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2005年09月 アーカイブ

2005年09月02日

首相公選の時が来た

叱られるかもしれないが、今回の解散総選挙ほど面白い選挙はない。
ここへ来て、政治の世界に新たな変革の兆しが出はじめたようです。

1980年、大平正芳の時の「ハプニング解散」は、自民党内の対立から。
社会党が出した内閣不信任案に、反主流派の福田、三木氏など69人が欠席。
可決解散。この一つ前の選挙の「消費税導入」で、自民党が大敗したことが発端。

90年代、宮沢喜一の「政治改革解散」がある。この時「小選挙区制導入」をめぐり、
中選挙区制維持を訴える党内勢力が強く、羽田、小沢氏ら39人が内閣不信任案
賛成に回り、解散。自民党は分裂。羽田氏を中心に44人が「新政党」を結成、
武村氏ら10人は「新党さきがけ」を旗揚げした。今とよく似た情勢です。

吉村外喜雄のなんだかんだ  - 92】 
「首相公選の時が来た」

今回の解散選挙、それぞれ、思うところがあると思います。日頃私が思ってい
ることに近いことを書いている新聞記事があるので、読んでみてください。

■8/23読売新聞 田中明彦「論壇思潮/首相公選の時が来た」より

小泉一郎が総理大臣になっていなければ、今回の衆議院選挙はなかっただろう。

小選挙区制度が定着した今回の選挙。ほとんどの選挙区は、自民と民主の一騎
打ち。勝った方の政党から首相が出る。小泉さんを信任するか、岡田さんに政権
を委ねるかが争点となる。

ということは、今回の選挙は、"日本で初めて、国民の一票で重要法案の信任
決定という、滅多にない"首相公選選挙"の機会を、有権者に与えたことになる。
とすれば、政権を担っている小泉首相にしてみれば、すべての選挙区で、自分の
代理として選挙を戦ってくれる候補者が必要になるのは、当然だろう。

郵政民営化こそが自分への信任・不信任を分けると言っている小泉首相にとって
、法案に反対し、党議決定に背いた候補を、自分の代理とするわけにはいかない。
故に、郵政民営化に反対した候補者の選挙区に、賛成候補が立つのを、「刺客」
と騒ぐのは見当違い…。

小選挙区制は、政権を担う二大政党がねらい。政党間の一対一の戦いとなる。
当然、国民の選択は「マニュファスト」。政党が掲げる政策を見て、一票を投じよ
うとする。
党本部が選挙に勝つために、強力な落下傘候補を敵陣に送り込む、今回の新し
い手法、興味津々である。自民党から30数名の離反者が出たことで、新人にも
チャンスが訪れた。自民党が立候補者を全国に公募したところ、八百名もの自
薦・他薦があったという。

■8/24中日新聞 斉藤学「本音のコラム/国民の判断」より

小泉首相が任期中に果たした公約は、皮肉にも、何事も派閥主導で党内をまと
めてきた旧来型の自民党を、ぶっ潰したことにある。

委員会採決し、政府決定した重要法案に、あくまでも反対する党員が多数出る
騒ぎになったのは、小選挙区制によって、派閥の力が弱まり、タガが外れて、締
め付けがきかなくなったことによる。

村山内閣成立以来、歴代の首相指名の手続きは、国民不在の派閥総領の話し
合いの中で為されてきた。首相候補の中で最も人気がない小渕さんが首相に
なつた頃は、絶望が支配した。彼の急死後、派閥のボス数名が密室で談合し、
仲間の一人、森さんを首相に担ぎ出した。その瞬間、自民党は国民から見放さ
れた。彼らはやり過ぎたのだ。

この瀕死の中、最大派閥の信任を受けず、国民の人気をバックに、小泉首相が
誕生した。そして、郵政民営化騒動。派閥間の融和を何より優先してきた自民
党にあって、党首のリーダーシップが、今ほど全面に押し出されたことはない。
ヒトラーごとき独裁者と反発し、反旗をひるがえす族議員が出るのは必然のこ
と。
一方、政権を取るためと、郵政問題には目を反らし、選挙向けの都合の良い政
策を並べて、国民におもねり、与党の内紛・失点に乗じようとする、何でも反対
の民主党。万年野党に甘んじた、一昔前の社会党と何ら変わらない。

