今回の大地震の震源地長岡で、忘れてならない人物に”小林寅三郎”がいる。
平成十三年五月七日、小泉首相就任所信表明演説で、「米百俵の精神」を引き合いに出した。そして、
長岡藩の逸話が広く国民に知られるようになった。
頃は明治三年、明治維新の際、新政府側につかず、独自の立場を貫いた長岡藩は、戊辰戦争で官軍に町を焼かれ、
石高も七万四千石から、二万四千石に削減され、窮状にあえいだ。それを見かねた支藩の三根山藩が、見舞いとして届けたのが”
米百俵”だった。
長岡藩の大参事(旧家老)の小林寅三郎は、米を藩士に分けず、百俵を元手に学校を作ることを主張した。
窮状にあえぐ藩士らは猛反発し、米を寄こせと詰め寄った。
大激論の末、小林はこう説き伏せた。
「百表の米を分けたところとて、何日ひもじい思いをしのげるだろうか。食べてしまえばそれまでで、
いつまでたっても本当に食えるようにはならない。この米で学校を建て、人材を養成するのが、迂遠だが一番の近道だろう。今、
百俵の米が、その時には千俵にも万俵にもなるだろう」と…。
後の長岡中学で、山元五十六や小野塚喜平次・東大総長らの逸材を多数輩出した。目先の売上に囚われているだけでは、 いつまでたっても会社は変わらないだろう。三年後、五年後のための人材育成が大事なのです。
【吉村外喜雄のなんだかんだ 第54号】
~幸せな人生を歩むために~
「次第に住みにくくなる日本」
一ケ月ほど前の新聞に、富山県の人口が十年後に百万人を切ると、大きく報道していた。石川県も同様である。
日本の人口は減少していく。政府の予測では、現在一億二千万人余の人口は、毎年0.95%ずつ減少して、
2050年には九千万人に、2100年には現在の半分の六千万人になってしまうという。
人口が減少するのは、子供を生まなくなったからだ。必然的に人口の高齢化が進み、
社会のヒズミとなって重く圧しかかってくる。人口に占める六十五歳以上の比率は、2000年は18%。
国民はそれを重く感じているというのに、2050年には今の二倍の35%にもなる。
人口の減少は、国の経済活力の低下につながり、国の税収入も減少していく。
現在の年金水準を維持しようとしたら、保険料の掛け金を倍にしなければならない。企業も個人も、
このコスト増に耐えられるはずがない。
今でさえ、年金の将来に期待が持てないと、国民の半数近くが保険料を払おうとしないのに…、
どう解決していくのだろうか。
つい先日の新聞でも、消費税を今直ぐ、毎年1%づつ上積みしていって、出来るだけ早く15% にまで持っていかないと、国の財政は持たないと警告している。
しかし、政府が消費税アップを掲げると、国民はそっぽを向いてしまう。だから小泉首相は、
自分の任期中は値上げしないと言っている。小泉さんの後を引き継いだ人が、
最初にやらなければならないことは財政の健全化。消費税の値上
げを断行せざるを得ない。
自民党政権は、国民の首に消費税15%の鈴を付けることが出来るのだろうか。
民主党が政権を取ったら、即実行できるかというと、疑問だろう。
目先の利益と、自己保身に汲々としている国会議員に、百年先の日本を見すえた政治を望むべくもない。
小泉政権は発足当初、国の借金を30兆円以内に抑えると公言していた。それが、
このわずか三年間に160兆円も借金を膨らませてしまった。
最近親しくしている人に、「そろそろ日本脱出する時が来た。生活の基盤をハワイか、
ニュージンランドに移した方がいいかも知れないね…」と、無責任なことを言っている私です。
知り合いの某社長さん。三十年ほど前、北陸の風土に惚れて、工場を東京から石川県に移転し、
家族全員金沢に移り住んだ。そのとき、私の顧客になり、私が図面を引き、お世話をして建てた家に住んでいる。
その社長さん、二十年ほど前、ハワイに住居を構え、会社を息子さんに譲って、生活の拠点をハワイに移してしまった。
今は八十歳近く、老夫婦仲良くハワイで暮らしている。日本が恋しくなると、時々里帰りのように、
息子や娘夫婦がいる金沢に帰って来る。