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2004年12月 アーカイブ

2004年12月03日

イスラム教って何?

NHKスペシャル”ローマ帝国”を見られたでしょうか。二千年の長きに渡って巨大帝国を維持できたのは、 占領地の異民族に対する、したたかな人心掌握術にあったという。
昨年、塩野七生著「ローマ人の物語」を熱くなって読んだ。紀元前753年建国。
周囲わずか10k、人口千人の小さな国ローマ。以来1千年、中東、北アフリカ、ヨーロッパ全土を支配下に治める兆大国になった。

東・西ローマに分裂後、更に一千年続いた東ローマ帝国。その首都が、1453年オスマン・トルコ軍に攻め滅ぼされる。 その情景を物語にした塩野七生著「コンスタンティノープルの陥落」を、一ヶ月前に読み終えたところです。

二ヶ月に渡る攻防の末、勝者オスマン・トルコは、歴史・文化・財宝の詰まったコンスタンティノーブルになだれ込み、 殺りくと略奪の限りを尽くす。捕虜は本国へ連れ去られ、奴隷として売り飛ばされた。奪い取ったキリスト教会。聖像・ 十字架などはすべて破壊され、イスラムのモスクになった。そしてローマは滅びた。

世界の歴史をたどると、キリスト教世界とイスラム世界の間には、激しい覇権闘争の歴史がある。そしてその歴史のうずきが、 人々の心の奥底に怨念となって染み付いているのです。

【吉村外喜雄のなんだかんだ 第58号】
「イスラム教って何?」

イスラム原理主義過激派のテロ行為は、世界の国々を震撼させている。しかし、 イスラム原理主義そのものが悪いわけではない。
世界には、十億人以上のイスラム教信者がいます。中東、アフリカの国々に信者が多いことはよく知られていますが、 信者が一番多い国はインドネシアで、1億9000万人います。3週間前の11月13日、一ヶ月間の断食(ラマダーン) の行を終えたところです。近年、ヨーロッパやアメリカでも信者が増えつつある。

[世界の宗教]
■キリスト教 32.8% (カトリック 56.4%、プロテスタント 19.5%)
■イスラム教

16.5%

(スンニ派 84.2%、シーア派 14.5%)
■ヒンズー教 13.3%  
■仏   教 6.3%  

世界四大宗教の一つ、イスラム教ってどんな宗教なのでしょうか? 日本人にはなじみが薄く、 ほとんどの人がイスラム教のことを知りません。
イスラム教は、今から千四百年前、サウジアラビアのメッカで、ムハマンドという人が、神様の声を聞いて広めた宗教です。
”イスラム”とは、”平和”という意味の言葉からきていて、「すべて神様の言うことを聞きます」という意味です。 この神様のことをアラビア語で「アッラー」といいます。

アッラーの声を聞いたムハマンドが、その内容をまとめたのが「コーラン」です。
イスラムの人々は、このコーランの教えに従って暮らしています。
豚肉は食べません。お酒は神様を忘れるので、飲んではいけません。貧しい人には、施しをしなければなりません。 人にお金を貸しても、利子を取ってはいけません。「コーラン」の教えに、そう書いてあるからです。
神様の前では全て平等。みんな助け合いながら生きていこうという教えです。

ところが、信者の中には、こういった戒律を守らず、お酒を飲む人や、西洋人のように、 人前で肌をさらす女性も出てくるようになった。仕事で儲けて豊かになる人が出るにつれ、貧富の差も大きくなってきた。 これも、西洋人と付き合うようになった為と思い込む人が出てきた。

イスラムで理想の社会を作ろうと考える人達が、基本に戻ろうという運動を始めたのです。それを西洋の人達は 「イスラム原理主義」と呼ぶようになった。イスラムの人たちが名付けたわけではありません。

こういった考え方をするグループの中に、武器を使ってでも理想の社会を作ろうとする人達が、 過激派やテロリストになって、事件を起しているのです。ですから、イスラム原理主義者=過激派・ テロリストではないということです。

[信仰告白]
「アッラーの神の他にいかなる神的存在もなく、ムハマンドは神の使徒である」
と、毎日唱えること!

