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日本人の価値観

■私の心を打つ言葉     坂村真民 「時」

日の昇るにも 手を合わさず 月の沈むにも 心ひかれず
あくせくとして 一世を終えし人の いかに多きことぞ

道のべに花咲けど見ず こずえに鳥鳴けど聞かず
せかせかとして 過ぎゆく人のいかに多きことぞ

二度とないこの人生を  いかに生き  いかに死するか
耳かたむけることもなく うかうかとして 
老いたる人の いかに多きことぞ

川の流れにも 風の音にも 
告げたもう声のあることを 知ろうともせず
金に名誉に地位に 狂奔し終わる人の いかに多きことぞ
生死(しょうじ)事大無常迅速 時人を待たず あ々


 

【吉村外喜雄のなんだかんだ - 86】
~日本人のアイデンティティ~ 
「日本人の価値観」

小泉首相の靖国参拝が、中国や韓国などの近隣諸国との紛争の種になって久し い。戦後、歴代の保守党政治家が靖国神社を参拝し、戦没者の御霊をお参りするのが恒例だった。中国がそれを問題視したのは、中曽根総理の時からである。

当時の社会党が、こともあろうに日本政府を傷めつける材料にと、中国政府に裏から工作した。それ以降、この問題で両国がこじれるようになった。そして、中曽根さんはついに参拝を取りやめてしまった。

田中総理が中国へ出かけ、平和条約締結時した頃は、あれほど親密だったのに…。中曽根以降中国は、日本の歴代の総理の踏み絵として、日本を悪者にする格好の材料にしているのです。

以下、7/1 日経新聞「春秋」からの抜粋です。

第二次世界大戦末期、ルーズベルト米大統領死去の報に接した鈴木貫太郎首相と、 ヒトラーの反応は対照的だった。鈴木は同盟通信の海外向け英語放送を通じ、「深甚なる弔意」 を米国民に表明した。

鈴木は「大統領の逝去が、アメリカ国民にとって、非常なる損失であることが理解できる」とも述べた。 米国主要紙がこれを報道し、米国に亡命中だったトーマス・マンは、鈴木に騎士道精神を見たと述べている。
一方、ヒトラーは「運命が史上最大の戦争犯罪人を、地上から取り除いた」と声明を発表した。 呪いのような文章だった。

これは、二人の人間性の違いだけではないだろう。日本人は誰であれ、死後仏となった人を侮蔑したり、 辱めたりはしない。一神教と多神教の違いと考える見方もある。狩猟民族と、 農耕民族の考え方の違いでもある。
最後の将軍徳川慶喜を、明治政府は公爵に遇した。しかし、西欧における最後の国王たちの運命は違った。 ブルボン王朝ルイ16世、ロマノフ王朝ニコライ二世は、ともに処刑により断罪されている。

大罪を犯して、死刑という罪の償いを受け、”仏”となった東条英機をはじめとする戦犯にもう罪はない。前世のことは前世のこと。あの世では、一般の仏と等しく霊を弔らってやればいい。これが日本人の一般的な考え方であり、優しさだった。
戦後、西洋思想が広まるにつれ、こういった亡き霊を敬う日本人の心が、失われつつある。

中国の外交戦略に乗せられてはならない。「あれだけ問題にするのだから、 中国の言い分を聞いて譲歩すれば事が治まるじゃないか」と、本気で言う政治家やジャーナリストがいる。そうだろか? 「先祖が犯した罪は、子々孫々償わ なければならない」という考え方の、中国や韓国の国民性。

NHKで毎週放映中の韓国ドラマ、「チャングムの誓い」を見ていると、親の無念を晴らそうとする子の執念。そのエネルギーの強さは、「起きてしまったことを いつまでもくよくよ悔やんでいても仕方がない」と、過去のことはサッパリ水に流して、明日に生きようとする日本人には、考えられないことです。

靖国を譲歩したら、次の切り札は教科書。最近、北京の日本人学校の社会の教科書が、台湾を別の国家として色分けしていると、事前の警告もなく、突然没収して、日本政府に改善を求めてきている。
教科書で譲歩したら、次は台湾問題、尖閣国境問題と、中華思想の中国は、どこまでも難題を日本にぶつけてくるだろう。それが中国の国益になるのです。

太平洋戦後のどさくさに紛れて、他民族国家である内モンゴルや、チベットを併合してしまった中国の中華覇権主義。今もスキあらばと、台湾など四方をうかがい、周辺の国々とトラブルを起こしている。

許されないそういった行為も、国際社会では、大国の論理として大手を振ってまかり通る。アメリカやロシアの政治手法も同様である。そういった覇権国家の弱点を追求できないところに、日本の置かれた弱さがあるように思う。

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