小さな政府と構造改革を推し進めるには、郵政民営化もまた避けて通れない問
題…。世の中が大きく変化していく中、これからの日本を正しい方向に導く政党
・政治家は誰か?しっかりとした目で一票を投じ、首相を選ばなければならない。

2005年09月06日

あなたにとって、生きるとは…

ふと、二年前に聴いた大島修治氏の講演を思い出した。全身に灯油をかぶり、
火だるまになった。死線をさまよったが、九死に一生を得て、新しい人生を手に
したお話し。心に残った言葉は、
「今、自分は生きている。つい今しがた生きていた自分は既に過去のものとなり、
二度とよみがえることはない。そして今、未来に向かって新たな命を刻んでいく」

その大島氏。忌まわしい事故によって、身体が不自由な身になった。その代わり、
「生きるとは何か…」を悟り、素晴らしい「人生観・生きることの幸せ」を手に入れ
たという。大島氏には、毎月一回、京都の勉強会でお目にかかっている。

【心と体の健康情報 - 210】
~幸せな人生を歩むために~
「あなたにとって、生きるとは…」

8月28日、テレビ金沢「24時間テレビ28・愛は地球を救う」で、丸山弁護士
が100キロマラソンに挑戦し、みごと完走した。やれば出来るものですね。
つい感動して、目頭が熱くなった。
来年私も、大阪の千房が主催する"50キロ歩"に、挑戦してみようかな…。

この番組のテーマは「生きる」。稲垣吾朗がダーツの旅で、「あなたにとって
生きるとは…、何ですか?」
…。会う人ごとにマイクを向けた。
突然のことで、どう答えていいか戸惑う人が多かった。一番多かった答えは
「生かされている」だった。

人間に生まれてきたことを、当たり前に思っていないだろうか。
苦しい時には、生まれてきたことを恨んだり、後悔したりしていないだろうか。
以下、一万年堂出版 木村耕一著「こころの朝」からの抜粋です。

ある時釈迦が、阿難という弟子に、『そなたは人間に生まれたことを、どのように思っているか』 と尋ねた。
「大変喜んでおります」と阿難が答えると、釈迦は、次のような話をした。"盲亀浮木(もうきふぼく) のたとえ"と言われ、今に伝えられているお話です。

果てしなく広がる海の底に"目の見えない亀"がいた。その盲目の亀は、百年に一度、 海面に顔を出すという。
広い海には、一本の丸太ん棒が浮いている。丸太ん棒には、小さな穴が開いている。丸太ん棒は、 風のままに西へ東へ、南へ北へと漂っている。

釈迦『阿難よ、百年にたった一度水面に顔を出すこの亀が、浮かび
    上がった拍子に、丸太ん棒の穴に、ひょいと頭を入れることが
    あると思うか?』
阿難は驚いて、「お釈迦さま、そんなことはとても考えられません」
釈迦『絶対ないと言いきれるか?』
阿難「何億年、何兆年に一度くらいは、ひょっとしたら頭を入れること
    があるかもしれませんが、ほとんど不可能に近いことです」
釈迦『ところが阿難よ、私たちが人間に生まれてくることは、この亀
    が丸太ん棒の穴に首をいれることより、もっと難しいことなんだ。
    本当に有り難いことなんだよ』

このように釈迦は教えている。「有り難い」とは「有ることが難しい」
ということで、めったにないことをいう言葉なのです。

10億個の精子が我先にと、卵子に向って泳いでいく。一番先に卵子にたどり
着いた精子のみが受精に成功する。そうやって十億倍の競争に打ち克ち、
一人の人間となって、この世に生まれてくるのです。

もっと言えば、人間ではなく、猫やネズミに生まれる場合もある。限りない生
命の中から、人間に生まれてきたことを、何より喜ばなければならない。
そのことを知ったら、もっと命を大切にするだろう。自殺したり、人を傷つけた
りすることもなくなるだろう。
私にとって「生きる」とは…、
「両親から頂いたこの命、次世代へ命を育み、一度しかない人生、人様の
お役に立ち、生かされているこの命をまっとうすることです」

2005年09月09日

いよいよ人口減少時代へ!