[礼   拝]
一日五回、日の出前、正午過ぎ、午後、日没後、夜間の決められた時間に、メッカの方向に向かって礼拝を行う。 特に金曜日の礼拝は、その地の大きなモスクに集まり行う。

[断   食]
イスラーム暦の第九月(ラマダーン月)の一ヶ月間、日の出から日没まで一切の飲食を断つ。日没後はご馳走を食べ、 親戚友人を訪ね合い、夜半過ぎまで街はにぎわう。
※イスラーム歴
月の満ち欠けをサイクルとした陰暦を採用。一ヶ月は29~30日。第12月にズレを1日調整する。 イスラーム暦の一年は、西暦より10~11日少ない354~355日。

[救貧税(喜捨)]
所有する金銭、家畜、穀物に対して、一定の割合で救貧税を納めなければならない。

[巡   礼]
イスラーム暦の第二月、8~10日の三日間を中心に行われるメッカへの巡礼。

2004年12月07日

人間万事塞翁が馬

前にも話したが、私は高校二年の時病気になり、大学進学をあきらめた。しかし、大学へ行けなかった分、 それだけ早く実社会で商売のノウハウを身につけることができた。
三年後、将来でっかい商売やってやろうと、東京の会社に転職した。ところが、上京二日前になって病気の再発がわかり入院。 このまま死んでしまうかもしれない…。
いつ治るともしれない長期療養生活へ…。二度も、人生の夢・目標がハジけた。

ところが、長い入院生活のお陰で、古典や哲学書、経営書、囲碁や易学、簿記など、将来に備えた勉強をたっぷりする機会を得た。後に、 そのとき学んだことが生かされた。退院後も療養は続く。ブラブラしていてはダメだと、片町に店を持たせてもらった。そのお陰で、 マネージメントのイロハをじっくり学ぶことができた。

病気のお陰で妻とのご縁を頂き、二人の子供を授かった。その後、再就職した会社で、それまでの経験が買われ? 中間管理職のトップに抜擢された。やること為す事すべて順調。時代の流れが後押ししてくれた。
その後バブルがハジけて多くのものを失ったが、そこから又、新たな幸運を呼び込んだ。「禍福はあざなえる縄のごとし」。 何が幸運で何が不幸か、それは後になってみなければわからない。

【心と体の健康情報 - 173】
~幸せな人生を歩むために~
「人間万事塞翁が馬」

青島幸男が東京都知事のとき、「人間万事塞翁が馬」という中国のことわざが、 広く世間に知られるようになった。
「何が幸運で、何が不幸か、そんなものはわかるものか」という意味である。

昔、塞上の翁のオス馬が逃げてしまつたとき、隣人が「気の毒に! 馬が逃げてしまって…」と言ったところ、 「まあまあ…」とこの老人は悲しまなかった。
数ヶ月後に、この馬がすばらしいメス馬を連れて帰ってきた。今度は隣人が、「いなくなったと思っていた馬が、 いい馬を連れて帰ってきた。まあ、おめでたいことで…」と言うと、老人は少しも嬉しそうな顔をしなかった。

間もなく、子供がこのいい馬に乗って遊んでいたら、落ちて背中を打って、身体が不自由になってしまった。近所の人は 「お気の毒に…」と言ったが、今回も老人は悲しむ様子はなかった。

そうしたら間もなく、隣国との間で戦争が起こって、敵兵が来襲してきた。
国中の若者が徴兵されて防衛に努めたが、戦いが激しく、出兵兵士の十人中九人までが戦死してしまった。
しかし、この老人の子供は身体が不自由だったため徴兵を免れ、父母のもとで幸せに暮らすことができたという。

人の一生というものは、すべてかくの如きものである。「禍福はあざなえる縄のごとし」というように、 幸せと思っていたら不幸になり、不幸と思っていたら幸せつながったりするものである。
人生、良いときも悪い時もある。「逆境」は誰にでも訪れてくる。のがれることはできない。佐藤一斎もまた、言志四録の一つ 「言志晩録」の中でこう言っいる。
「人の一生には、順調の時もあれば、逆境のときもあり、幾度となくやってくるものである。自ら検するに、 順境といい逆境といい、なかなか定め難く、順境だと思えば逆境になり、逆境だと思えば順境になるといった具合である。
だから、順境にあっても怠りの気持ちを起こさずに、ただただ謹んで行動するより仕方がないのである」

