■森信三 修身教授録「しつけ三原則」
より
(1896~1992) 近代日本を代表する哲学者・教育者
一.朝、必ず親に挨拶をする子にすること
二.親に呼ばれたら必ず、「はい!」とハッキリ返事のできる子にすること
三.履物を脱いだら、必ずそろえ、
席を立ったら、必ず椅子を片付ける子にすること
更に、以下のように森先生は付け加えている。
このしつけのコツは、まず母親自身が、ご主人への毎朝の挨拶をハキハキし、
ご主人に呼ばれたときも、必ず「はい!」とはっきり返事をすることです。
そんな親の後ろ姿を見て、子は育つのです。
今の子どもたち、こんなごく当たり前のことが出来ていない。
三歳の頃までに躾ければ、その子は、一生「礼儀正しい」人間になれる。
【心と体の健康情報 - 206】
~子育て心理学~
「人間は教育されて人間になる」
昨年までの五千円札の肖像であり、「武士道」で有名な新渡戸稲造博士が、
49歳のとき(1911年)に「修養」という本を出版し、ベストセラーになった。
その「修養」の中の一節…
アメリカを旅行したときに訪ねた、ある有名な精神病院。そこには千人近くの病人がいたが、
その中の十人くらいは極めて利口な子供であった。 院長は「二十数年間、そういった子供たちに接して研究してきたけれども、 道徳観念と知識との間に接点はなく、全く関係がないことがわかった」と言うのである。 |
私は大変幸福な人間である。
というのは、日本人に生まれ、石川の金沢の地に、成人するまで両親の愛に
育まれ、しかも、最も平和で豊かな時代に、人生を歩むことができたことです。
(世界が100人の村ならばを思い出す)
わずか5~60年前の祖父が生きてきた時代を思うと、何千年と歴史を刻んで
きた中で、最も幸せな時代に生まれてきたことを感謝し、喜ばなければならない
のです。
前号で、インドの片田舎で、狼に育てられた二人の少女の話をした。1920年の
ことである。その後牧師夫妻に引き取られ、育てられたが、日中は暗い部屋の
隅で眠り、夜になると動きまわり、遠吠えをする。
二本足で立とうとせず、狼のように走り回る。人間が近づくと歯をむきだし、
威嚇した。物を食べるのは手を使わず、口で直接食べた。
牧師夫婦は、何とか人間に引き戻そうと努力したが、無駄だった。
二人の少女は二歳と八歳ぐらいでした。二歳の妹は間もなく死んでしまい、
姉はその後九年間生きた。
十数年前、オランウータンに育てられた子供が見つかった。狼に育てられた
少女同様、人間の世界に連れ戻すことができず、死んでいった。
このように、人間は育った環境によって、狼にもなれば、オランウータンにも
なれるのです。
高度な頭脳を持った人間にのみ起こりうることで、人間は教育しだいで、何に
でもなれる。そして、最も大切なことは、1~3歳頃までに受けた環境と、教育が、
その人間の脳にマイクロチップのように埋め込まれ、その後の一生の考え方、
行動を支配するようになるのです。
すなわち、「人は教育されて人間になるのです」。
昔でいえば、武家の子は武家らしく、百姓の子は百姓らしく育っていく。
商家に生まれた私は、商売に励む両親のうしろ姿を見て、知らないうちに、
商売の面白さに引かれるようになった。
人間は、環境や教育の影響を受けて育ち、人生が定まっていくのです.。