金沢の中心部、ドーナツ化現象で、三つあった小学校が一つに統合された。人口
の減少と歳入の減少に対応して、小・中学校が統廃合され、市町村が合併してい
く。学校が無くなって困るのは子ども達。そんな子供たちより、郵便局が大事?
利用者が減っても、赤字になっても、残していくという。何んで郵便局だけ?
合点がいかない。
少子化の影響で、人口数万人の町から産婦人科や学校が消えていく。隣の町へ
行かなければ産めないし、学べない。公共性では病院も、学校も、郵便局も同じ。
郵便局を守れと、あれだけ論じた国会議員。何で町から消えていく病院や学校に、
目を向けようとしないのだろう?

大規模小売店の規制緩和で、大資本に顧客が奪われ、私たちの町の商店街は寂び れ、活気が失われていく。その数、郵便局の数百倍。政治から見捨てられ、切り捨て られ、何の保護も受けられず、廃業に追い込まれていく…。
でも、郵便局は保護される。公共施設だから? なら何で"世相"が認められるの? 

「不公平・不平等だ!」。商店街に育った私には納得できない…。

【吉村外喜雄のなんだかんだ - 93】
~幸せな人生を歩むために~
「いよいよ人口減少時代へ!」

今回の選挙で小泉政権が掲げる郵政民営化。公務員を減らし、「小さな政府」
を目指すという。日本の将来を見据えたとき、今、急がなければならない政策
の一つでしょう。
急速に少子高齢化が進む日本。十日ほど前、予測より2年早く、今年から人口
減少期に入ると報道された。
日本の人口は約1億2千8百万人。今年、出生が死亡を下回りそう。いよいよ
人口減少時代に入る。2050年には1億人を割る見通し。現行制度のままで
は、あらゆる仕組み・制度が立ち行かなくなる。

人口の減少は、生活環境の活力をどんどん奪っていく。
香林坊に約50年住んでいた私。日本の人口の減少と、香林坊の繁栄・衰退が
重なって見える。
私の子どもの頃、香林坊(石浦町)には140世帯の住人がいて、商店街は活気
に溢れ、どの店も繁盛していた。子ども会はにぎやかで、春と秋の太鼓行列、
百万石祭りの提灯行列などに、私もハッピを着て参加したものです。

ところが、商店街の再開発が進み、大資本が参入してきて、住民は住む場所を
失い、郊外に引っ越していった。人の住まない町になっていった。私が入江に引
っ越す1989年には、町内で生活する人は、私の家族を入れて、わずか3世帯
になっていた。

香林坊周辺の住宅地も同様、空き家は取り壊され、月決めの駐車場へ。空地だ
らけの寂しい町になっていった。若い人は郊外へ移住し、残ったのは年寄りば
かり。路地裏で遊ぶ子どもの姿も見られず、活気が失われていった。若い人た
ちが寄り付かない、老人しか住まない町になった。

そんな香林坊に三十年も前から、人口減と老齢化の中で暮らしてきた。日曜と
いうのに、片町商店街はまばら。10館あった映画館も今はない。空洞化した
中心商店街の寂びれようは、目を覆うばかりです。

以下、8/28中日新聞 「時代を読む/人口減少社会の都市対策」から

人口増加時代に造成されたニュータウン。人口が減ると、高層アパ
ートの半分は、空き家になる。目に入るのは老人だけで、人影もま
ばら。社会を維持するのに最小限必要な、治安を守る警察、消防団
員、病院の医師・看護婦などが不足するようになる。

全国の有名なお祭りも、今後若い人手が不足して、縮小せざるを得なくなると
いう。人口の減少は目には見えないところで、徐々に真綿で締め付けるように、
私たちの生活を圧迫していく。

2005年09月13日

あなたは性善説、それとも性悪説?

選挙結果が出た。小泉さんの功績は、派閥主導の自民党をぶっ潰したこと。
もう一つは、小泉さんと袂を分かち、自民党を離れていった人たちの後がまに、
女性を多数登用したこと。人気取りと非難の声もあったが、能力のある女性に、
国会議員への道を拓いた功績は大きいと思う。

国連が9月7日、女性の社会進出に関する、興味深い数字を発表した。
「ジェンダー・エンパワーメント指数」である。国会議員や企業の管理職などの
女性の割合がどの程度か、男女の所得格差は? 指数として割り出し、世界
ランキングが発表された。

調査対象80ケ国中、日本は43位。42位はタンザニア。もちろん先進国の中
では最下位。お隣の韓国や中国では、日本の倍近くの女性が、国会議員や、
企業の管理職として活躍している。経済大国と言われながら、女性の社会進出
の機会を狭めている日本の社会風土…。21世紀は女性の世紀と言われる。
意識改革をしなければならないのは、男性のようです。

【心と体の健康情報 - 211】
~幸せな人生を歩むために~
「あなたは性善説、それとも性悪説?」

人間の本性、それは「善である」という人と、人が見ていなければ、或いは法律
がなければ、本能のままに行動したら、人間の本性は「悪」であるという人。
さて、山本さんはどちらでしょうか?

