■森信三 「修身教授録」から
人間学で独自の哲学を確立した”森 信三”先生の「修身教授録」 の中の 第三
十講「謙そんと卑屈」、第三十一講
「目下の人に対する心得」からの抜粋です。
「謙そん」とは、一人の人間としての自覚から生まれる「徳」である。
相手に対する自分の分際をわきまえて我が身を省み、差し出たるところがないようにと、我が身を処することをいう。
目上の人に「卑屈」な人ほど、目下には「傲慢」である。 「傲慢」はお目出たさの表れ、「卑屈」はずるさの表れ。己が、すなわち人間が出来ていない証拠である。 目下の人に対する思いやりは、目上の人に仕えた経験と苦労がないと生まれてこない。目上の人の人柄は、目下の人に対する態度と、 言葉遣いによってわかるものだ。 |
ちょっと成功を手にすると、人の言うことに耳を貸さなかったり、人を見下したりして、傲慢な態度を取りがちです。
目上の人に仕えた経験が浅く、苦労らしい苦労を経験したことがない私(吉村)には、耳の痛い言葉です。
【吉村外喜雄のなんだかんだ - 第8号】
~幸せな人生を歩むために~
「成功する人は地味で謙虚」
先週は倒産する条件を並べてみましたが、今週は成功する条件です。
滋賀ダイハツ販売のオーナー後藤昌幸氏は、破産状態の会社を再建し、三十
年以上毎年トヨタを抜いて、県下一の売上を更新してきたことで有名です。致知
11月号に「仕事のコツ、人生ノコツ」として対談しているので紹介します。
成功する経営者と、失敗する経営者の差は、
どこにあるとお考えでしょうか? 長い間いろいろな経営者を見てきたが、結論から言うと、派手な経営者が失敗し、 地味な経営者が成功するということです。 バブルの時に、土地や株に手を出した人は、皆失敗しましたからね。「調子のいい時にうぬぼれず、 調子の悪い時にへこたれない」。これは、経営者の鉄則でしょう。成功している経営者というのは、 皆さん謙虚です。 商売は日々の積み重ね。余計な経費を使わず、どこまでも地味にやっていく。 経営とは、詰まるところ、稼いだ金と経費のバランスなのです。そのために大切にしていることは、 「たとえ一ヶ月であっても、絶対赤字を出さない」という信念を貫くことです。それを社内に浸透し、 社風にしてしまうことです。 |
京セラの稲盛さんの経営も、人一倍堅実なことで知られています。会社がまだ
一千億程度の頃の会社の方針です。
- 忙しいときに忙しいからと、人を増やすと、暇な時に人が余る。人が多い分、楽な仕事の仕方を身につけてしまう。
だから、一年で一番暇な時に丁度よい人員の配置しか認めない。
- 売上のない月は、消耗品以外は、どんなに必用であっても、金額の張る什器備品などの購入は認めない。
昔の商人が守ってきた商いの鉄則は「入りに見合う出」。損益分岐点を重視し、利益が出ないときは、すべてに堪忍・
倹約して出を抑える。モノを粗末にしない。
「入りに見合う出」の精神を守っていけば、商いが危機に陥ることもない。
私の父の時代、当時の商人の堪忍・倹約に対する心構えと徹底ぶりは、今の私にはとても真似られません。