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天命の自覚(2)

一週間後に湯涌温泉で、高校2年のクラス同窓会があり、幹事を務める。
クラスメートの三人に一人は、東京・大阪など県外に住む。
高校2年は、修学旅行や学園祭、部活など、青春の思い出が詰まっている。
86歳になられた先生もお元気で、参加者は19名、皆都合のつく限り集まってくる。上場企業で辣腕をふるった人や、 大学教授になった人もいる。ラーメン屋さんもいる。ほとんどの人が、就職した会社で人生を勤め上げている。
そんなクラスメートも、ぼちぼち第一線から退こうとしている。既に家でブラブラしている人もいる。

欠席の通知をいただいた方それぞれ、一筆添えてあった。
H君、「いつもご連絡ありがとうございます。心や体は元気ですが、お金の貧乏からなかなか脱却できないでいます。一生懸命”今一番” と頑張っています。皆様によろしく」。Cさん、「環境と福祉の方面で、社会貢献させていただき、元気で頑張っています。孫も5人、 おばあちゃん業大忙しです。とても幸せに暮らしております」。

クラスには、S君とMさんの熱心なお世話役がいる。二人のお陰で、春と夏の2回、三十年近く、 毎年欠かさず続けて来られた。たかが同窓会、されど同窓会。長く続けてきたことが重みとなり、人生を彩っていく。

【心と体の健康情報 - 160】
~幸せな人生を歩むために~
「天命の自覚(2)」

「天から与えられた使命とは何かを自覚し、積極的に生きることが、わが生の目的である」 これは、日本の教育の師”森信三”先生の教えです。

自分に課せられた天命とは何か? 」と問われて、 私はそれに即答できない。
まず何事も心の中で形づくられる。心の中で形づくられたものが、後から見える形となって現れてくる。 「自分に課せられた天命とは何だろう?」と、自分の心に問いかけてみる。
 「お前は何を天職とするのか?」「何が欲しいのか?」「金が欲しいのか?」
 「名誉か?」「出世したいのか?」「一体何が欲しくて頑張っているのか?」
 「自分が本当に求める道は何なんだろう?」「どうしたら、沢山の人に影響を与えることができる人間になれるだろうか?」

道が定まらないまま、人生を無為に過ごしたのでは、後から後悔することになる。
孟子の言葉に、「朝(あした)に道を開かば、夕べに死すとも可なり」 というのがある。今日、自分の本当の生きる道が見つかったら、明日死んでもいいという。
命と引き換えにしてもいいくらい、価値のあることなのです。

「天命」とは何かというと、それは「その人が持つ長所・強み・個性を、 世のため人のため活かすこと」でしょう。
相撲取りはマラソンランナーにはなれない。マラソンランナーは相撲取りになれません。
子育てにおける親の役割は、子供の持つ才能をいち早く見い出し、伸ばしてやることでしょう。 2~3才の頃に現われてくる個性を見逃さないことです。
お歌が好きな子、お絵かきが好きな子、敏しょうな子、積み木遊びが大好きな子、いろいろです。
今年も200本安打を達成したイチロー選手も、福原愛ちゃんも、親が才能を引き出してくれたお陰で、 自らが持つ天性を開花させることが出来たのです。

私の人生観の一つに、「人生、好きなことをして、楽しんで生きる」 がある。
人生好きなことをして歩もうと思ったら、できるだけ早く「天職」に出合うことでしょう。 好きな仕事なら、たとえ徹夜の連続でも苦にはなりません。

しかし、仕事・仕事と、仕事に追われ、 仕事の中に人生を押し込めてしまってはいないだろうか? 私の周りには、365日仕事一途、単身赴任、 家庭を犠牲にして働いたあげく、体を壊して人生を棒に振ってしまった人がいる。職業病に悩んでいる人もいる。 忙しさのあまり定期健診を怠って、手遅れで亡くなった人もいます。

仕事と人生、どちらが大きいかと問われれば、誰もが人生の方が大きいと答えるでしょう。 仕事の方が人生より小さいのに、大きな器の人生を、小さな器の仕事の中に押し込もうとして、自らの人生を、夫婦の幸せを、 家庭を、健康を、犠牲にしていないだろうか。
幸せな人生を送るための仕事であるはずが、いつしか、仕事のために家庭や、自己を犠牲にして、 不幸を呼び込んでしまっている。
仕事は生きがいを生み、人生を左右する。しかし、仕事で人生や家庭や、健康を犠牲にしてはならないのです。 仕事に失敗して自殺してしまうのは、仕事に人生が奪われてしまった、典型的なケースでしょう。

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