「性善説」 を唱えた孟子
「人の本性は善であり、不善をするのは物欲がなせるわざ」
という説です。
数年前、プラットホームから転落した男性を救おうとして線路上に飛び降り、
電車にはねられ死亡した韓国青年のニュースが、ふとよみがえった。

「川で溺れかかっている子どもがいる。目撃した人は、とっさに子どもを助け
ようとするだろう」。性善説を唱えた孟子は、このようなたとえ話を用い、こう
した人の心を「惻隠(そくいん)の情」と呼んで、 道徳心を説く根源とした。

ほめられたいから善いことをするのではなく、他人の不幸を見過ごしには
できない"本性"が、人間には誰にでもあると、孟子は説いているのです。

■一方の 「性悪説」は、中国戦国時代の末期、荀子(じゅんし)が唱えた。
「人の本性は悪で、先天的に利欲の心が強く、善に見えるのは偽りで、
天性に従って行動すれば、争いが絶えない」
という説です。
戦争で敵国へ攻め込んだ時、略奪、強姦など、本能の赴くまま…。
倫理・道徳、刑罰などでもって厳しく縛らなければ、人は何をするか分からない。

"子どもの躾"を例に取ると、子供は生まれながらに「よい子」という見方と、
子供はしつけないと「悪いことをする」という見方に分れます。
「よい子」とする親は放任主義となるし、「悪い子」と思う親は、やかましく躾よ
うとする。
「子育て性善説」 は、戦後アメリカから入ってきた。
「子供は沢山の可能性を秘めている。その子の持っている能力を引き出し、
伸ばしてやるのが教育である。だから、あまり手をかけないほうがいい」

この考え方が戦後の日本の教育界を風びしたのです。本来の日本における
教育は、字が示すように、「厳しさが伴う、教え育てる」である。
戦後新しく入ってきた教育の基本は、「自由に伸び伸び個性尊重」

私たち人間は、善いものを多く持っているが、悪いものも沢山持っている。
伸び伸びと自由に育てるのはいいことですが、放置しておくと悪い芽も伸びて
きて、手がつけられなくなる。教育によって、悪い芽は早めに摘み取ってしま
わなければなりません。

戦後の民主主義、社会が守らなければならないモラルや、しつけを甘くしてし
まい、自由を履き違えた行為が当たり前のように行われ、誰も止めようとしな
い社会になってしまった。見て見ぬ振りをする社会になってしまったのです。

■もう一つ、古代ギリシャの哲学者ソクラテスの説がある。
「子供は生まれながらに善い子でも、悪い子でもなく、善い子になりたい
  と願望している」
という説です。

「善い子と言われたい」「誉められたい」「何でもできる子になりたい」と、どの子
も強く願望している。親もまた「我が子を善い子に育てたい」という願望を持っ
ている。
その両方の願望が一つになったとき、健全な教育が可能になるのです。
子供たちが持っている「なりたい願望」を、上手に伸ばしてやり、生かしていく
教育が、大事になってくる。さて、皆さんは、どの説が正しいと思いますか?

2005年09月16日

落語・こんにゃく問答

■ことば遊び「無理問答」
「○○とはこれいかに。△△と言うがごとし」といった題で、
笑点の「大喜利」のネタにもよく使われます。

「一羽でも ニワトリとはこれいかに」
「一羽でも 千鳥というがごとし」 といった言葉遊びです。

「赤い花でも 葵(青い)とはこれいかに」
「見るものでも 菊(聞く)というがごとし」

「朝届いても 郵便(夕便)とはこれいかに」
「走って配っても 配達(這い立つ)というがごとし」

「一度打っても 碁(五)とはこれいかに」
「一篇でも 詩(四)というがごとし」

「何個あっても 荷(二)とはこれいかに」
「一回でも お産(三)というがごとし」

吉村外喜雄のなんだかんだ
~ことば遊び~
「落語・こんにゃく問答」

会話の中に、ひょいと出で来るジョークは、笑いを誘い、雰囲気を和ませ、
人間関係を親密なものにしてくれる。
名の知れた大学教授の講演を聴く機会が多い。共通しているのは、講義にあり
がちな堅苦しさはなく、聞き手を笑いに引き込み、時間を忘れさせてくれるこ
とだ。学生に人気がある教授ほど、その傾向が強い…。