今、どんなにどん底の状態で、将来が見えない状態にあっても、希望を失わないようにしていれば、 その内に幸運が訪れてくるようになる。ヤケにならずに、もう少し、もう少しと我慢して、 日々の努力を怠らないようにすることでしょう。

誰しも、ある程度歳を重ねれば、順境も逆境も一つに見て、喜びも憂いとなり、 憂いもいずれは喜びとなることを知るようになる。何ごとも超越して、生かされていることを楽しみ、 今を生きていることを安んじることができるようになるものです。

2004年12月10日

ヨン様によろめく中年女性

今週の火曜日、厚生年金会館で、ドイツの名門バレエ団による「カルメン&ボレロ」の公演を鑑賞した。
私の大好きなビゼーのオペラ「カルメン」と、ラベルの名曲「ボレロ」を振り付けした二幕の舞台。 世界一流のバレエ団とアンサンブル金沢の演奏が一体をなし、見ている観客を魅了する。
最上級のフランス料理を堪能したような、何ともいえない味わいのあるひと時だった。
先週の日曜日には、金沢を舞台にした秋吉久美子主演の「透光の樹」を鑑賞したり、ニューヨーク・ ミュージシャンのジャズ演奏を聴きに行ったりと、ここ最近、夫婦で出かける機会が多くなった。
妻とは趣味が一致せず、一緒に出かけるのはショッピングのお供か、旅行ぐらいだったのに、嬉しい限りです。

吉村外喜雄のなんだかんだ 第59号
「ヨン様によろめく中年女性」

私の会社は、40代の女性を中心にした化粧品販売の会社。今年の韓流ブーム、避けては通れない。「冬のソナタ」 が引き金となって、「ホテリアー」「美しき日々」など、韓国ドラマが大当たり。

テレビはよく見る。が、昼メロは無論のこと、夜の時間帯の恋愛ドラマを見ることは久しくなかった。今年の八月、 夜中の二時からのオリンピック、体操やマラソンを見たくて、それまでの時間つぶしにと、ダビングした「冬のソナタ」 を見始めた。
それがきっかけで、見るたびに次週が待ち遠しくなってくる。いつしか、韓国ドラマの面白さにハマっていった。
で、この冬の当社の販促キャンペーンの目玉は、「優績代理店様、韓国・冬ソナロケ地ご招待」なのです。

日本の中年女性のヨン様フィーバーは、ロイター通信などを通して全世界に報道された。異常としか言いようがない。 四・五十代のいい年をした女性が嬌声を挙げて、ホテルから出てきたヨン様に突進していく姿。あきれてモノが言えない。
感極まって泣き出すおばさんもいる。男性から見て、これほどバカバカしい現象はない。
衣食住満ち足りた何不自由のない毎日。何時間も前から場所取りをして、ヨン様を人目見ようと、目を輝かせ、 今か今かと小娘のように胸をときめかせて、現われるのを待つ。
ブランド品を身にまとい、経済的にも満ち足りた中年の女性たちが画面に映る。
何不自由ない毎日。それでも欲求不満がたまって、もがいているのでしょうか? 
今の生活には胸をときめかす対象もなく、毎日が退屈なのでしょう。

何かに熱狂したい。「玉(三郎)様」「杉(良太郎)様」などに熱狂する中年女性。
「マツケンサンバ」「氷川きよし」も悪くはない。が、東京へ会いに行くほどではない、金沢に住むものにとって、 何れも遠い存在である。そこへ、更に甘くてソフトな「ヨン様」が、身近なお茶の間に飛び込んできた。

「ああ~ 彼なら安心してよろめくことができる…。胸がときめく。たとえ妄想のなかででも、 若く美しい男に愛されて、抱かれて、うっとりしたい…」
ドラマの中のヨン様に、若かりし頃の想いを重ね、いつしか憧れとなって、胸をキュンとときめかせてしまうのでしょう。 日本中、ヨン様ウイルスに侵されてしまったよう…。
欲求不満がたまったり、ストレスを感じた時、女性が男性を癒す役割は大きい。
ところが、女性の心を癒してくれる男性は…?、今の日本では望むべくもない。
ほとんどの女性タレントが男性の心を癒してくれるのに、男性では、ノーベル賞を受賞した田中耕一さんと、 塩爺ぐらいだという。
「身近な男性に求められない癒しを、彼に求めたのではないだろうか」と、東京学芸大学の村松泰子教授は分析する。

