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日本人として知らなければならないこと

ユダヤ人を百五十万人もガス室へ送り込んだナチス・ドイツ。この一月下旬、
ポーランド南部のアウシュビッツ強制収容所解放六十年を記念して、イスラエル
の首相、フランスのシュラク、ロシアのプーチン大統領ら、約四十カ国の首脳と
関係者が集まって、記念式典が行われた。

その数ヶ月前、あの忌まわしい戦争とナチズムの狂気が風化しつつある事件が
起った。英国のヘンリー王子が、ナチスの制服姿で仮装パーティーに出て、問題
になったのです。
つい最近再婚した、父のチャールズ皇太子は怒り心頭。息子にアウシュビッツ
訪問を命じたという。ところが、英国の世論調査では、「アウシュビッツ」を知ら
ないと答えた若者が半数に及ぶという。

【心と体の健康情報 - 190】
~幸せな人生を歩むために~
「日本人として知らねばならないこと」

先週の土曜日、「3KM研修」の二回目があった。 「三歳の頃の思い出を隣同士
で語り合ってください」と、講師の先生…。私の三歳は昭和19年、太平洋戦争
の真っ只中。その頃のことが、走馬灯のようによみがえってくる。

元、松下政経塾副塾長、現「志ネットワーク」の”上甲 晃”氏は、戦前生まれ
の人達に比べ、今に生きる人たちは「三つのことを知らない」と言っている。

第一に 「貧乏を知らない」
私(吉村)は、 戦後の何もかもが貧しかった時代、兄弟、祖母、満州から引き
揚げてきた叔父家族、合わせて13人が一つ屋根の下で生活した。 生活は
貧しく、昭和29年、十三歳の頃まで、朝ご飯は芋がゆ、おやつも芋だった。

兄のお下がりを着て育った私は、モノを捨てることができない。古くなくなった
上下のスーツ、大事にしまってある。お魚などは、身一つ残さずきれいに食べ
る。JRでお弁当を買って食べるとき、端から米粒を一粒ひと粒、きれいに掃除
しながら食べる。貧しかった頃の習慣がしみ付いている。
「勿体ない世代」である。

今に生きる若者たち、貧乏を知らない。生まれながらに豊かで、豊かな暮しが
当たり前。にもかかわらず自殺者が多いのは、何故だろう。

第二に 「戦争を知らない」
私(吉村)は昭和十六年生まれ。 あの戦時中の、映画のシーンなどに出てくる
生活を、詳細に記憶している。
隣の家の軒先には、いつも数人の兵隊さんが村田銃を抱えて座っていた。
ガラス窓は目張りし、茶の間の電灯を風呂敷で覆い、店の中に防空壕を掘っ
たことなど、沢山記憶している。

夜、空襲警報が鳴り、B29が不気味な音を響かせ飛んでいった。疎開先で見
た富山の空襲。焼夷弾が落とされるたびに、医王山の彼方がボコン、ボコンと
真っ赤に燃えた。まだ四歳、打ち上げ花火のようだったことを覚えている。

今に生きる私達は戦争を知らない。日本がアメリカと戦争したことも、長崎に
原爆が落とされたことも知らない。そんな若者が増えてきている。日本の歴史
を振り返って、今ほど豊かで平和な時代はない。なのに、嘆いて暮らしている
人がいるのは何故なんだろう。

第三に 「神仏を知らない」
私(吉村)が子供の頃は、 お年寄りと同居するのが当たり前。仏壇の前で手を
合わせ、お参りする姿を見て育った。
「ご先祖に申し訳がない」「バチが当たる」「閻魔様に舌を抜かれる」など、
知らないうちに、私の心の中で一種の宗教的役割を果たしている。

今の人は神仏に手を合わさない。食事どきにきちんと両手を合わせ、神仏に
感謝してご飯をいただく人は稀である。

進駐軍が推し進めた戦後の教育改革の目的の一つに、日本人から大和魂を
抜き取ることがあったと、京都の研修講師、伊與田先生(安岡正篤の高弟)が
語っていた。
戦後の貧しい暮しの中、両親は子どもにかまっている余裕はなく、学校で倫理・
道徳を教わることはなかった。善悪をしつけられたのは、幼稚園のときだけ…。
そういった戦後世代が今、日本の政治・経済の中核にいる。政治家や、事業
経営者の倫理が問われ、モラルが問われる…、その原因はこんなところに
あるような気がする。

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