた
「おふくろの味」が、家族文化を育てるのです。
話を戻して、竹中さんが悪さをして、叱られそうになったとき、母親は、
「あなたはそんなことをする子じゃないわ。何かの拍子でそうしたんでしょう。
私は信じている…」
そういう言い方をした。そう言われると、竹中少年は、二度と悪いことが出来
なかったと言う。「何て子なの! 何でそんなことするの!」と、叱られるより、
ずっと身にしみるのです。
この竹中さんが一橋大学を出て、ハーバード大学に留学した時のこと…。
ボストンで、初めてマラソンを見た。沿道で、みんなが「ユー キャン ドゥ
イット」「あなたは ちゃんと できる」と、声をかけている。
そこで初めて、子供の頃、母親に言われたことに気づいた。
「あなたなら正しいことができる…、あなたは間違ったことをしたりしないわ…」
小出監督の「君ならできる」も、「ユー キャン ドゥ イット」。
竹中さんのお母さんは、「この子はいい子なんだから、きっといいことをする
ようになるだろう…あなたなら出来る」と、いつも信じていてくれたのです…。