12/7 北國新聞と北陸中日新聞から一部抜粋しています

面白いのは、レポーターのインタビューに応えて、「今日帰ったら、主人に見たことすべて話さなくちゃ…」 と興奮ぎみ。決してご主人に幻滅を感じて、ヨン様を追い求めているのではない。平凡だが幸せ。家庭を大切に守っている、 どこにでもいる主婦が癒される、ほんのひと時なのです。

どのテレビ局も、争うようにヨン様ブームをあおっている。ヨン様が宿泊したホテルの兆豪華な一室が映し出される。 一泊40万円だという。その日にヨン様が食べたのと同じ中華料理、13,650円のフルコースが用意されている。
一泊四名様相部屋で受付たところ、申込みが殺到しているという。世界広しといえども、 これほど平和な国は他にないでしょう。

2004年12月14日

自愛の心に欠ける日本人?

街を歩けば、若い人たちは黙々と指を動かし、携帯メールに余念がない。
用があれば、相手がどこに居ようと、呼び出すことができる。好きな時に即刻情報を伝達し合う。
そんな時代だからこそ、デジタルではなく、アナログを象徴する「手紙」や「ハガキ」を大切にしたい。自分の気持ちを相手に伝えるは、 一字一字に心を込め、時には絵手紙にして、受取る相手の喜ぶ顔を想像して投函する。

毎月決まった何人かの人から、季節感たっぷりの絵手紙が届く。貰って嬉しく、印象に残る。差出人の真心が伝わってくる。ならば私もと、 下手な絵手紙の真似事をするようになった。即、相手に意志の伝達ができる便利な時代だからこそ、後々まで手元に残る、 手紙やハガキを大切にしたい。

【心と体の健康情報 - 174】
~幸せな人生を歩むために~
「慈愛の心に欠ける日本人?」

ノエビアで来春、またラスベガスへ行く話しが持ち上がっている。
アメリカへ旅行するのも、もう何回目になるでしょうか? そのたびに気になるのが、 日本と米国の人間関係における習慣や文化の違いです。

米国へ行くたびに、気づくことは、
(1)街を歩く老夫婦、 皆仲良く手をつないで歩いている。
(2)見知らぬ人と顔を合わせたとき、 にっこりと微笑んでくれる。挨拶してくれる。
(3)すれ違いざま、ちょっとふれただけでも、 必ずむこうからエクスキューズ・ミー
  が条件反射で返ってくる。
(4)身体障害者には住みやすいよう、 社会が整備され、周りへの接し方が優しい。

今の日本人、見知らず人に対する「慈愛の心」が不足しているのではないでしょうか。
毎朝犬を散歩させていて、時折顔を合わす人に、すれ違いざまに「おはよう」と声をかけると、にっこりと「おはよう…」 と返事が返ってくる。ところが、向こうから声をかけてくることは滅多にない。すれ違うとき、お互いに意識をしているのに、 黙って通り過ぎてしまうことが多い。なんとなくスッキリしない。ちょっと声をかけてあげれば、直ぐに打ち解けて、 返事が返ってくるのに…。

日本では、街角ですれ違ったとき、肩がふれても無言のまま…。悪いと思っても、とっさに声が出ないのです。 逆ににらみ返されることもある。どちらが悪いというのではなくて、条件反射的に 「すみません」の一言が言えないのです。優しさが日本人に不足しているのではなく、 習慣がなくて声が出ないのです。

街で妻と手をつなぐのは「恥ずかしくてかっこ悪い」と思う。文化の違いと言ってしまえば、それまででしょうが、これ、 すれ違いざまに挨拶が交わせないのと同じではないでしょうか。慣れてしまえば何でもないことなのに…。
人の目が気になるのは自分だけ。意識過剰になるのも自分だけ。周りの人は他人のことなど無関心。気にも留めてくれません。

三週間ほど前、又も痛ましい幼児誘拐殺人事件があり、マスコミを騒がせている。
何と、「仕事と人生」の川人さんのご自宅がある町で起こった事件です。川人さん夫妻には二人の愛娘がいる。 内心穏やかざるものがあるでしょう。