「感性論哲学」の創始者、芳村思風先生。講義中、聴講生が散漫になりかけたの
を壇上から見ていて、フッと話を中断し、しばし沈黙してしまう…。
聴いている私たち、何だろう?次に話すことを忘れたのでは?と、みな先生に
意識が集中する…。 と、突然、「なんちゅうか、かんちゅうか、ほんちゅうか、
な~んちゃって…」の、お得意のジョークが飛び出してくる。

会場はドッと笑いの渦に包まれ、それまでの眠気もふっ飛んでしまう。先生は
笑いでもって、受講生を引き付ける"ネタ"を、幾つか隠し持っているのです。
何度か講義を受けているうちに、それが分ってくる。
そら!出るぞ、出るぞ…! 要望に応えて、先生の口からジョークが飛び出し
てくる。そのたんびに、会場は爆笑。講義が、何とも楽しいものになっていく。

受けを狙ったジョークや笑いは、言おうとして出てくるようなものではない。
日頃からユーモアを楽しむ心がないと、身に付かないもののようです。

さて今日は、洒落話しといきましょう。言葉遊びに「無理問答」というのがある。
落語のネタによく使われています。中でも有名なのが「こんにゃく問答」。
その中で交わす、八っつァん、熊さんの珍問答が面白い…。

「……、野郎、しからば一不審(いつぶしん)、もてまいろうか」
『なにをいってやんでえ畜生、高慢なことを言うな、 なんでも持ってこいっ
てんだ!』
「われ鉄眼の竜となって、汝(なんじ)を取り巻くときは、これいかにとくらァ
…! どうだ、驚いたかこの土手カボチャ」
『土手カボチャァ!? 畜生め! 汝、鉄眼の竜となれば、炎となって汝を
溶かす、とくらァ…、どうだ、おたんこなす』

「汝、火となるときは、われ、水となってこれを消す!と、どうだ!」
『水になれば、土手になってこれをふせぐ』
「土手になれば、猪になってこれをくづす」

『猪なら狩人になって、汝を撃つ』  「汝、狩人になれば、われ庄屋となる」
『汝、庄屋となるときは、代官となる』 「汝、代官となれば、われ奉行となる」
『奉行となれば、老中となる』     「老中となれば、将軍となる」
『将軍となれば、天子となる』     「太陽となる」

『高いもんになりやがったなこん畜生! 
  汝、太陽となれば、日蝕となって世界を暗くする』 
「汝、日蝕となれば、百万がけのろうそくの灯りになって、世界を照らす」
『ろうそくになれば、風となって、その灯りを消す』
「風になれば、壁となって、これをふせぐ」

『ネズミとなって、食い破る』 「猫となって、汝をとる」
『汝猫となれば、われおさんどんとなって、これをブチ殺す』
「おさんどんになれば、権助となって、われ汝をくどく」
『べらんめェ、お前ぇなんかにくどかれてたまるか…嬶ぁが化けて出ら!』
「嬶ぁが出てきたか…。おおクワバラ、クワバラ、嬶ぁには勝てない…」

落語の「無用問答」はここまでにして、「ああ言えばこう言う」。こんな会話の
ヤリトリを"尻取り遊び"のように、瞬時に応酬し合って、勝ち負けを楽しむの
も、ユーモアや、営業のセンスを磨くのには役立つたかも…。

難しい研修カラキュラムだけでは疲れてしまう。15分ばかり、こんな課題で
場をなごますのも、いいかもしれませんね?

