落語・ここにも一合残ってら
■ことば遊び。
韓国に行って、二言か三言しか韓国語が話せなくても、「はんぐんまる ちゃるはしねよ」(韓国語お上手ですね)と言われます。
「はんぐんまる ちゃるはしねよ」
「はんぐんまる」は日本語で”ハングル語”。
「ちゃるはしねよ」は”お上手ですね”。 ”韓国語お上手ですね”となる。
「ちゃるはしねよ」は、”上手に茶入れるが、箸ねエよ”と覚える。
「うりまる ちゃるはしねよ」も同じ言い方。
「うり」は”我(われ)”、「まる」は”言葉、○○語”。
「うりまる」”我々の言葉”となる。
頭に「より」”料理”をくっ付けて、「より ちゃるはしねよ」”
料理がお上手ですね”。
「のれ」”歌”が付くと、「のれ ちゃるはしねよ」”
歌がお上手ですね”など、
いろいろ使える。 尚、韓国で”日本語お上手ですね”と韓国人に言うときは、
「いるぽんまる ちゃるはしねよ」。”居るよ、日本丸”と覚える。
韓国には、日本語の上手な人が沢山います。ところが、日本で韓国語を話せる人
は少ない。それで、珍しがられるだけでなく、声をかけた途端に親切になって、
仲良くなってくれます。同じ文化圏なのに、これほど言葉が通じない隣国同士も、
世界では珍しい。
吉村外喜雄のなんだかんだ 第73号
~ことば遊び~
「ここにも一合残ってら!」
今日はちょっと息抜きに、落語の下ネタ話を一つ…
「酒を飲んで上がるものは血圧。ところで、飲めば下がるものナーニ」と、なぞなぞ? 飲めば下がるものとは、
言わずと知れた酒席の話題。飲むにつれ、出るとはなしに、アッチの話が飛び出してくる。
このたぐいの下ネタを、落語では「艶笑落語」と称している。
寄席では聞けない、おなじみさんだけに語って聞かせる、艶話である。
私が日立に勤めていた頃、日立チェーンストールのお客様招待会で、東京から演劇一座がやってきた。 受け入れ側スタッフとして、一ケ月ほど一座に同行したことがある。鶴来の体育館、根上の公民館と、県内をドサ廻り。 マン幕を張ったり、ゴザを敷いたりするのが私の仕事でした。
その一座に、真打になったばかりの「三遊亭歌奴(三遊亭園歌)」がいた。ご存知「山の穴々」 の出し物が大受けしていた。高座が引けて楽屋でくつろいでいるとき、お手伝いしている私達へのサービスだと、 下ネタ艶笑落語を披露してくれた。
「風呂の中でオナラをしたら、鼻のまん前にブクブクパッチン…。男のオナラは…、女は…」と、
顔を見ているだけでフキ出しそうな歌奴の熱演に、腹を抱えて笑ったものです。
で、とって置きの「艶笑落語」の小話を一席。「こんな下ネタを流すなんて不謹慎」と思われる向きには、
これから先は読まないほうがよろしいようで…。
「おい、酒を出せ」
『おまえさんねえ、酒なんかありゃしないよ』
「買ってこいよ!」
『お金がないんだよォ』
「金がなきゃ、何か質に入れてこさえろやい」
『質に入れるったって、タンスはからっぽだよ』
「からっぽだっていったって、そこを何とかするのが世話女房じゃねぇか。何とかしろ!」
『しょうがないねえ、おまえさんは、言い出すと後へ引かないんだから…。
じゃ、ちょっと待ってておくれ』
てんで、おかみさん、裏口から出て行くと、一升ぶらさげてアネさんかぶりをして帰ってきた。
「それみやがれ、何とかすりゃ、何とかなるじゃねえか」
『おまえさんねえ、この一升飲んだら、あしたっから仕事をしておくれよ。
もう何にも売るもんはないんだから』
「ないんだからって、おめえ…、なにを売ってきた?」
『おまえさん、これだよ』と、アネさんかぶりを取るとザンギリ頭。
「なんだい、おめえ、その頭は…。すまねえ、おめえの髪の毛まで売らせちゃって…。よし!おれは、あしたっから働くから…」
なァんてんで、すっかり仲よくなっちまって、二人で床に入って、亭主の手がスーッとすべっていったかと思うと、
「おッ!おめえ、ここにも一合残ってら!」
『 …… 』