お母さんが、我が子に「怖い人がいるから、外で知らない人に声をかけられても、無視して返事しないように」 と言うのが日本。
教会へ親子で出かけて、「知らない人にも、優しくしましょう」と教えられるのが西欧諸国。
日本人は心の優しい民族です。それなのに「慈愛の心」が不足して見えるのは、日常生活に宗教の結びつきが弱いからでしょうか。
米国では、住民の四割が毎週日曜礼拝に出かける。子供の頃からの習慣です。
米国社会では、教会に行かない人は信頼されません。「信心深い正しきアメリカ人」でなければ、 まともな地位につけないのも事実なのです。

余談ですが、大統領選でブッシュ氏が勝利した理由の一つに、信心深いブッシュ氏の姿がある。 これまで底流にあった米国市民のナマの価値観が一気に表出したことが勝因です。
ブッシュ氏は名門の出だが、若い頃酒におぼれたりして、家族の中では問題児だった。その後、宗教に目覚めて立ち直った。 そういった過去が、選挙民の宗教観、正義感をくすぐったのです。 

(11/9 京都新聞 京都女子大 柏岡とみひで教授「米大統領選を聞く」 より)

牧師から「汝、隣人を愛せよ…」と言われて育った米国人と、宗教とは無縁の少年期を過ごし、 倫理観が希薄な日本人との違いが、なにげない日常生活の違いに現れてくるのでしょう…。

2004年12月17日

いい男の条件

「野球というスポーツは人生そのものだ!」。これは長嶋茂雄氏の言葉である。 今年の秋の大リーグチャンピオンシリーズは、 ヤンキース対レッドソックスの間で戦われたことは記憶に新しい。

三連勝してリーグ優勝に王手をかけたヤンキースが、まさかの四連敗。ワールドシリーズへの道が閉ざされた。
三連勝したとき、誰もが「今年もリーグ優勝間違いなし」と思ったことだろう。
大リーグ関係者の間でも、松井選手のMVP間違いなしと見て、マスコミの優勝会見の段取りに入ろうとしていた。
ところが人生と同じ…。筋書き通りにはいかなかった。松井の故郷石川県人の一人として、残念でならない。
「野球も人生も、一歩先は何があるか分からない。分からないから面白い」

広岡 勤「ニュースの手帳」



【吉村外喜雄のなんだかんだ 第60号】
~男の言い分、女の言い分~
「いい男の条件」

13日朝、NHKの朝の番組「生活ほっと」で、「いま気になるいい男とは?」をテーマにした番組をやっていた。 二十代~六十代の女性260名にアンケートをした結果、プロ野球ではイチロー、松井、古田、新庄。サッカーでは中田。 俳優はキムタク。オリンピック選手では、水泳の北島康介、柔道の野村忠宏などの名前が挙がっていた。
韓国俳優では、冬のソナタのペ・ヨンジュン(ヨン様)、美しき日々のイ・ビョンホンの名前が挙がる。
さて、この中にダントツ一位がいます。誰でしょうか? 五人に一人がイチローの名前を挙げた。 目的に向かって努力する姿、前向きに生きる姿がカッコいい。
自分のやりたい事がはっきりしている。意志が強い。仕事のできる男。謙虚etc

いい男の条件を並べてみると、「強くたくましい」「誠実である」「セクシー」「自分を大事に守ってくれる」 「包容力がある」といったところでしょうか。つまり、そんな男性に女性は憧れるのです。
過去、そういった条件を満たしてくれる男性といえば、石原裕次郎であろう。
あの優しい笑顔でじっと見つめられたら、女性なら、一度ならずも抱きしめられたいと思うでしょう。

ところで、いま何故韓国の男優がこんなにもてはやされるのか? 日本中の中年女性のハートを、 そこまで熱く燃え上らさせるものは、何なんでしょうか。
日本の脚本家に言わすと、韓国ドラマはあまりにも”古典的”で、ドン臭いという。

韓国俳優の魅力は何だろうか? イ・ビョンホンのあの”吸い込まれるような魅力的な目”、 じつと見つめられた時の瞳の輝きがたまらないという。
また、演技の最中にポロリと流す”涙”。それも又、たまらなく素敵だという。主人公の二人がドラマの中で流す一筋の 「涙」に、見るものの胸が締め付けられる。

「人前では泣くな」と育てられた日本の男性にない魅力であろう。日本の男性で、好きな女性のために、 人前で涙を流せる人はどれだけいるだろうか?
「歯」や「肌」が美しいのも魅力の一つ。青い目の男性もいいが、日本人と姿かたちが似通っているところに、 親密性を感じる。韓国という、ほど良い距離感も、いとおしさを誘う。

更に付け加えれば、ドラマを通して、恋人に接するときのあの「優しさ」は何だろう。 これも日本の男性にはない魅力である。独身時代に夢見た「白馬の王子様」がそこにいる。 なによりも夫を忘れさせてくれるのがいい?