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2005年09月20日

心の花を咲かせよう

■詩人・坂村真民の代表作 「二度とない人生」
 
  二度とない人生だから 一輪の花にも 無限の愛を そそいでゆこう
  一羽の鳥の声にも 無心の耳を かたむけてゆこう
 
  二度とない人生だから 一匹のこおろぎでも ふみころさないように
  こころしてゆこう どんなにか よろこぶことだろう
 
  二度とない人生だから 一ペんでも多く便りをしよう
  返事は必ず 書くことにしよう
 
  二度とない人生だから まず一番身近な者たちに できるだけのことをしよう 
  貧しいけれど こころ豊かに接してゆこう
 
  二度とない人生だから つゆくさのつゆにも めぐりあいのふしぎを思い
  足をとどめて みつめてゆこう
 
  二度とない人生だから のぼる日 しずむ日 まるい月 かけてゆく月
  四季それぞれの 星々の光にふれて わが心を あらいきよめてゆこう
 
  二度とない人生だから 戦争のない世の実現に努力し
  そういう詩を 一篇でも多く作ってゆこう
  わたしが死んだら あとをついでくれる若い人たちのために
  この大願を 書きつづけてゆこう

・この詩を口ずさむと、心が清らかになり、人間が本来持っている美しい心や
優しさが、よみがえってくる。

【心と体の健康情報 - 212】
~幸せな人生を歩むために~
「心の花を咲かせよう」

夏休み、夜中の12時過ぎ、片町のネオンに彩られた繁華街に、高校生だろうか、
女の子たちがたむろしているのを見かけた。
どの子どもたちも、これからすくすくと成長していく若木である。どんな若木も、
大人たちがきちんと育てれば、立派な大樹になるだろう。

親や学校の先生が、地域社会の大人、社会が、慈しみ、丁寧に愛情を込めて
育てるならば、どの子もすくすく育ち、必ず美しい花を咲かせるだろう。もしも
枯れたり、素直に育たない子どもがいるとしたら、それは間違いなく大人たち
の責任である。

以下、致知7月号冒頭の言葉、京セラ稲盛和夫「心を整える」からの引用です。
二十世紀初頭にイギリスで活躍した、ジェームズ・アレンという思想家は、人生
を歩むについて、次のように述べている。

人間の心は""のようなものです。それは耕されることもあれば、 放置される
こともあります。何れにしろその庭からは、必ず何かが生えてきます。
「仕方なや 蒔いたタネなら はえるもの」

もしあなたが、自分の庭に美しい草花の種を蒔かなかったら、その庭にはやが
て、雑草のみが生い茂るようになります。
美しい花がいっぱい咲く庭にしたいと思うなら、庭を耕し、雑草を取り除き、
美しい草花の種を蒔き、それを育くんでいかなければなりません。
「悪いタネ 伸びて刈らねば 身の破滅」

素晴らしい人生を生きたいと思うなら、自分の"心の庭"を掘り起こし、そこか
ら不純な誤った思いの雑草を一掃し、そのあとに清らかな正しい思いの草花を
植えつけ、それを育んでいかなければなりません。

素晴らしい人生を送りたいと思うなら、あたかも庭を耕すように、心の中に
もたげる「悪しき思い」という雑草を取り除き、「善き思い」という種を蒔き、
それを大切に育み育てることだと、アレンは述べている。

このようにして、ともすれば心の中に広がろうとする、「欲にまみれた心」
「憎しみにまみれた心」「怒りに満ちた心」などを取り除き、「慈悲の心」
「愛の心」といった、美しい"花"を咲かせるようにするのです。
「慈悲蒔けば 美しき心 花と咲く」

仕事も人生もすべて、その人の心がそのまま表れてくる。ただひたむきに善き
方向に心を向けて、努力を重ねていくならば、必ず素晴らしい未来へと、導か
れていくでしょう。
「心こそ 心迷わす 心なれ 心に心 心ゆるすな」

2005年09月27日

論語・由らしむべし、しらせしむべからず

■孟子の言葉
   天が重大な任務をある人に与えようとするとき
   必ず まずその人の精神を苦しめ  その筋骨を疲れさせ
   その肉体を餓え 苦しませ その行動を失敗ばかりさせて
   そのしようとする意図と  食い違うようにさせるものだ

  これは  天がその人の心を発慎させ  性格を辛抱強くさせ
   こうして  今までにできなかったことも 
   できるようにするための  貴い試練である

※壁にぶつかった時、何をやってもうまくいかないときなどに、
  孟子のこの言葉を繰り返し黙読すると、不思議とヤル気が湧いてくる…。

【心と体の健康情報 - 213】
~古典から学ぶ~
「論語/由らしむべし、知らしむべからず」

以下、「論語の友・9月号/今月のことば」からの抜粋です。
「子曰く、 民は之に由らしむべし。之を知らしむべからず」(秦伯第八)