更には、日本の男性と違って「物言いがはっきりしている」。それがいいと言う。
いかにドラマが古臭かろうと、二枚目に徹した魅力あふれる演技力が新鮮で美しい。どんどんとりこになっていく。 自らがドラマの中の恋人になったような錯覚に陥るのです。

2004年12月21日

笑いは免疫力を高める

日立の代理店に勤めていた頃の昔話。金沢観光会館でお客様招待バラエティーショーが開かれ、そのお世話役を勤めたことがある。
当時人気絶頂の小林 旭と江利チエミが来るというので、開宴前から長蛇の列。
台本を貰い、リハーサルを見学した。小林やチエミは、台本にない掛け合いジョークの連発で、本番とは一味違った笑いの連続だった。

本番。観客席の中ほどの通路に、江利チエミがしゃがみこむ。その横の席に台本を持った私が座る。 前日飛行機の中で台本を渡されたという江利チエミは、出番が回ってくるまでの間、原稿用紙一枚くらいのせりふを、 ブツブツと繰り返し練習していた。物凄い緊張感が伝わってくる。

いよいよチエミの出番。まばゆいスポットライトがチエミを浮かび上がらせる。
溢れんばかりの笑顔でスクッと立つや、今覚えたばかりのせりふを言う。
五行、六行と私の目が台本を追う。最後の行に近づいたとき、三行ばかりの文章を言い忘れ、飛ばしてしまった。が、そこはプロ。 みごとに演じ終え、舞台に向って客席通路を歩いていった。
あの時伝わってきた緊張感、今もはっきり覚えている。第一線の華やかな芸能人だからこそ、その隠れた苦労は並大抵ではないようです。

【心と体の健康情報 - 175】
~幸せな人生を歩むために~
「笑いは免疫力を高める」

幸せな人生を歩むためには、”くよくよ”せず、何事も”肯定的・プラス思考”で、 毎日を楽しく生きるようにすることです。それが幸せな人生の秘訣になります。
中でも「笑い」 に溢れた生活が幸福を生むのです。

笑いやユーモアは、病気に対する免疫力を高めることが、大学の研究で明らかになつている。「笑い」 の免疫力への影響については、数多くの医学臨床実験が行われ、笑ったり、ポジティブな気持ちになることで、 免疫力が高まることがわかってきている。

笑うことによって脳機能が活性化して”ぼけ防止”になり、関節リウマチの痛みを鎮めたりする。大笑いすると、 腹筋が激しく波打ち、内臓の”ジョギング効果”にもなる。何といっても笑いの一番の効用は、 心身がリラックスすることでしょう。

東京の恒川クリニックの先生が、患者さんを寄席へ連れて行き、漫談や落語などを楽しんでもらい、”免疫力の変化” を測定する実験を行った。
実験の結果、参加者の73%に、NK細胞の活性化が見られ、数値が上昇した。
中には、数値が32%から58%と倍近くにはね上がった人もいた。

免疫リンパ球「ナチュラル・キラー(NK)細胞」が、 免疫機能を高める働きをするのです。NK細胞は平均して30%~40%持っている人が多く、 ガン細胞の三~四割を殺す力がある。
笑いのある生活は、知らないうちにガンを退治し、体内の活性酸素の発生を抑え、細胞の老化を予防し、 身体を元気にしてくれるのです。

大阪でも、病院を経営する「医誠会」がスポンサーになって、毎月一回「落語寄席」を設け、 健康な地域作りに貢献しようとしている。
「笑う・泣く・ 深く眠る」。この三つの行為が病やストレスに打ち勝つ免疫力の源と力説するのは、 日本医大の吉野慎一教授。