上記の孔子のことば、ちょっと論語をかじった程度の私のレベルだと、
「人民は只ついて来させるべきで、政治の内容まで知らしめるべきではない」
と読んでしまう。
「孔子様はけしからん。いくら封建時代とはいえ、権力者に迎合し、専制政治を
擁護していてる…」という風に解釈し、非難しそうになる…。

漢文は色々な読み方ができて、それだけに誤解も生じやすい…。
「論語読みの論語知らず」と言われるゆえんである。
人間学の権威、安岡正篤先生は、「苦労人の孔子が、そんなことを言う筈がな
い」と一蹴している。解釈の誤りである。

読み方を変えれば、
「人民というものは、どんなに懇切丁寧に解説しても、政治の本意を
知らしめることは、まことに至難である。だからせめて、人民から信頼
されて、なんだか分らないが、あの人に従っていけば、良くなりそうだ」

というふうに、解釈したらどうか…。

さて、今回の郵政解散は自民党の圧勝に終わった。刺客を送り込んだことで、
自民に内部抗争が起き、民主が漁夫の利を得、いよいよ政権交代か? と、
一瞬思った。
郵政を民営化するのは「いいのか?」「悪いのか?」、 国民には、さっぱり分
らない。賛成を唱える人の話しを聞けば、そのように思えてくるし、反対の意
見を聞けば、「そうかなぁ」と思ってしまう。国民にその真意を知らしめること
が、いかに至難なことであるか…、今回いやほど納得させられたのです。

果たして自民党が民主党に敗れ、政権が崩壊して野に下るか、郵政民営化
に賛成して、引き続き小泉政権を支持するか? 文字通り二者択一の、一大
決戦の場を、首相自らが演出し、国民に下駄を預けたのである。
国会では、法案が否決されているだけに、まさに、国民に信を問う、捨て身作
戦である。ここまでくると、国民も真剣に考えざるを得ない…。

結果は自民党の圧勝。国民は「小泉さんが、政治生命を懸けて、郵政民営化
に取り組んでいる。何だか分らないが、小泉さんに従っていけば、良くなりそ
」と、小泉首相の勇断に、国民の多くが好感を持った結果の数字であろう。

今のところ、「民を由らしめ、民により明快に知らしめた」、ということでしょうか

2005年09月30日

アメリカン・エアラインの戦略

9月15日のNHKTVニュース、デルタ航空と、ノースウエスト航空が破産し
たと報じていた。石油の高騰が業績悪化の原因という。

日本の25倍の広い国土を持つアメリカ。移動には航空機が欠かせない。
1970年代当時、アメリカには、約140社の航空会社が群雄割拠していた。
そのわずか十年後の八十年代半ばには、M&Aなどによって、大手4社と、
ハワイアン航空、アラスカ航空など、一部ローカル航空を残すのみとなった。

70年代、太平洋路線で日本におなじみの、パンナムも消えてしまった。
情報化社会の到来をいち早く察知し、顧客の囲い込みをした会社が生き残った
のです。ところが、勝ち残ったはずの大手4社、ユナイテッド航空は2002年
12月に既に破産。
現在、米国航空大手は七社。そのうち4社が破産法の下で運行するという異例の
事態に陥っている。資本主義の本場アメリカの、厳しい一面を垣間見た気がする。


【吉村外喜雄のなんだかんだ - 95】
~歴史から学ぶ~
「アメリカン・エアラインの戦略」

十数年前、情報化社会の到来に備えて、通産省の課長や、竹村健一の講演
を聴きに、東京へ何度か足を運んだことがある。
関心があったのは、インターネットの普及で、社会がどう変化していくか?  
光ファイバー普及後の未来像、インターネットビジネスの最新情報を入手する
ことでした。

当時、フランスでは、日本より一足先に、国の主導による"ミルテル"という名
の端末器が家庭に配布され、ネットによる福祉、情報提供、物販情報などを
流し始めていた。
フランスの家庭から電話帳が消えた話を聞いて、胸がときめいたものです。
当時の日本には、まだ具体的動きがなく、光ファイバー社会の到来を予測する
段階だった。以下は、そんな時に入手した情報です。

1970年代の後半、米国某航空機会社に勤務していたS氏。自ら考案した
企画書を会社に提案したが、受け入れられなかった。
当時まだ珍しかったコンピューター端末器を、旅行代理店や空港の顧客カウン
ターに設置し、情報の提供と顧客の囲い込みを武器に、 他社より優位に立と
うというものです。