リュウマチ患者は、健康な人に比べ、ストレスを受けると症状を悪化させる物質の量が多い。ところが、 落語を聞いて思いきり笑ったり、感動で涙を流したり、手術の全身麻酔で深く眠った後は、 体内のバランスが正常に近づいてくる。

強いストレスで身体のバランスが崩れると、病気になったり、病気が更に悪化したりするのです。日常、 ストレスを避けて通ることはできない。しかし、身体にはそれに打ち勝つ力が備わっていると、吉野教授は言う。

12/19 読売新聞「人の能力どう引き出す」より

私は、気持ちがふさぎがちな時、”綾小路きみまろ”の爆笑スーパーライブ「中高年に愛をこめて」 のカセットテープを聴いたり、お風呂に入った後、好きなビデオを見ながら、焼酎のお湯割りを楽しんだりする。 誰に気兼ねなしに大声で笑ったり、好きなことに熱中することでストレスが発散され、リラックス状態を創り出し、 気分転換してしまうのです

2004年12月24日

みんな同じ

【吉村外喜雄のなんだかんだ 第61号 】
~日本人のアイデンティティ~ 
「みんな同じ」

今日は、子供たちには楽しいクリスマス。
日本の家庭は、どの家にも神棚があり、仏壇がある。クリスマスにはケーキでお祝いし、大晦日には、除夜の鐘を聞いて煩悩を取り去り、 元旦には神社へ初詣に行き、柏手を打って幸せな一年を祈る。かっこいいからと結婚式はキリスト教会で挙げ、お葬式はお寺でする。 京都へ行けば、宗派に関わりなくお参りして歩く。
こんなことを日常平気でやっているのは、日本人だけ。何でも受け入れてしまう寛容さは、キリスト教や回教徒の国の人たちには、 理解できないことかもしれません。
四方を海に囲まれ、異民族にじゅうりんされたことが全くない、単一民族国家日本。戦争などで他民族の地が混じらず、 純血を保ってきた数少ない民族である。
そんな何千年の歴史から、アウンの呼吸といおうか、わずかの表情・仕草の変化を読みとり、 相手の思っていることを理解する能力を備えるようになった。

同じような生き方、考え方をする民族。変わった行動、変わった発言をする物がいると、直ぐ異端のようにみられ、 仲間はずれにされてしまう。
五人のうち四人までが口をそろえて「右がいい」と、グループの意見がまとまろうとしているとき、「私は左がいい!」と、 自らの考え方を通すことが出来るでしょうか?
日本人の価値観の根底にあるのは、「和」「人を思いやる心」 。異なる考え方の集団をうまく取りまとめていくには、 自らの考え方や主張を一歩譲って、 程良い中間のところで収めようとする。集団の中で生活する術を身につけてきた、 農耕民族故の特徴だろうか。「長いものに巻かれろ」 的行動心理が顕著に働く。

街を歩く女子高生は、一見個性的に見えるが、よく見ればみんな同じような格好、同じようなメーク、おんなじ喋り方をする。 みんな同じだと安心なのかも…。

全国高校野球の開会式、選抜チームが行進する。外国の軍隊じゃあるまいし、何でみんなあんなに手や足を高く上げ、 足並みをそろえて歩くのだろう。滑稽にさえ思えてくる。もっと伸び伸びと、オリンピックの入場行進のように、 代表選手になった喜びを自由に表現したらいいと思うのだが…。

誰かが笛を吹くとすぐ踊り出す。みんな同じ方向を向きたがる。人と同じ方向を向いていれば安心だし、 話題も気持ちも共有できて楽しい。
この国の人たちを思想統一して、同じ方向に向かわせようとするのは、案外簡単なのかも知れない。戦前の日本がそうだったように…。 そう思うと怖い気がする。

そんな国民性か、日本ほどナントカブームが次々と作られていく国は、世界のどこにも見当たらないと、新聞の評論に載っていた。
毎年いろんな流行が作られていく。漫才ブームからクイズ、トレンディードラマ一色といった風に…。今は吉本一色、ジャニーズ一色、 手品ブーム。

今年は「冬ソナ・韓流ブーム」に湧いている。日本中の中年女性のハートは、ヨン様のあの笑顔に奪われてしまった。 民放各社もNHKに遅れてはならじと、韓国のドラマをお茶の間に流し、ブームをあおっている。

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