成功するかどうか分らない新事業に、社運をかけて50億ドルも投資する余裕
は会社にない。S氏は会社を辞め、提案書を持って航空各社を訪れたが、
受け入れる企業は無かった。
当時中堅のローカル航空会社だった、アメリカン・エアラインを訪れたS氏。
この戦略が成功すれば、全米一の航空会社になれると、熱っぽく説き、開発費
は年5億ドル程度の、分割投資で済むと促した。

■アメリカン航空は、端末器の設置を開始した。全米、網の目のように複雑な
航空路線。東海岸から中部、西部の都市を商用で移動するビジネスマン。少し
でも早く目的地へ行きたい人。ローカル経由で時間がかかっても、安いことが
条件の客。旅行代理店や、空港窓口では、そうした顧客の要望に応えるべく、
それ相応の時間と人手を掛けていた。

顧客自ら端末器を操作し、希望する情報を引き出す。旅行代理店、顧客の双
方から、その利便性が認められた。周到な準備の後にスタートした、アメリカ
ン航空の囲い込み戦略。業績がみるみる向上していった。

他メーカーも慌てて追従した。が、人材を育成し、ソフトを開発し、端末を設置
するまで、どんなに急いでも3年はかかる。その間に先行したA・Aは、全米主
要空港のカウンター、旅行代理店などに端末機を設置し、全米の航空路線を
瞬時に閲覧できるシステムを武器に、全米に情報ネットワーク網を広げていった。

■A・Aは、次の戦術に取り掛かった。同業の航空メーカーに、「どうぞ我が社
のネットワークをお使い下さい。一回線わずか1ドル。ネットワーク設置協力
費も不要です」と、呼びかけた…。
今から多額の投資をして、端末を開発しても、主な取引先は、既に端末器が
設置され、囲い込まれてしまっている。仕方なく、A・Aのネットに参画…。

■次に採ったA・Aの戦術、航空会社をアルファベット順の閲覧方式にした。
アメリカン航空は"A・A"。画面を覗くと、最初にA・Aの路線と価格が表示さ
れる。ノースウエストは"NWA"、ユナイテッドは"UAL"。 順位はずっと下。
A・Aは、顧客獲得に有利な位置を確保した。

■A・Aは、更に有利な戦術を端末に組みこんだ。自社の航空路線価格を、
すべて他社より1ドル安になるように仕組んだことです。 開発協力費を払わず
に参画している他社、文句の言いようがなかった。

■次に採ったA・Aの戦術。他社がA・Aの端末に組み込まれたことで、他社の
価格設定内容、利用状況、経営内容など、敵の弱点を掌握できたことです。
■A・Aは、顧客増と、回線使用料収入で得た豊富な資金で、A・Aが目指す
最大の目的、全米一の航空会社になるべく、入手した他社データーを根拠に、
M&Aによる路線拡大を推し進めていった。

こうした戦術、将棋の布石のように、打つ手によって、対抗する他社がどう動
くか、その次にどんな手を打てばいいか、計画段階で既に読み込み済みだっ
たのです。
アメリカン航空が、戦略において他社に先んじて、全米一の航空機会社にな
れたのは、こうした緻密で巧妙な、S氏の戦略があったのです。

デルタ航空は、A・Aのネットワークに加わることを由とせず、デパートや
ステーション、スーパーマーケットなどに端末器を設置し、独自の囲い込み
戦略で、生き残りを図った。

■その後、世界的規模での、路線の囲い込み戦争が始まった。日本の航空
会社は、A・Aに対抗して、東南アジアの国々を一つにまとめよう工作したが、
失敗に終わり、現在アメリカ大手のネットワーク系列に入っているという。

■更にA・Aは、世界に巡らせた航空ネットワーク網の強みを生かして、新た
なる戦術を開始した。ホテル、レンタカー、お買い物、クレジットカード・保険な
ど、顧客が求めるサービス、全てにネットワーク網を構築し、自社系列に組み
入れ、ドア・ツー・ドアの、旅行中のすべてのサービスを、申し込み窓口、或い
は、インターネット上で、瞬時に情報提供・斡旋出来るようにした。

究極のロイヤルカスタマーになるべく、絶えず他社の一歩先を行く。いかなる
時も、絶対優位の位置にあることを、A・Aの経営戦略とした。
(古い記憶をたどっての情報なので、内容に間違いがありましたらお許しください)

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